マガジンのカバー画像

Kヒロとハラオカコロナ禍を論考

56
2020年1月からコロナ禍を記録し続けているコロナ禍カレンダーとともに、調査や取材を通してコロナ禍ゆえの問題を考察します。
運営しているクリエイター

#コロナ禍の記録

コロナ禍を騒がせた彼らはさっそく忘れられてなにも解決されないままひとつの時代が終わるのか

コロナ禍が“原因”で反ワクチンや陰謀論の騒動が“結果”なら、この結果が原因になって新たな問題が登場しても不思議ではない。あの奇妙な人々の騒動が賞味期限切れの話題になっても、彼らは消えていなくなったわけではないのだ。 彼らは消えていなくなったわけではない2020年1月に国内で新型コロナ肺炎の感染者が見つかってから、私たちは今まで経験したことのないできごとに翻弄され続けてきた。こうしたできごとには変異株が登場したように人智の領域を超えたものもあったが、多くは人間が右往左往したた

私たちはヒーローだった・コロナ禍2年を振り返る

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 人の心がパンデミックを左右したマスクをつけて、手洗いをして、自粛して、ワクチンを接種する。やるもやらないも各人の意識次第。人の心がコロナ禍の様相を左右しました。 やるかやらないかがコロナ禍を左右したのだから、実行した人々は闘い続けた人々で、互いに尊敬しあえるヒーローと言ってよいでしょう。これが2年間の結論です。 しかし「ただそれだけのこと」を拒んだ人々も多数いました。次に示す画像は、反ワクチン派の人物が彼自身について説明した走り書きの一部で

反ワク・チラシの正体と見えない集団

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 郵便受けに投げ込んでいるのは誰かコロナ禍で発生した諸問題をこれまでに40回近く記事に取り上げてきた過程で、反マスク派・反ワクチン派の活動をしている人や活動をやめた人から話を聞く機会があった。こうした人々の証言をもとに、今回は郵便受けに投げ込まれる正体不明のチラシについて考えようと思う。 そもそも誰が郵便受けにチラシを投函しているのだろうか。 反マスク派・反ワクチン派の人々が自ら地域を歩き回ってチラシを配る例だけでなく、ポスティング会社に配布

みんな記録を取ればいいと思うよ

著者:加藤文、ハラオカヒサ 小学生の偉業から学ぶべきもの2021年、小学生の地道な努力によって成立した論文や観察記録が世界的に高く評価され、ニュースで報道されたことで話題を呼んだ。 高く評価されたのは、日本に生息するカブトムシは完全な夜行性という定説を覆した埼玉県の小学6年生の観察と記録、青森県平内町の小学生が55年間ハクチョウの飛来と旅立ちを観察した記録だ。それぞれ論文となり前者は小学生が第一著者としてEcologyに、後者は研究者が論文にまとめData in Brie

孫にワクチンを接種させるなと姑の圧力が

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 接種数1.95億回時代のワクチン忌避新型コロナ肺炎ワクチンの接種をめぐって本年の10月以降大きな変化があった。 反ワクチンなどカルト的な集団からの離脱方法を伝える記事を書いたことがきっかけになって、筆者のもとに数多くの相談が寄せられた。10月以降、家族内のトラブルに悩む人から届くメールが増え、そのなかでも姑(義理の母)による干渉が群を抜いて多かった。 こうした変化は接種対象年齢がさがったからだろうし、姑の干渉が家族内トラブルとして古典的であ

しばしの休憩/怒涛の半年を軽くつぶやく

ケイヒロ、ハラオカヒサ 2週間のご無沙汰でした2021年の初夏から書き進めてきた『コロナ禍カレンダー考察』は1週間に記事を2本公開するペースが続き、準備を含めると数本分を同時進行させるスケジュールがあたりまえになっていました。 ネット上にある情報や報道だけを追うなら別ですが、記事を書くにあたってインタビューと調査を行っていたため文字通りの自転車操業です。 そこまでやらなくても、と身近な人々に言われたのは一度や二度ではありません。しかしコロナ禍は状況が刻々と変化したうえに

デフレ世代30代の反ワクチンとアフターコロナ

就職氷河期と余波を受けた世代が反ワクチンの中心層を成しています。奪われるだけで得るものがなかったデフレ時代の世代が国の方針に従わなかったのは当然だったのかもしれません。 著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 折り返し地点を通過して証言から── (デモや講演会の参加者について) 「30代。40代でも若めの人。ノリがいい年代で子供のワクチンに神経質になっているのかもしれないですね。年齢高めの女性も多いです」 「リーダー格だと平塚正幸は39歳、池田としえは60歳くらいだったはずです」

