見出し画像

「メディア世論」が世論をつくっている

加藤文宏


第四の権力マスコミの大権力

 「報道が世論をつくる」「政治を動かす」と言われて否定する人はいないだろう。マスコミが社会や政治に影響を与えて当然だからだ。しかし「反安倍」の風潮や、統一教会追及世論と解散命令請求への道筋が、報道によってつくられたと指摘されると否定する人が登場する。おかしな話だ。
 安倍晋三元首相暗殺事件が発生した翌日の2022年7月9日、東京新聞は【「変えるのは言論でなければ」 安倍元首相銃撃死 批判封殺の時代訪れるのか」】と題して、舛添要一氏の「反安倍の立場をとっていた人も、口にしにくいムードになる」、一ノ瀬俊也氏の「これまでのように政策への反論ができなくなることも予想される」とする意見を紹介して、同情票が自民党に集まるのを警戒しなければならないと主張した。
 「これまでのように」とされたが、暗殺事件以前も以後も反安倍や政権への批判を「口にしにくいムード」は存在しなかった。モリカケ桜で国政は渋滞し、安倍氏への批判どころか誹謗中傷が飛び交っていたではないか。マスコミが「ある」と言い続けた結果、世論に安倍氏の独裁イメージや口封じイメージが反映されただけだ。
 このようにマスコミが社会に影響を与えるメカニズムを、同志社大学教授の伊藤高史氏が「正当性」モデルとしてあきらかにしている。

ここから先は

2,848字 / 1画像

月額読み放題会員

¥500 / 月
初月無料
このメンバーシップの詳細

会って聞いて、調査して、何が起こっているか知る記事を心がけています。サポート以外にもフォローなどお気持ちのままによろしくお願いします。ご依頼ごとなど↓「クリエーターへのお問い合わせ」からどうぞ。