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Kヒロとハラオカコロナ禍を論考

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2020年1月からコロナ禍を記録し続けているコロナ禍カレンダーとともに、調査や取材を通してコロナ禍ゆえの問題を考察します。
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#新型コロナウイルス肺炎

ワクチン忌避者・陰謀論者 彼らが戻れなくなった理由とリセットへの道筋

ワクチン忌避者や陰謀論者との関係に平穏を取り戻したい。これから紹介するメソッドでコロナ禍以前の状態までリセットされた人や、ひとまず平穏さを取り戻した家庭があります。 調査・構成・図版/写真 加藤文 協力 ハラオカヒサ 序/2年間50人の動向 2020年の半ばから現在まで、コロナ禍に登場したマスク拒否者、ワクチン忌避者、陰謀論者のほか彼らの周辺を取材してきた。消息が途絶えた者も多いが、長い例では1年半以上にわたって変化を追った。  たとえば神真都Qが逮捕者を出した直後は1

しばしの休憩/怒涛の半年を軽くつぶやく

ケイヒロ、ハラオカヒサ 2週間のご無沙汰でした2021年の初夏から書き進めてきた『コロナ禍カレンダー考察』は1週間に記事を2本公開するペースが続き、準備を含めると数本分を同時進行させるスケジュールがあたりまえになっていました。 ネット上にある情報や報道だけを追うなら別ですが、記事を書くにあたってインタビューと調査を行っていたため文字通りの自転車操業です。 そこまでやらなくても、と身近な人々に言われたのは一度や二度ではありません。しかしコロナ禍は状況が刻々と変化したうえに

あなたはどこで感染しましたか? ──対策してくださいを言えずに

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 会食やイベント会場だけではない問題この記事を書くきっかけは家電工事にきた方の次のような言葉だった。 どんなお宅に行くかわからないから怖いですよ。行った先でマスクをつけていないとか、それで変な咳をしているお客さんがいても断れないし、そういう人もいましたから。 もし工事を依頼しなかったら、こうしたコロナ禍の不安や恐怖について気づかないままだったろう。 複数の人が飲食をともにするだけでなく会話に花を咲かせる会食、密室内で複数が熱唱するカラオケ、

反ワクチン報道と偽史「プロメテウスの罠」の共通点

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 原発事故後の2011年10月から2016年にかけて偽史「プロメテウスの罠(朝日新聞)」が書かれたことで、社会の分断が決定づけられ正当化され議論さえまともにできなくなり現在に至った。「プロメテウスの罠」は、ある種の人々に媚びる報道が行き着いた末に生まれた化け物である。コロナ禍後に同じ過ちが繰り返されないよう、私たちは警戒し続けなければならない。 ワクチン忌避型報道の量と実感新型コロナ肺炎をめぐる話題は、2021年半ばになりワクチンとオリンピック

YouTubeではじまる宗教体験と目覚めの高揚感

著者:X(ケイヒロ)、ハラオカヒサ 第一部 人が変わってしまった・一方的に迷惑をかけ続ける人たち Qアノンやビルゲイツのマイクロチップ説、地球平面説、ピザゲート、アメリカの月面着陸ねつ造説、イルミナティ、ニューワールドオーダーなど「極少数のエリートが世界を配している」という主張がある。 このような主張をする困った人たちに振り回されてはいないだろうか。偏執的に特定の考え方に傾いてしまった家族や知人を対処しきれず疲れ果てていないだうろか。 2020年1月以来、1年半の長

社会運動の快楽(母という存在から)

━━あの人はなぜ反ワクチン運動に駆り立てられたのか 著者:X、ハラオカヒサ はじめにこの大変なコロナ禍に、あの人はなぜ陰謀論に取り憑かれてしまったのか、あの人はなぜ社会全体にワクチンを打つなと叫びつづけているのか。これまで数回にわたり論考してきました。 今回はタイトルにあるように「母親」という立場に注目し、社会運動を通じ思考や言動が先鋭化して周囲の人々との関係が崩壊するケースと、なぜそこまで進むのか社会運動で得られる報酬としての快楽を考察します。 ・ コロナ禍にあっ

10年後うっせい黙っていろと言われる。だから……

著者:X、ハラオカヒサ 震災は10年前、オウム真理教事件は30年前子供から「昭和って侍がいたんでしょ?」と言われショックを受けた親の逸話が話題になりました。10〜20年後、間違いなくコロナ禍は“昭和の侍”のような扱いを受けるでしょう。 先日、次のような年表を公開しました。 年表はワクチン忌避の発生を説明するもので、出来事ひとつで何かが変わるという話ではなく、いろいろ影響して人と時代が変わるという意味のものです。そのなかでもオウム真理教事件と東日本大震災について反応される

あの人はなぜワクチンデマを信じるようになったのか

著者:X、ハラオカヒサ あの人が陰謀論を語りはじめたツイッターのほかnoteにも直近のものから以下のように陰謀論とデマについて記事を書いてきた。 そして親が、兄弟姉妹が、友だちが、同僚が陰謀論を得々と語りはじめ、ワクチンなんて打たないと言い張っているという話があまりにも多く、このような体験をしている人がアカウントをフォローしたり記事を読んでくれている。 こうした陰謀論に染まったりデマを頑なに信じて軌道修正が不可能になった人たちはコロナ禍が終焉したら元通りのあの人に戻るの

彼女が慈善事業から、コロナは茶番、ノーマスクピクニックに変わるまで

著者:加藤文宏、ハラオカヒサ 陰謀論者はいつから陰謀論者なのかコロナ禍では“コロナはただの風邪” “コロナは茶番” のほかワクチンをめぐる陰謀論がSNSを駆け巡り、驚くほど多くの人を影響下に置いた。 では影響された人は最初から陰謀論者で、“コロナはただの風邪” “コロナは茶番” “ワクチンを打つと5G電波に支配される” という言説を取り入れただけだったのか。 もちろんこのような人もいただろうが、ごく普通の人(にみえる人)が陰謀論に共感して陰謀論者になったと考えるほうが自

コロナ禍と“老害” 世代間分断の実相

著者:X、ハラオカヒサ はじめにSNSを中心にコロナ禍で老害批判が盛り上がり、世代間の分断があからさまになったのを感じます。 鬱屈が長期間にわたって解決されないコロナ禍の生活では世代間に限らずさまざまな分断が生じているため、疫学的な評価と別に分断の時代だったと後世で語られるかもしれません。 この問題は、2021年の春に話題になった「路上飲み」など自粛しない若者にもつながっていきます。次回以降、世代間分断としての「路上飲み」や、他の分断について論考する予定です。 今回は

マスクの高値バブルにとどめを刺したのはアベノマスクだったのか

著者:ハラオカヒサ、(加藤文宏) はじめに当記事は2020年4月7日に配布が決定された布(ガーゼ)マスクいわゆるアベノマスクを考察します。今回、中国からマスクを輸入し販売していた人物を筆者が探し出し取材しました。 マスクを配布したのは日本だけではなく、フランスでも2020年5月10日から8万枚の布マスクが配布されました。ちなみにフランスの人口は6706万人です。このフランスの政策が批判を浴びたとする報道を私は目にしたことがありませんが、当時首相だった安倍晋三に対して“アベ