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Kヒロとハラオカコロナ禍を論考

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2020年1月からコロナ禍を記録し続けているコロナ禍カレンダーとともに、調査や取材を通してコロナ禍ゆえの問題を考察します。
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#陰謀論者

ワクチン忌避者・陰謀論者 彼らが戻れなくなった理由とリセットへの道筋

ワクチン忌避者や陰謀論者との関係に平穏を取り戻したい。これから紹介するメソッドでコロナ禍以前の状態までリセットされた人や、ひとまず平穏さを取り戻した家庭があります。 調査・構成・図版/写真 加藤文 協力 ハラオカヒサ 序/2年間50人の動向 2020年の半ばから現在まで、コロナ禍に登場したマスク拒否者、ワクチン忌避者、陰謀論者のほか彼らの周辺を取材してきた。消息が途絶えた者も多いが、長い例では1年半以上にわたって変化を追った。  たとえば神真都Qが逮捕者を出した直後は1

コロナ禍を騒がせた彼らはさっそく忘れられてなにも解決されないままひとつの時代が終わるのか

コロナ禍が“原因”で反ワクチンや陰謀論の騒動が“結果”なら、この結果が原因になって新たな問題が登場しても不思議ではない。あの奇妙な人々の騒動が賞味期限切れの話題になっても、彼らは消えていなくなったわけではないのだ。 彼らは消えていなくなったわけではない2020年1月に国内で新型コロナ肺炎の感染者が見つかってから、私たちは今まで経験したことのないできごとに翻弄され続けてきた。こうしたできごとには変異株が登場したように人智の領域を超えたものもあったが、多くは人間が右往左往したた

期待通りの物語がほしい反ワクチン派80%が陥ったウクライナ・ネオナチデマ

ウクライナ侵攻問題でロシアの主張を鵜呑みにする反ワクチン派を知るための調査と仮説。考え、論じるための材料です。 著者/加藤文宏 調査/Kヒロ+ハラオカヒサ:プロジェクト この記事の結論 ウクライナをネオナチ国と信じたのは誰だ2022年2月24日、ウラジミール・プーチン大統領がウクライナに軍事侵攻する目的をウクライナの非軍事化と非ナチ化であると説明した。 ウクライナにはナチス・ドイツに加担したウクライナ民族主義者バンデーラを英雄視する風潮があるほか、極右政党スヴォボーダ

陰謀論に取り憑かれた大切な人といかに向き合うか

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ はじめにいまから順を追って一から説明します。疲れたら休みながら気が向いたとき読んでください。すべてを信じる必要なんてありません。少しだけだったとしても参考になるものがあれば幸いです。 ─・─ 奇妙で迷惑な考え方に取り憑かれた人が、消しゴムをかけたように元の状態へ戻ることはほぼありえないと考えてください。 引き返せた人はいます。かなりきれいに消しゴムがけした人もいます。でも痕跡が残ります。またあなたは消しゴムがけの手伝いすらほとんどできない

終わらせたくない彼ら/反ワクチン陰謀論と6時間

陰謀論者はコロナ禍の終わりを想定していない。帰るべき場所もなくなっていた。そもそも目覚めるとは何なのか。 取材:加藤文(Kヒロ) マネージメント:ハラオカヒサ はじめにまず最初に、お断りしておかなければならないことがある。 2021年7月、筆者は知人から旧知のA(30代男性)がSNSで陰謀論を元に反ワクチン、反マスクの主張をし、主張通りの行動をしていると教えられた。陰謀論の只中にある人への取材は十分ではなくわからないままで解決されない問題がいくつもあったためAと接触して

YouTubeではじまる宗教体験と目覚めの高揚感

著者:X(ケイヒロ)、ハラオカヒサ 第一部 人が変わってしまった・一方的に迷惑をかけ続ける人たち Qアノンやビルゲイツのマイクロチップ説、地球平面説、ピザゲート、アメリカの月面着陸ねつ造説、イルミナティ、ニューワールドオーダーなど「極少数のエリートが世界を配している」という主張がある。 このような主張をする困った人たちに振り回されてはいないだろうか。偏執的に特定の考え方に傾いてしまった家族や知人を対処しきれず疲れ果てていないだうろか。 2020年1月以来、1年半の長

彼女が慈善事業から、コロナは茶番、ノーマスクピクニックに変わるまで

著者:加藤文宏、ハラオカヒサ 陰謀論者はいつから陰謀論者なのかコロナ禍では“コロナはただの風邪” “コロナは茶番” のほかワクチンをめぐる陰謀論がSNSを駆け巡り、驚くほど多くの人を影響下に置いた。 では影響された人は最初から陰謀論者で、“コロナはただの風邪” “コロナは茶番” “ワクチンを打つと5G電波に支配される” という言説を取り入れただけだったのか。 もちろんこのような人もいただろうが、ごく普通の人(にみえる人)が陰謀論に共感して陰謀論者になったと考えるほうが自

“コロナはただの風邪”は意図的に拡散され利用された

この言葉はいつから・2020年1月から5月 いつ「コロナはただの風邪」という言葉が使われはじめたか、それはどのような人たちが、どのような意味で、意図で使ったのか。それとも自然発生したのか。すくなくとも「コロナ」とあるから日本でコロナ肺炎が報道されたり蔓延したあとに生まれた言葉なのは間違いない。 新しい言葉だけにWEB上にいつ登場したか調べるほかないため、年月日を細かく区切りながら検索と候補の確認を繰り返した。 WEB上に残された(初出もくしは初出に近い)古い例として、2