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【全編】〜True Colors DANCEが教えてくれたこと〜新しい学校のリーダーズとの一夜限りのライブステージに込めた想い

2024年3月7日。3000人満員のNHKホール。
満開に咲いて、儚く散った、一度限りのステージ。
どこか夢の中にいたかのようで、今振り返れば現実ではなかった時間のようにも感じる。

True Colors DANCERSとしてチームで育む時間になった練習の日々と、本番のステージに込めた想いを綴る。

True Colors DANCERSとしての日々

中高生を中心とした様々な違いを持つ個性あふれるダンサーたちが、4人組ダンスボーカルグループ「新しい学校のリーダーズ」とともに、一夜限りのステージを作り上げていくプロジェクト「True Colors DANCE 2024」。

初めてのプロジェクトだから何が正解で成功なのかは誰も分からない。
ダンスを愛するみんなが集って、最高の瞬間を探しに行った。

True Colors DANCERSは、
聴覚障害、知的障害、車いすで生活する学生と、
東京の二松学舎大学附属高校、埼玉の武南高校、神奈川の市ヶ尾高校、千葉敬愛高校のダンス部に所属する学生から構成された。

そこに世界的ストリートダンサーのMiyuさんと、軟骨無形成症のプロダンサーDAIKIさんを中心としてダンスで福祉をデザインすることを掲げるダンスグループSOCIAL WORKEEERSがメンターとして加わり、新しい学校のリーダーズとステージで披露するチームが構成された。

True Colors DANCERSの立ち上げの時に僕はいなかったが、年末に様々なつながりで連絡をいただき、このプロジェクトに途中から参加させてもらうことになった。

初めての練習、初めてのチーム

初めて練習に参加した時、チームに入るってこんなに気持ちいいんだなって感じた。

(04:15~:自分が初めて練習に参加した時の模様〜)

僕はパラダンススポーツという競技ダンスに取り組んでいるが、普段は車椅子に乗って一人でダンスをしている。集団で合わせてダンスをすることは初めてであり、楽しみな一方ちょっと不安でもある挑戦だった。

True Color DANCERSはメンバーのほとんどが中高生であり、学生チームの中では僕が一番学年が上だった。

「集団でダンスを踊るのは初めてなので、
 チームに合わせることを大切にして、
 中高生のみんなを輝かせてあげたいなと感じます。」
メンバーに加わって間もない頃、僕はインタビューにそのように答えていた。みんなに合わせていきますという意識で入っていった。

楽しい練習、ダンスでコミュニケーション

True Colorsの舞台裏映像を振り返るとたくさんのみんなが口を揃えて楽しいと話す。練習のスタートは「なまえ飛ばし」というみんなでのウォームアップからだった。
みんなで輪となり、提示されたリズムを刻みながら隣の人に自分の名前を伝える。時に回転したり、飛んだりしながらと、ダンスの動作を交えながらみんなとの気持ちを温めていく。

(01:58~:毎回恒例練習前アイスブレイクの「名前飛ばし」)

毎週末ハイペースで進む練習、違う学校のみんなとダンスをするということにみんな不安も少なからず感じながら通っていたと思うが、練習に行くと最初がこの時間だから「よし!今日も楽しんでいくぞー!」という気持ちになれるものだった。

DAIKIさんの言葉

いつも学びと発見があった練習。
自分にとってDAIKIさんと出会えたことは貴重な機会になった。
難病の軟骨無形成症で低身長というハンディキャップとともにあるDAIKIさん。障害を抱えるとだいたいの人が周囲からの視線が気になるという経験を通ることになるが、今のDAIKIさんはダンスで自分を魅せることで見られることを楽しんでいる。誰にでも声をかけて、誰もを楽しい気持ちにさせることが できるDAIKIさんは、どんなときも伝えることを大切にしている。

