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論破と嘲笑のあとに何が残されたのか──陰謀論者対応の実態

記事執筆中に能登半島地震が発生しました。人工地震などの陰謀論が、あの人たちによって盛大に語られました。このできごとと重ね合わせて読んでもらえたら幸いです。


はじめに

 深みにはまった陰謀論者の家庭は、まるで荒れはてた花壇みたいだった。そこここに残る平穏だった日々の痕跡が、荒廃した家族関係との間に残酷なコントラストを描いている。

 陰謀論者と家族に聞き取りを行い、ネットメディアや論壇誌に記事を寄稿してきたため、私のもとに悩みを抱えた人から次々と相談が舞い込む。相談件数が多かった時期は、神真都Q関係者が続々と逮捕された2022年の初夏から夏にかけてだった。相談の内容が深刻化したのは、団体が崩壊しはじめた同年初秋から初冬だった。
 その後は落ち着いたものの、昨年末はほぼ同時に2件の相談メールが届き、うち一通の内容には「またか」と暗澹たる気持ちになった。X/Twitter上で陰謀論を論破されたり嘲笑されたことがきっかけで意固地になり、それまで双方で折り合いをつけてきた家族や社会との関係がいっきに崩壊したというのだ。
 以前からサブカル系反カルトまたは反陰謀論界隈の軽薄さや思慮の浅さ、正義ぶっている割に何ひとつ問題解決に取り組まない姿勢を指摘してきたが、ここまで悪影響がたび重なると彼らこそ反社会的な存在ではないかと思えてくる。
 では悪影響の具体例から、いま何が発生しているのか報告しよう。これは陰謀論に限らない、SNSの影響や普遍的な家族関係の問題だ。

陰謀論者退治が状況を悪化させた

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