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マスコミの報道はカビを削り取って食わなければならない餅なのか

加藤文宏


反省しないマスコミの独善

 露骨な偏向報道や捏造報道が溢れている。しかし、私たちにはマスコミの報道以外に幅広く世の中のできごとを知る術がない。カビだらけの餅から、カビを削り取って食うように、報道から事実だけを選び取らなくてはならないのだ。
 だいぶ前になるが、勤務していた会社では鏡開きの行事が行われていた。その年は気候が悪かったのか、それとも餅そのものが悪かったのか、巨大な鏡餅に点々と青、赤、黒のカビが生えていた。飾りのシダや昆布で隠れた場所は、カビが花畑のようになっていた。割ってみると中身は白い。しかし、どこまで菌糸を伸ばして毒素を出しているかわからないので、社員に汁粉を振る舞う恒例の行事は取りやめになった。
 このときの鏡餅が、いまどきの報道とぴたりと重なる。
 偏向していたり捏造されているのが一目瞭然な報道は、鏡餅の表面に生えた色とりどりのカビだ。これを削りとっても残りがまともな報道とは限らず、見た目ではわからない毒素が回っているかもしれない。
 初めからカビが生えている餅など、食べ物としても商品としても失格だ。こんなものが出回ったら、大急ぎで回収しても保健所が黙ってはいない。ところがマスコミを監視して規制するシステムや権力がなく、偏向報道や捏造報道を批判したり罰しようとすると言論弾圧と騒がれる。このため、公正な放送をしなければならないと定めた放送法第4条、罰則を定めた同第174条と電波法第76条は事実上封印されている。しかも新聞など他の分野には、これらに等しい法律はない。
 怖い者なしなのだから、カビだらけの餅を売る商売をマスコミは反省しない。それなら使い道のない放送法第4条などなくしてしまい、放送に限らずマスコミをネット上のインフルエンサーと何ら変わらないものとして扱ったほうが割り切りがよいはずだ。


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