DAIKIさんからたくさんのことを教わってきたが、DAIKIさんが笑顔で話すこの言葉が好きだ。

言葉に息詰まったら踊ればいいし、
踊りに行き詰まったら言葉にしたらいい。

僕は、これまで良いことも悪いことも様々な経験をしてきて、
その度にいろんなみんなに支えられてきて、
おかげでいろんな感情を深いところまで知ることができた。
そうした中で自分の中で熱く込み上がるものがあって、
それをどうにか形にしたいと思っていたとき、
出会えたのがダンスだった。
だから、DAIKIさんの言葉がすごく好きだった。

日々、色んなことを感じながら、考えながら、生きている。
今の自分にとってその溢れる気持ちを形にする方法は、言葉とダンスだ。
でも、言葉もダンスも好きだからこそ、こだわりたいからこそ、
うまくいかないことがある。思いを伝えるって難しい。

内に秘めるものは熱いけど不器用な自分には、
DAIKIさんのメッセージの
言葉が出ないんだったら踊れば良いじゃん、
踊りに悩んだなら言葉にすれば良いじゃん。
って励まされるような感じが、好きだし、楽になる。
僕はこれからもこのメッセージを大切にして歩んでいく。

見失いかけた個性

全国レベルのダンス部所属や、ダンスチームに所属するみんなの踊りにはいつも圧倒された。楽しんでいて、カッコよくて、爽やか。
みんなからいつも元気をもらっていた。

ただ、僕自身True Colors の練習期間は他の活動もあってとても忙しい期間であり、練習に行くことができないことも多々あった。
練習での遅れも重なって、難しさを感じることも多くなっていった。みんなに合わせようという意識は、みんなに合わせなきゃという焦りに変わり、気持ちよく踊れなくなっていた。

ダンスに対する意識がコントロールできず自分の中での迷いが募っていて、消化できない感触が溜まっていた。

そんな中で、きっかけを掴むことができたのは、本番まで2週間前に個別練習をお願いした時に、NAGAさんuenoさんから言われたことだった。
クランプパートの練習をしている時に「一つ一つの動きに思いを込めていく。」と教えてもらった。

この一言でが気持ちの方向を変えるきっかけになった。
思えば僕は、合わせることを意識して提示された振付を踊ることに夢中だった。踊らされているわけではないが、自らのダンスをしている姿ではなかった。
どこかみんなに合わせようと思っていた意識が障壁になっていたことに気づいた。

個別の練習の後、True Colorsの練習でみんなを見た時、詰まっていたものが抜けるように感じた。みんなのダンスをしている姿がまっすぐに楽しそうに見えた。それぞれが自分を出して、自分のダンスで魅せていた。

ハルカ君は常に帽子を横に被って、目が合えばどんなタイミングでも握った拳を向けて頑張ろうぜと聞こえてくるかのように合図を送ってくれる。
ハルもアイリもチホもいつも彼らの方から先に声をかけてくれて、それぞれが楽しそうにしてるから周りのみんなも楽しくなる。

ダンス部ガールズたちのいつでもはしゃぐ姿と透き通った笑顔。ダンスと今を思いっきり楽しむものでしょ!と教えてくれる。

カウントが合わないと嘆く自分の横で、音が聴こえないデフダンサーのみんなはカウントとのタイミングをピッタリと合わせてる。彼らの勢いのあるダンスに音楽が楽しんで乗っているように見える。

異なる障害を超えて。そして障害は関係なく。
それぞれが自分を魅せて、そしてみんなと輝きを照らし合っていた。

(04:55~:デフダンサーのみんな、MAHOの横顔)
(08:05~:ハルカの横顔)

True Colors DANCERS。
チーム名がColorではなくてColorsのところも複数形なのは、
一人一人には個性というそれぞれの色がある、
ということなのかもしれない。

無理にみんなに合わせようとするから難しく感じるんだ。
個の輝きがあるから、チームは最大限に輝く。
だからまずは自分を魅せること。
そして輝きをみんなと照らしあってまぶしく魅せるんだ。

