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机上の九龍城 #1 (モテアマス三軒茶屋 2020年10月レポート)

本レポートはモテアマス三軒茶屋の「その他」の部分を運営する、モテアソブ三軒茶屋の月次レポートである。
(「その他」については、「モテアマス三軒茶屋」をモテアソブ三軒茶屋とR65で共同運営へを参照)

【モテアマス三軒茶屋】

 モテアマス三軒茶屋は、三軒茶屋某所にあるシェアハウスである。
あまりにも規模が大きく、借り手のいなかった15LDKの大豪邸の活用方法を考えていた時に現在の主任であるカズキタが名乗りを上げ、2016年11月23日にカズキタ、大家のポールらを中心に立ち上げ。現在は多様な住み方の住人を受け入れ、多拠点生活者を含めると26人が居住する大規模シェアハウスとなっている。住人の自由さや雑多な雰囲気から『三茶のインド』、『現代の九龍城』などと呼ばれている。

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【概要】
名称▷ モテアマス三軒茶屋
形態▷ シェアハウス・モバイルハウス・小屋・タコ部屋 など
設立▷ 2016年11月23日
主任▷ カズキタ
営業時間▷ 24時間365日

【代表者経歴】

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カズキタ(右)@kazkey39

モテアマス三軒茶屋主任
モテアマス三軒茶屋という15LDKのシェアハウスを運営していたところ、お金がもっと欲しくなったのでシェアハウスの住人と合同会社モテアソブ三軒茶屋を設立し、さらにお金がなくなる。最近は三茶のおじさんと三茶ジャパンを結成、さらに別なおじさんとエブリサウナというテントサウナユニットなどを結成し、お金が尽きる。

【2020年度10月の活動実績】

・進行中委託案件 4件 (新規1件)
・売上金額 24,200円
・住民への外注費 0円
・設備費 
 スモークマシーン 12,936円
 レーザー距離計 4,587円

1.こっくり婚と部屋決めこっくりさん


【概要】

当シェアハウス(以下、当シェ)では、2020年度9月よりドミトリーの部屋決めをこっくりさん等(ルーレット、あみだくじ含む)を用いて実施している。

【運用方法】
毎月24日にドミトリー住人を対象とし、こっくりさんを開催。こっくりさんで決定した部屋に移動する。個室住人も希望があれば参加可能である。

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【背景】
 部屋をシャッフルすることになった背景として、住人の部屋が固定化されることによって流動性が低くなり、心地よさが優先された結果、刺激が減ってしまうという課題があった。当シェ利用者に関しては、家賃の安さや利便性だけではなく刺激を求めてシェアハウスを選んでいるため、継続的な刺激を提供できないことは不満につながりやすくなる。
 しかしながら、運営側が人為的に部屋を決めることでも不満が出るため、外部委託先として長年日本で定評と実績のあるこっくりさんのお告げに委ねることで、第三者に任せてリスク回避をはかりつつ、外部委託コストも抑えることができている。(委託料:無料)

 なお、当シェドミトリーにおいては男女で部屋を分けていない。理由としては2点あり、男女を分けすぎた弊害として相互理解不足による少子化・晩婚化対策と、LGBTQへの理解促進の面で男女という枠組みにとらわれず、人としての付き合いを大切にするという考え方によるものである。

【現状の課題】
 こっくりさんは参加者が複数人いないと呼び出せないため、参加者が外泊などで不在の際はロングあみだくじを作ることで解決を図る。11月の部屋決めは、参加者が誰一人いなかったため、こっくりディーラーによるロングあみだくじで部屋が決定した。

【効果】
 こっくり導入により、住人自身も断捨離を行い物との付き合い方を見直したり、新しい住人とのやりとりが発生し、関係性に変化が生まれるほか、住み方や心地よさの試行錯誤を重ねることができる。

【実績】 
・9月の部屋決めの際、単管ルーム103号室になったMーくんとMまるがめでたくカップル成立し、スピード婚約に至った
・長らく問題となっていた3人部屋の匂いが緩和された
・空間の有効活用により、1人多く入居できた
・ドミトリーの稼働率が可視化され、業務改善につながった

