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私は黙らない。おまえは黙らせる。 蓮舫さんから考えるファシズム

2011年7月3日、松本前復興担当相が宮城県庁で村井嘉浩知事と面会した際に、記者たちへ向かって「みなさん、いいですか、『書いたらもうその社は終わり』だから」と露骨に圧力をかけた。
2023年3月11日、福島市内で原発存続に否定的な主張を展開するデモが行われた。デモを主催した『すべての原発いますぐなくそう!全国会議(略称:な全/NAZEN)』は中核派の大衆運動組織で、これを筆者がツイッターで指摘すると立憲民主党の米山隆一議員から投稿を消せとツイートとメールが届いた。
2024年7月16日、都知事選敗退後に寄せられた様々な声を受けて「私はね。黙らないよ」と語っていた蓮舫が、朝日新聞記者からの批判的なツイートに「弁護士と相談しているところです。 まず。 朝日新聞への抗議ならびに質問状を出したいと考えています」と言い出した。私は黙らないが、おまえは黙らせる──このように言ったも同然だ。

加藤文宏


1 発端

 蓮舫発言の発端は、朝日新聞記者による次の発言だった。

 記者は、
1.非支持者であっても蓮舫に論評するのは自由。
2.蓮舫の選挙戦は、共産党に「べったり」つまり頼りきっているか仲むつまじい様子だった。
3.自分を支持しないうえに批判するから連合が衰退しているという蓮舫の発言は、自分中心主義で恐ろしい。
4.これらが「ザ蓮舫さん」というありさま。
と指摘したにすぎない。
 まったく法的な問題のない発言に、「弁護士と相談しているところです。 まず。 朝日新聞への抗議ならびに質問状を出したいと考えています」と反応して、記者を追い込んだ蓮舫の様子は異常である。これは自分への論評や批判は許さず、肯定してくれる言論以外は社会から排除しようとする実力行使だった。
 かつて蓮舫は「いよいよ安倍さんの独裁が明らかになってきた」と語った。今回の発言は「いよいよ蓮舫さんの独裁気質が明らかになった」出来事と言えそうだ。

(「いよいよ安倍さんの独裁が明らかになってきた」/民進党の代表だった蓮舫による2017年の党会合での発言)

2 安倍独裁を言語解析で客観的に検証

 ところで何をもって蓮舫はじめ野党の政治家や識者やメディアは、安倍晋三を独裁者と評していたのだろうか。蓮舫は「安倍さんの独裁が明らかになってきた」と言い切ったものの、「国会はなんと息苦しいのか」「考えられないような政治の私物化」と漠然とした感想しか語っていない。
 「アベ政治を許さない」の総本山、共産党も機関紙しんぶん赤旗や会見などでたびたび「安倍独裁」と断定してきた。
 志位委員長の公式ページには、2015年7月13日に行った会見が[徹底審議と国民運動で戦争法案を必ず廃案に 民主主義守れ、独裁政治許すな、安倍政権打倒を志位委員長が会見]と掲載されている。
 会見全文を、意味を持つ最小単位である形態素に分解したうえで、品詞の出現頻度などを解析して、安倍の何がどのように独裁であると語られているか客観的に調べてみた。
 では言語解析(テキストマイニング)で得られた結果を見てみよう。

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