みんなが大切なことを気づかせてくれた。

ストンプの日々

学生たちの全力全開な姿を映すTrue Colors DANCEらしさが溢れるのが、ストンプというダンスパートだ。

ここでは一旦音楽が止まり、静寂が生まれる。
静寂のあと、それぞれが手を叩いたり、体を叩いたり、足で踏み鳴らしたり、掛け声を出したりして、熱狂を作り出す。
ストンプは、誰もが音を奏でることができることと、みんなと音を重ねることが楽しさ教えてくれる。
僕らの一体感、疾走感、熱狂を表現するのに最高な場面だった。

(07:08~ストンプの練習)

印象的だったシーンがある。
ストンプの練習のときアイリちゃんがどうしてもリズムについていけずにいた。
みんながうまくいき始めているところ、アイリちゃんは何回やってもリズムから遅れをとってしまっていた。
「できない、、、」とアイリちゃんは悲しさをこぼした。
そんなとき、周りの子「一緒にできるまでやろうよ」と声をかけた。
それでもうまくいかない。
でも、失敗を重ねるにつれてアイリちゃんの周りに集まるその人数の輪はどんどん大きくなった。
7回か8回目になった頃だろうか。
ついに、うまくいった!!
みんなでイエーイと超全力で喜んでハイタッチ。
できたー!と喜ぶアイリちゃんの表情が今でも忘れられない。
最高に素敵な瞬間だった。

静寂に包まれた時間からダンスで音を生み出してみんなと熱狂する。
踊ることが好きなんだ、踊りたくてたまらないんだ、
本能のままに踊りたいんだ。
踊る本能001を象徴できるようなこのストンプダンスが好きだった。

クランプに込めた思い

そして僕は大事なシーンをセンターで担うことになっていた。
ストンプで最高潮の爆発を見せた直後、クライマックスに向けていく終盤にセンターに登場して、クランプという力強いダンスを披露する。
そして、自分のスピンに呼応するように周囲のブレイクダンスのみんなが回転するというものだった。

赤丸で囲った緑色9番が自分。右隣の緑色21番はDAIKIさんだ。

このクランプの部分はDAIKIさんが僕と踊りたいと作り上げてくださったパートだと言う。
クランプダンスは腕や手を激しくぶつける動きが特徴で、熱さがほとばしるエネルギッシュなところが魅力だ。

DAIKIさんに言われたことは、
社会に対する”怒り”であったり、社会を変えたいと思う”本気”を見せてほしい、いつもの笑顔のもっちーとは違うもっちーの姿を出してほしい、
ということだった。

もっとも、このクランプダンスの誕生は、かつてはドラックディーラーだったダンサーのトミー・ザー・クラウン氏が、少年犯罪の多かったロサンゼルスの地区で子どもたちに向けて犯罪に関わることなく厳しい環境を生き抜くためにと授けたのが始まりだ。その後、少年たちはやり場の無い葛藤や不安、怒りを表現する方法を暴力からダンスへと変えて、踊ることに夢中になって、このクランプダンスは確立されていったという。

具体的に述べるつもりはないが、
僕は学生という若者であることや車椅子生活というところで、今の自分の未熟さや無力さゆえに、どこか窮屈な現代の環境に対して思いを感じているところも確かにはある。
思いを表現したい時、誰かを傷つける方法ではいけない。
でも、ダンスならば自由だ。

「模範的なヤツばかりが評価されるこの時代、
 くだらない不寛容社会から、個性と自由ではみ出していく」
そんなコンセプトを掲げる新しい学校のリーダーズさんのステージで自分はダンスをする。
そして、社会へのアンチテーゼをもとに生み出された歴史的背景をもつクランプダンスを自分はセンターで披露する。

笑顔じゃないもっちーを。
DAIKIさんから受け取ったメッセージは、
中途半端ではいけない、溢れるものを込めること、
カッコつけるのではなくて本気をぶつけてこいということだった。

