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さいはてにあめがふる―道北旅行記③

6/17(月)

船酔い

 朝は苦手だというのに、朝早い船に乗らなければなりません。そうしないと1日で2つの島へ行けないからです。
 だからまだ6時前、静かな最北端の街を通り抜け港へと向かいました。

もう明るい

 フェリーターミナルは、私のような個人の観光客とツアー客とで大賑わいです。前日から引き続き怪しい空ですが、それでも北国観光のトップシーズンには違いないのです。だから月曜日といえども混雑していました。

 フェリーはつつがなく就航するようで何よりですが、天気が悪いせいで海も時化ており、乗船前から揺れる旨のアナウンスがありました。短い時間なので大丈夫だろうと高を括りつつ乗り込みます。

停泊する海上保安庁の船

 ……だめでした。湾を出ると船は上下に大きく揺れ出して、私の胃もはしゃぎ出します。一度お手洗いに行ってすっきりしてから、あとはひたすら身体を横たえて耐えました。


礼文島

 礼文島は花の島、なのだそうです。
 そんな美しいはずの島は濃い靄に覆われて肌寒く、海は何とも言えない鈍い色をして蠢いていました。
 出直すべき天気かもしれません。そうはいっても何度も来れる場所ではありませんから、事前に予約していた観光バスに乗り込んで景勝地を巡ります。
 外では相変わらず霧とも雨ともつかないものが視界を遮っていました。

澄海岬
桃台猫台


利尻島

 お昼過ぎ、今度はお隣の利尻島へ渡ります。
 もう天気についてはすっかり諦めていたのですが、数十分の船旅でうとうとしている間に晴れていました。

仙法志御崎公園

 晴れると海が綺麗です。
 この海浜公園の近くには昆布を売る店が何軒かあり、そのうちの一つでとろろ昆布を買いました。ろくに料理をしませんが、これでインスタントのお味噌汁も美味しくなることでしょう。

 また、公園の駐車場にはテントの下でパンを売っている謎のおじいさんがいました。
 おじいさんは売り物のパンを次々と試食用に切ってしまいます。しらすパンは最後の一つを試食用に切ってしまいました…。
 彼に幸いがありますように。

利尻富士とつるし雲

 観光バスは島を3/4周ほどし、出発時とは別の港へ到着しました。帰りのフェリーはここから出るのです。
 ここまでずっと雲に隠れていた利尻富士の頂上は、最後にその姿を見せてくれました。横に現れたつるし雲の方が立派に見えるのは御愛嬌……。

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