30代に何が? 反ワクチンの世代

世代は社会や文化的背景で特徴づけられます。30代から40代にかけての層がコロナ禍の反ワクチン運動で目立ったとする証言やデータがあります。 著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ (2021.10.20 誤記訂正 / ある候補の得票率にみる反ワクチンの項、一箇所) 運動の中から見た年齢層それは反ワクチン活動から離脱した人が発した一言だった。 (デモや講演会の参加者について) 「30代。40代でも若めの人。ノリがいい年代で子供のワクチンに神経質になっているのかもしれないですね。年齢

潮目が変わった9月と今後を考える。コロナ禍カレンダー 2021.9

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 9月はあきらかに違ったコロナ禍カレンダーは2020年1月から現在まで、名前の通り新型コロナ肺炎にまつわる情報と時事や世相で目立ったものを合わせて記録したカレンダー形式の月表だ。 先日、コロナ禍カレンダーの2021年9月版をつくり終えてこれまでと明らかな違いを感じた。 9月、新型コロナ肺炎周りの話題はワクチンの接種率や第3回め接種についての話題が増え、世の中は自民党総裁選への関心で盛り上がりをみせた。最悪の感染第5波は収束し、医療機関は久しぶ

新型コロナ肺炎から見た情報のデジタル化

──デジタル化の障壁は老人なのか。使えない人は切り捨てるべきなのか。日本だけの問題なのか。 著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ はじめにコロナ禍は特別定額給付やワクチン接種など、情報伝達にはじまり申請や予約までデジタル化について考えさせられる出来事が多かった。マイナンバーカードとの連携が強化されたらもっと迅速に簡単にことが運ぶのではないかと考えさせられもした。 ワクチン接種の予約に電話を選んだ人は、WEBフォームから臨んだ人より圧倒的に不利だった。オペレーターにつながらず諦め

あの人たちの常識・埋めがたい溝・コロナ禍の明日

自分だけは感染しないという人、反マスク反自粛運動の人、ウレタンマスクを頑なに使い続ける人。あの人たちの常識は理解しがたい。しかしコロナ禍の行く末を左右するのは、あの人たちだ。 当記事では感染するはずがないという人、反マスク反自粛運動を経験した人、ウレタンマスクがやめられない高校生といったあの人たちの常識を明らかにしつつ、今後新型コロナ肺炎蔓延に与える影響を考えることする。 著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 感染するはずがないという人たちほとんどすべての人がマスクをつけて街を

第5波はどのようにしてつくられたか

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ ──私たちの多くは2020年4月から9月頃までコロナ対策の基本を順守していた。いま自粛していない人たちは、遅くとも2021年春から自粛を拒否していたのではないか。 あのとき私たちは何も知らなかった2020年2月6日、ケイヒロは千葉県館山市でロケハン(撮影の下調べ)をしていた。早朝から房総半島南端部を行き来し、正午になり馴染みの飲食店に入った。 広く天井が高い店内では、茶は給茶器からのセルフサービス、注文さえ済ませば小皿料理などは取り放題とい

大学生へのワクチン忌避の広がり調査とママ友問題

──ワクチン忌避の態度を取りデマを信じるのは頭が悪いから、情報弱者だからと言っているだけでは多くのものを見落とすだろう。 著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 大学拠点接種を前にしたワクチン忌避の広がり新型コロナワクチンの大学拠点接種がはじまろうとしていた時期の大学生の心理を考えるうえで興味深いできごとがあった。考察に必要な情報以外の大学、組織、学生個人などを匿名化したうえで経緯を説明する。 都内のA事業所ではB大学のCサークルに所属する学生が以前からアルバイトをしている。Cサ

反ワクチン報道と偽史「プロメテウスの罠」の共通点

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 原発事故後の2011年10月から2016年にかけて偽史「プロメテウスの罠(朝日新聞)」が書かれたことで、社会の分断が決定づけられ正当化され議論さえまともにできなくなり現在に至った。「プロメテウスの罠」は、ある種の人々に媚びる報道が行き着いた末に生まれた化け物である。コロナ禍後に同じ過ちが繰り返されないよう、私たちは警戒し続けなければならない。 ワクチン忌避型報道の量と実感新型コロナ肺炎をめぐる話題は、2021年半ばになりワクチンとオリンピック