中途半端では出せない。感情をむき出しにする。
笑顔は作ることができても、集中した表情は研ぎ澄まされてでてくるもの。
これまで出会ったことのない新しい表情を出すことは、
内側にある自分を見せにいくってことだった。

ぶつけて、ぶつけて、振り絞ってぶつける。
何度も繰り返す中で探していった。
だんだんと余計なものが削ぎ落とされた凛々しさへと進んでいったと思う。

そして、クランプパートの最初、一番目立ってセンターに出てくるところ。
どのような振りをつけて前へ向けて走るのか。
あえて練習では進み方や振りを考えず、直前に決めることにした。

これは練習をしてしまうと、自分を魅せるのではなくて人に見せるための自分を作ってしまうと思ったから。
そして、何よりTrue Colorsの練習が楽しかったから、
いつも感じることのできる新しい発見があったから、
最後の最後まで感じたことの全てをここにまとめたいと思ったから。

だから、なるべくまで直前に考えようって思った。

練習ではやらないなんてダンサーとしては良くない。
でも、自分の溢れ出す感情を伝えるためにダンスをしている自分には、この形でいきたかった。

本番の日が近づいてきた頃の練習。観光先で練習することもあれば、
夜の大学の食堂に反射する自分を見て23時まで練習することもありました。

歓喜と涙、リーダーズのサプライズ登場

本番4日前の練習のこと。
学生たちには伝えられていなかったが、リーダーズさんが練習に登場するサプライズ!

(02:33~:新しい学校のリーダーズがサプライズ登場!)
目の前にするリーダーズさんに絶叫と、
涙まで流してしまうTrue Colors DANCERSのメンバー。
直後、僕たちが踊る本能のダンスを披露すると、今度はまさかのリーダーズさんが号泣!笑
ついにチームが完成した瞬間だ。みんなで、行くぞ〜!!!!!!


名曲True Colorsから

きっとどこかで一度は聞いたことがあるだろう洋楽True Colors。

1986年にシンディーローパーが発表した名曲は、中学校の英語の教科書にも載っていたりするという。
そんなTrue Colorsはこんな歌詞で始まる。

You with the sad eyes Don't be discouraged     
悲しい目をして落ち込まないで
Oh I realize           
僕にも分かるよ。
It's hard to take courage
勇気を持つって大変だよ。
In a world full of people
たくさんの人がいるこの世界だから、
You can lose sight of it all
自分自身を見失ってしまうよね。
And the darkness inside you
だから心の中にある暗闇が
Can make you feel so small
ちっぽけな自分に感じさせる。

特別なことじゃなくても、学校でも部活でも、集団にいると同調や無言の圧力を感じて本当の思いを言い出しづらいこともあるだろう。みんなと違ったことをやると変わった者扱いになる。SNSが発展した時代だからこそ、一層周りのことが気になる時代で、少しの気持ちも出しづらいところ時もあるように思う。
その後の歌詞はこう続く。

But I see your true color
でもね、僕には君の本当の色が見えるんだ。
Shining through
内側から透き通って輝いているんだよ。
I see your true colors
君の本当の色が見えるよ。
And that's why I love you
それが僕が君を愛す理由。
So don't be afraid
だから恐れないで、
to let them show your true colors
君の本当の色を見せることを。

思いを出すって簡単なことではない。
でも、誰もが違う色を持っているから、個性があるから、魅力なんだ。
僕がみんなから気付かされたことがそのままだ。

いよいよ前日へ

前日、昼過ぎから最終練習を行った。
前日の集中力と高揚感ってどこか吹っ切れたものもあって楽しいものだ。
NHKホールのステージを利用してのリハーサル。

(06:31~:前日のNHKホール)
(08:17~:新しい学校のリーダーズからのプレゼント)

ステージから見るホールを噛み締めて。ステージで聴く音響は体に響くように届いてくるなぁ。

ステージのリハの後、新しい学校のリーダーズさんからのプレゼント!
青春日本代表の靴下がみんなに配られた。昨年の紅白出場歌手とNHKホールのライブステージで一緒に披露するなんて、冷静に考えたら夢みたいだ。
さぁ、いよいよ明日だ。38人全員で。

