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2021.8.30 ワクチン接種済みの反ワクチン主義者・他

──整理前の情報を手短に報告する【短信】。折々の話題から気になったものをピックアップ。

1 ワクチン接種済みの反ワクチン主義者

以前から反ワクチン活動家のなかでも上層部とくに医療関係者は新型コロナワクチンを接種済みではないかと囁かれていた。許し難いことだが、商売のためならこれくらい汚い手を使っていそうだと納得する人もいるだろう。

しかし、一般の反ワクチン主義者がワクチンを接種したにもかかわらず「ワクチンを打つな」と声をあげていたとしたら驚きのまえに呆れるほかない。

コロナはただの風邪、茶番といった主張をする人々の集まりから脱退して考えを改めた人物がいる。彼が顔見知りの反ワクチン主義者をワクチン接種会場で見かけたというのだ。

彼が自治体の会場で接種を済ませてブースを出たとき、経過観察スペースの席に反ワクチン主義者の女性を見つけた。同じ自治体で暮らしているのは知っていたが、まさか会場にいるとはと足が止まった。オフ会で何度か会っているので人違いではない自信があり持ち物のバッグにも見覚えがあった。

彼女は団体を率いているわけではないがSNS上で積極的に反ワクチン論を展開していた人物だ。彼女も考えを改めたのだろうとうれしくなり声をかけたかったが、誘導された席が離れていたことと彼女もバツが悪いだろうと気づかないふりを通した。そうこうしているうちに経過観察を終えた彼女は会場を出て行った。

当日、彼女のSNSアカウントは更新されなかった。数日後、あのまま活動からフェードアウトしたのだろうかとSNSを覗いてみると、相変わらず「ワクチンは有害」「私はぜったい打たないし家族の接種も止めた」という趣旨の発言をしながら反ワクチン団体のイベントを紹介していた。

人違いだったのかと彼は混乱したが、活動から離れたあと裏切り者扱いのため彼女に真相を聞く手立てがすべてブロックされているので確かめようがない。また場所柄写真はなく会話を交わしていないとあって、接種会場にいたのがほんとうに反ワクチン主義者の女性か筆者も断定をさけたいと思う。

しかし裏切り者とされたくないため反ワクチンを装い続けるのはあり得ることかもしれない。あるいは彼女にとって反ワクチンが感情のフィードバックを他人から得るための道具に過ぎなかったり、自らの負の感情を解消するためのサンドバッグだったなら、こうした態度を取っても不思議ではない。


2 渋谷接種会場に行列した人たち

8月27日金曜日、東京都は若年層のワクチン接種意欲が低いとする判断のもと予約のいらない会場を渋谷に設けたが、早朝から長蛇の列になり広報で伝えれた集合時刻を守った人は得るものなく帰らざるを得なかった。翌日から抽選方式に改められたが依然として多くの人が行列をつくり、抽選ではずれた接種希望者には都庁の会場を勧めるなどしている。

都内で暮らす既に接種済みの大学生2名との雑談で、あの場に行列している人は広報や報道に興味がなく、面倒、あきらめ気分、予約までして打ちたくないという人多かったのではないかという意見が出た。これなら「行けば誰でも打てる」とした都のコンセプトは間違ってはいないことになる。

いままで予約で弾かれていた人ばかりではないとする根拠として、学生だけでなくさまざまな職業に向けた接種会場が既にあったほか、自衛隊東京大規模接種センターでも18歳以上なら予約や接種ができたはずで、自衛隊の会場は予約開始時刻が午後だったので朝が不都合な人にも対応できたのではないかと二人は言う。彼らはどの会場で予約するのがいちばん早く接種できるか調べて、それぞれ接種を受けている。

(表は8月29日段階の東京都が公開している接種会場だが、このほか自衛隊東京大規模接種センターも東京都にはある。なお会場となっている大学の学生や職員でなくても接種可能だ)

わくちんとうきょう
わくちんとうきょうだいがく

こうなると事前に調べなかったか情報に到達できなかった人が多かったのではないか疑わざるを得ないということになる。この推察がかならずしも誤りではないのを、翌日以降も行列ができたことが証明しているのかもしれない。

8月27日の朝の行列について当日中なんども報道された。抽選制が採用されたことと都庁南北展望台も渋谷同様に開放されたことも伝えられている。28日に抽選券を受け取ったのは2226人で、29日は減ったとはいえ1357人だった。だが南北展望台接種会場はガラ空きだったのだ。テレビなどで報道された行列を見て自分たちも列に並ばなければと思い、渋谷にできた列にそのまま並んだのではないか。いままで具体性と切実さに欠けていワクチン接種が、同年代の行動として可視化されて慌てたというのはあり得そうだ。

ただし若年層のうちかなりの人々が報道その他が伝える都庁会場の情報について聞き落としているのか、聞く気がなかったのか、いずれの場合もスマホやPCを使って確認していないか、確認しようとしたが有益な情報に到達できなかったのかもしれない。

こうしてみると5月からはじまった高齢者接種はあんがいスムースに行われたのではないかと思えてくる。筆者のうちハラオカヒサは高齢者たちの予約を取るなど手伝いをしたが、誰の手も借りず予約し会場に行った人々もとうぜんいる。数多くの例外はあれど、自力で予約から接種までやりとげた老人たちは個別接種、集団接種、大規模接種のちがいにはじまり、いつどのような方法で予約がはじまるか事前に理解していたのだ。

なぜ渋谷接種会場は失敗したのか。たしかに現段階で予約なし方式が混乱のもとだったのは間違いない。ワクチンの量の読み違いが悪いのか、情報伝達の問題なのか、若年層のリテラシーの問題なのか、世代問わず現場と現物のほうがネット上のやりとり好まれるのか。今後の第1回、第2回接種だけでなくブースターと呼ばれる第3回接種を滞りなく進めるため原因の解明が必要だろう。



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