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2.シェアリングエコノミーの強化

【概要】 
 当シェはシェアリングエコノミーに力を入れているシェアハウスである。
フリー食材、フリークローゼット、フリー布団、フリーコードなどその範囲は衣食住からインフラまで広く網羅している。様々なものがシェアとなるなか、今まで着手できていなかった「傘」と「自転車」のシェアに踏み切った。

①アイカサ導入
 

このたび、「アイカサ」と提携し、福利厚生として住人の傘借り放題が実現した。

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【契約の背景】
 日本洋傘振興協議会によると、日本での傘の消費量は年間で1億2000万本〜1億3000万本にものぼり、 一説にはこの数字は世界1位ともいわれる。そのうちの6割にあたる約8,000万本がビニール傘でその多くは半年以内に地球に埋め捨てられている
 とくに東京都の年間の傘購入本数はもっとも高く、0.9本で、福岡県0.8本、神奈川県0.8本と続く。また東京都は「弱い雨で傘をさす割合」が全国トップという結果も出ているほか、公共交通機関での移動が多い大都市圏では駅から目的地までの徒歩移動が多いことも理由の一つだと思われる。「出先で急にふられて慌てて買う」という場面も多いためか、傘の所持数も4.1本と全国トップである。

 実際に当シェでも住人の傘が多すぎて壊れているものも多く、玄関が散らかることが長らくの課題であった。また人生の大事な時に間違えてほかの住人の花柄の傘を持っていってしまうと自己肯定感が下がるという事例も発生していた。
 常に雨の日に出かけるわけではないので傘は1人1本は必要ない、という結論に至り、地球環境のためにも、一回しか使わないような使い捨て傘をなくしたいというビジョンをともにするアイカサの導入を決定。

▶シェアハウス初!傘シェアリングサービス「アイカサ」使い放題プランを住民向けに導入

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【効果】
 アプリで利用のたびに削減したCo2排出量を確認することができて、住人の自己肯定感とサステナビリティへの意識向上につながる

東京都年間降水量106日×25人×692g=1,833.8kg のCo2削減に貢献
(アイカサを1回利用すると、CO2約692g(※)の削減に貢献)

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②LUUP導入

【概要】
 電動マイクロモビリティ「LUUP」のポートを設置して超小型電動アシスト自転車が7台置けるようになった。

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【背景】
 コロナ禍では満員電車での移動が忌避され、電車から自転車へ切り替える人が多く、自転車店は盛況であった。
 当シェは大豪邸ではあるが、都心の邸宅で庭はほとんどないため、仮に住人が全員自転車を所有して30台を置くと自転車屋と間違えられてパンクを直しにこられる可能性もある。そうなってしまうと対応に人手が割かれて生産性が下がってしまうのと、自転車がないと下北沢や渋谷など近距離の場所に行くのも徒歩で制限されてしまうという課題があった。

【効果】
・住人の自転車所有率は12%程度と、ほとんどの住人が自転車を持っていないが、シェア自転車であれば7台あれば十分で、近隣施設などに出かけやすくなり、引きこもり防止と体力向上にも効果が期待できる
・周辺の人も使えるため街中の放置自転車が減り、景観がきれいになり三軒茶屋のバリューが上がる
・住人がよく行く近隣のシェアハウスなどに営業をさせてポートを設置してもらうことで、自転車で互いのシェアハウスにより行きやすくなった。


3.Amazon Prime Day

【概要】
 Amazonプライムデーは、プライム会員に贈る年に一度のビッグセールである。2日間に渡り、数多くの人気商品が特価で購入できる。2020年のプライムデーは10月13日から14日に開催し、48時間のセールにて日本の中小規模の販売業者が商品を出品していた。
 当シェはモテアマス三軒茶屋という名前の通り、部屋・人・物・を持て余していることで有名であるが、共有の物がたくさんある。そのため、今回のプライムデーでは個々でほしいものを購入し、全体でシェアする動きができた。