そんな刺激的な長い前日練習を終えて夕食を終えてホテルの部屋に戻ったのは22時を過ぎた頃だった。
鏡に映る自分を見て、たくさんのことを思い浮かべて、
クランプ前の動きを考えた。

自分はこれまで様々な出会いに支えられて予想をはるか超えていく景色を見ることができた。今回のTrue Colorsでも、本当に幸せな時間を過ごすことができた。様々な方面で出会えた人がいて、みんなから力をもらい、それが自分の自信につながっている。
みんなが自分に力をくれたんだ。
鏡に映る胸に手を当てる自分の姿を見て、一番しっくりきた。

気づくことができた。
自分の色を出すことが大事なこと。
そして、みんなが持っているそれぞれの色。
僕は明日、それを全力で表現しにいくんだ。

本番、たった一度限りのステージへ

ついに迎えた本番の日。

Miyuさんから一人一人に配られた名前入りのクッキー!かわいい!!

新しい学校のリーダーズさんとの5ショット!

本番前ラストのリハーサルを終え、
ステージに上がる全員で円陣を組んだ後、

新しい学校のリーダーズのみなさんに話しかけてみた。
もしよかったら、車椅子乗ってみませんか??

えー!乗りたい!良いんですか??
と純粋に興味を持ってもらえたことがすごく嬉しかった。
写真を撮ることになり、念願のリーダーズさんと記念写真。

写真を撮っているときは自分はカメラを見ていたので気づかなかったけれど、後日写真を送られてきてから驚いた。

なんて楽しい表情!
車椅子がこんな躍動感あって見えるなんて、
ああー!!リーダーズさん天才すぎる!!!大好きすぎる!!!

一緒に並んで写真を撮っているだけと思っていたら、
リーダーズさんの全員がこんなにポーズをとっていた!
その時は気づかなかった。もうずーっと大切な記念の写真だ。

開演

18時30分。いよいよライブが始まった。
自分達の出番は開演の1時間後。

そんななかで、緊張のあまり泣き出してしまう子もいた。

(10:13~:アイリちゃんのもとに、、)

でも、もうTrue Colorsのみんなで寄り添えるから十分だった。
最初の頃はお互いに接し方なんてわからなかった。
でもダンスの練習で同じ時間を大切に共有してきたから、みんなで一つの大きなファミリーになれていた。
誰かが凹んでたら、大丈夫かなと心配するとか超えて、一緒に元気になろうよとちょこっと凸れる関係だ。

さぁ、みんなと、自分を
魅せるときだ。

本番のステージ

本番前最後の廊下。
緊張に溢れる子もいれば、楽しんでいる子もいる。

(11:34~:本番直前)

そして、舞台袖へ。
会場にTrue Coloers DANCERSがコールされ、紹介映像が流れる。
ついにステージへと促される。
満員のNHKホール。ライトが照らされた。
いよいよスタートだ。

まずは間違えないようにと丁寧に慎重に。
リーダーズさんの生歌をこんな近くで聴けるなんて最高すぎるな。
あっという間のようだけど、いつもより少しゆっくり時間が流れるように感じる。

フォーメーションが変わり、ストンプへと向かう。

音楽が消えて、三千人が息を飲む静寂に。

https://youtu.be/vxSaecC9BMw?si=iAxf3b8KdEk3Y-f3&t=127

(02:07~:ストンプパートスタート)

SUZUKAさんが一声。
「本能のままに、細胞を鳴らせ。みんなでひとつに。」

リーダーズさんの手拍子のあと、DANCERSのみんなで加わっていく。
満員のNHKホールに響くストンプの音。

最初は客席に向かって。
続けて、ステージのDANCERSで応え合うように鳴らして。

練習のあるころから、グループで輪になった後の2回目のストンプの時に、毎回隣のヒムカちゃんと目があってた。練習の頃からその瞬間が楽しかったけれど、本番がお互い一番気持ちがこもって楽しんでいたと思う。
その次の3回目のストンプは最初に客席の方を見て。観客席のお客さんが手拍子で乗り始めた瞬間を見て楽しかった。

床を鳴らしてDANCERSみんなが中央に集まる。
テンポをあげて、手で足で体で音を鳴らして、声を上げて。

うまく、強く、決まった。

踊る、本能!!!!!!!!!!!


SUZUKAの叫び声とともに
ストンプが終わる。

さぁ、ここからはクライマックスへ向けた時間の始まりだ。
自分の一番大事な時間だ。緊張感が楽しい時間だ。

音楽が再開し、ポジションに移動するとき、
DAIKIさんと目があって指を差し合う。
「ありがとうございます。魅せます。」とDAIKIさんに心で語りかける。

カウントを頭の片隅で叩き、
今、この瞬間に、力を溜める。

Miyuさんと前のDANCERSが捌ける。
自分の前に道ができる。


さぁ、僕は走り出す。


そう進み始めるとき、

それまでの練習ではなかったけれど、
本番の時だけリーダーズのSUZUKAさんが叫んでくれた。


行け!
行け!
行けぇーーーーーーーー!!!!!

周りと後ろのみんなも応援団のように後押ししてくれた。

本能!本能!!!

SAUZUKAさんが振り絞って叫ぶ。
僕は、左上右上と指差し
あらゆる方向へと力を向けて。
放った力を全てをひっくるめて、
左胸にあてた手にまとめて。

もう体と心で全力で叫んでいた。

これが、自分がたどり着いた自分なんだ。これなんだ。

力いっぱいの感情をぶつけて、回った。

https://youtu.be/vxSaecC9BMw?si=MRznuht5os_WFzk6&t=218
(03:38~:クランプダンスパート)

放送を見てじわぁっと心が満たされた。
そこに映る自分はサッカーをしている時の自分だった。
サッカーに対して夢中で、本気だった頃の表情そのものだった。
まるでドリブルをするかのように力強く前へと進んで、
まっすぐな目で熱さを激らせてプレーする。
そんな姿に周りのみんなが応援してくれる。
まるでゴールを決めた後のガッツポーズ。
あの時の自分、一瞬だけに作った自分じゃなくて、これまでの全ての自分が憑依してできた姿だった。

本当に幸せだ。ダンスができるなんて。
サッカー少年の頃の熱狂を味わえるなんて。


血が踊る。肉が踊る。
狂喜乱舞。踊る本能。

踊りたい!伝えたい!届けたい!
踊るって最高!!みんなとって楽しい!

ああ、ダンスが楽しすぎるんだ!!!!!!

それぞれの色が最高に輝いて咲き誇って、
お互いをも照らして、色とりどりの花束が出来上がった。
色んな気持ちが届いてくるこの写真が大好きです。

一本の花じゃ愛は伝えきれない。
愛を伝える方法は花束だからできると思うんです。

シンディーローバーのTrue Colorsは最後こうして締め括られる。

Your true colors
(きみの本当の色)
true colors are
(そう本当の色は)
beautiful
(本当に素敵なんだ)
like a rainbow
(虹のようにね)

一人でも、みんなとでも、全員が虹のように輝いてる。
色とりどりに作られた虹になっている。

たった一度きりのステージ。
全ての思いを表現できる場が一度きりだったから、
最高のステージだったから、ここまで熱くなれたのかな。

始まる前からわかっていたことなのに、切なくて儚い。
本当に儚い。でもきっと、
儚いから一生記憶として残ってくれるんだろうな。
疾走感。爽快感。達成感。
どれも細胞全部に染み付いてる感覚なんだ。

 (12:25~:演技終了後、ハルカの涙)

そりゃこうなるわな。笑

SUZUKAさんのステージ直後のインタビューで語った
「踊る本能という曲が、今一番喜んでいると思う。」
という一言が最高に心に響いた。

幸せでした。
ありがとう。

DAIKIさんの最後の言葉

全てを終えてNHKホールを離れた後の打ち上げ、ホテルのレストランで別れる前にDAIKIさんに聞いてみた。

結局、”クランプ”ってなんですか??