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【購入品一例】
魚用ホイル
 脂質を減らすことができ、ダイエット部員に好評
マキシマム
 肉に使える万能調味料、白米にかけて食べるのがおすすめ。ダイエットには不向き
ポテトヘッド
 3D福笑い、既成概念を壊すトレーニングに有効である
フリーモビルスーツ
 アムロがいけるようになる
梱包材
 脱プラの流れで包装資材は減らす動きが高まっているが、当シェではリビングの装飾に活用されている。わずかな風でもゆらぐことでヒーリング効果が高まり、自己肯定感の向上につながる


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【今月の業界動向】

▶テイクフリー国勢調査

 新型コロナウィルスの感染拡大により、マスクが枯渇した際、政府からnot3Dのアベノマスクが各家庭に配布されることとなった。
当時の触れ込みでは、1世帯に2枚ということで、「家族が多い場合はどうするのか」という批判も出たが、当シェは内部はつながっているものの、世帯はもちろん分かれている。部屋番号もきちんとあり、それぞれが世帯主であり住民票の登録も行っている。ゆえにマスクも1世帯×住人分配られるものと思っていた。しかし、実際には建物1つに対して2枚のマスクであった。25人に対して2枚である。奪い合いは起きなかったが、物資によっては争いが起きていた可能性も十分にある。ポストがわかれていればよかったのかもしれないが、あいにくポストはシェアしているので1つしかない。
この件から、世帯という認識や前提条件へのずれが浮かび上がってきたのであった。

 そして10月に実施された国勢調査。

日本に住むすべての人と世帯を対象に「国勢調査」を実施しました(一部の地域では、調査期間を延長して行っています。)。
 国勢調査は、生活環境の改善や防災計画など、皆さまの生活に欠かせない様々な施策に役立てられる大切な調査です。

 当シェにも事前に調査員がきて、「この建物には何人住んでいるのか」という事前の確認があったようだが、その際に応対者は「25人」と回答したようで、それは間違いではないが前述の通り二拠点の住人もおり、必ずしも全住人が当シェに住民票をおいているわけではない。
 多拠点という住み方が当たり前になりつつある中で、「住む」ということについての前提がいまだにアップデートされていないことを感じる。(おそらく世帯の考え方や家族の在り方などについても同様であろう)

 なお、筆者については、山梨にいることが多いため重要書類の受け取り漏れを防ぐよう実家に住民票をおいているのだが、なぜか世帯主として届け出を出しているはずの実家には個人用の調査票が届かず、山梨の家には調査票が来ていたので、回答結果は山梨の人間としてカウントされていることになっている。
また、ほかの多拠点住人の場合は、実家・同棲先でそれぞれ一緒に「住んでいる」という前提のもと、同居人が当人の状況も合わせて回答していたようで、同じ人間のデータが2か所で回答されている。

 「住む」とはどのようなことか前提を見直さないと、非常に信ぴょう性の低いものとなっていないだろうか。それともこのような住み方はマイノリティで、データ分析上は誤差にしかすぎないのだろうか。

 いずれにしても、国勢調査は、「回答する義務がある」と統計法で規定されており、調査を拒否したり無視したりすると『50万円以下の罰金』が課せられる。
また、架空の家族の名前を書いたり勤務の事実がない仕事を申告したり、嘘の回答をしても『50万円以下の罰金』と定められているため、回答は必ずしたほうがいいのだが、上記のようなことが起きるとそもそも調査票が手元に届かないので、ぜひ統計局には現代の流れも取り入れていってほしい。

▶国勢調査HP

【11月の目標】

次月のモテアマス三軒茶屋の目標は下記の通り。

▶定性的な目標
・内装を自己肯定感が高まるものに改装する
・ひとりひとりが輝ける社会にする
・自己肯定感を高めあうためにほめる
・外気浴をする
▶定量的な目標
・新規住人1人入居
・こっくり婚新規1組成立
・アイカサを月間100回使用することで、二酸化炭素排出量を6.92kg減少させる
・ダイエットを継続し、住人の体重を合計-15kg減少させる

机上の九龍城とは、モテアマス三軒茶屋で日々起きる嘘か現実か曖昧な事象を、限りなく客観的な視点で記録するというプロジェクトのことです。100年後にファンタジーとして映画化されることを望みます。

発行:モテアソブ三軒茶屋「机上の九龍城編集部」
編集:カズキタ @kazkey39
執筆:ながりな @nagarina



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