DAIKIさんの返事は一瞬だった。

クランプとは ”自分" です。

DAIKIさん、

今の僕はサッカー選手ーとか何でもこなせる〜とか、
小さい頃に思ってたなりたい自分にはなっていない。

でも、本気で、愛情込めて、自分の人生を楽しんでる。

本当は感情を出すのが下手くそなタイプだけど、
ダンスで出したり、こうやって書いてみたり、
自分が大切にしたい感情を大切にできている。

なりたい自分になることはできていなくても、
ありたい自分に出会うことはできた気がするんです。

周りからは憧れを持たれないかもしれないけど、
そっちの方が自分らしいって思ってます。

今回僕はDAIKIさんをはじめ支えてくださったみんなのおかげで、
本気で自分を探したから、
本当の自分を出すことができました。
自分の色を見つけることができました。

完璧じゃないかもしれない。
でも完全に燃焼できたものでした。

感謝

新しい学校のリーダーズのライブステージのクオリティに追いつこうと必死に努力して、みんなが主役になれるように構成されたステージ。
たくさんの気づきと明るさをくれたのはTrue Colors DANCERSのみんなだった。

みんなと会えて、みんなと練習の日々を過ごしたから、
本番が心に残るものになったんだと感じてます。


そして、みんなが憧れの新しい学校のリーダーズさんとだったから、
こんなにも気持ちよかったんだと思います。

今の時代、学校でもどこでも人と違うことをするのは好まれないことが多くて、学生の僕らはちょっとした気持ちすらも言いづらいことってある。
けれども、いつも笑わせようとしてくれたり、すぐに素直に涙を流せたり、そんなリーダーズさんが普段から見せる感情に対しての自由さが、
はみ出すって楽しいから、個性隠しちゃもったいないから、って教えてくれました。
リーダーズさんみたいにもっともっと青春爽快って思う挑戦をしないとな!
ダンスが好きな僕たちにとって踊る本能001は最高な楽曲でした。

また、今回こうしてダンスに集中することができたのは、本当に多くの様々な皆様からの支えがあったからでした。全体を統括しながらもいつも僕のことを気にかけてくださったARAKIさんSHOTAさんをはじめとするODORIBAのみなさん。メンターとしてダンスの魅力を教えてくれるとともに僕ら学生を常に励ましてくださったMiyuさんやSOCIAL WORKEEERSのみなさん。いつも魅力ある映像で発信してくださったダンスクさんやみんなとの会話を交わさせてくれた手話通訳のみなさん。
このほかにも本当にたくさんの方々が僕たち学生を輝かせてくれました。
感謝で溢れます。ありがとうございました。

この経験がまた走り出せるチカラになる。
全ての方々に、大きな感謝を込めて。


本当にありがとうございました。







ODORIBAさん、
日本財団さん、
NHKさん!!

そして、新しい学校のリーダーズさん!!!!!

最後にどうしても一つ言わせてください。

こんなにも素敵なもの、
やっぱり1回だけで終わりにしたくないです!

今満開に咲いて儚く散った僕たちは、
またそれぞれの土地でダンスして、
まだまだ小さい芽のような存在だけど
いつも空を見上げて成長するんだと誓って、

また「みんなで色とりどりに咲き誇る」
その時のために、いつでも待っていますよ。
花束になれる準備はいつでもできていますから!

きっと、またみんなと花を咲かせる日が来る。

そう信じてます。

さぁ、そろそろ言葉が尽きてきたから踊ろうかーーーーー!!!!!笑

True Colors DANCERS  Motchy

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