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BTSに学ぶ「LOVE MYSELF」


BTSのIDOL…2021年1月現在、MVの視聴回数は8億回越え。
どの曲のMVを見ても「は?全員顔良すぎでは?」と思わせてくれる少年団だけど、IDOL期の7人はとりわけ顔面偏差値がバグっている

完璧なヘアメイクとカラフルな衣装でまさに「KーPOPアイドル」な7人の強烈な視線から始まるMV。本当にさ!顔の圧が強いのよ!こっちは君たちの顔圧で簡単に死んじゃうからね!?

視覚的なインパクトの強さもさる事ながら、リーダーRMのラップから始まる曲の出だしも凄まじい。

You can call me artist
You can call me idol
아님 어떤 다른 뭐라 해도
I don’t care

俺をアーティストって呼んでもいい
アイドルと呼んでもいい
いや他のどんな呼び方だって
俺はどうでもいいよ

いかにもアイドルな出立ちで歌い上げるそのラップはとても皮肉だ。


私は小学生の頃からアイドルが好きな筋金入りのドルオタなのだが、それを公言した時「所詮アイドル」などと何故かアイドルというものを下に見て軽んじている言葉を投げかけられたことがある。それも一度や二度ではない。
隠すわけではないけども、あまり大っぴらにアイドルが好きだとは言わなくなった。


アイドルとアーティストの違いってなんだろう?
完全に個人的な考えだし少し聞こえは悪いかもしれないが、私はアイドルを「未完成な人たち」だと思っている。ファンは彼ら(彼女ら)自身や楽曲・ダンスはもちろんだが、スキルを磨いてアイドルとして、そして人間として成長していくところを愛でて応援する。彼らの背景や可能性まで込みで好きになるのだ。

2020年は日本でNiziプロが流行ったし、韓国でもオーディション番組がいくつも開催されるのは「若者の成長ストーリー」に惹かれ心打たれる人が多いからではないかと思っている。


一方アーティストは「芸術家」という意味の通り「自らの才能を提供してくれる人」だと解釈している。その道のプロフェッショナル。成長というよりは「進歩」もしくは「進化」をする人たち。


愛し方はそれぞれ異なるし、優劣はつけられないはずだ。



ではBTSは何にカテゴライズされるのだろう?

もちろん努力もあるだろうがセンスや才能に溢れていて、歌唱力・ラップスキルが高くダンスも上手いし自分たちで楽曲を作ることもできる。(顔もいい)

デビューして新人賞を取りはしたが音楽番組で一位を取るのには時間がかかったそうだ。個人的には「一位至上主義であって欲しくない」と思っているのだけど(一位を獲れなくても素敵な曲はたくさんある)、韓国音楽番組での順位はCDの売上だけでなくストリーミング回数やファン投票などが反映するからアイドルたちにはとても意味深いものなんだろう。
そんなBTSも後にはビルボードで一位を取りグラミー賞にノミネートされるまでに成長する。先日「#Dynamite29thWin」(Dynamiteが一位を29回獲った)というすぐには理解が追いつかないタグまで見かけたし、なんなら一位候補がBTS対決だった。すごすぎる!


前述した私なりの「アイドルとアーティストの定義」に無理やり当て嵌めるならばBTSはどちらにも当てはまる。

結局のところ「IDOL」という曲の通り、BTSは「BTS」。どんな肩書きをつけられようとも揺るがないし、何でもないからこそ何にでもなれる人たち。


「IDOL」という曲で特に印象に残るのは曲中何度も繰り返される「You can’t stop me lovin’ myself」というフレーズだ。英語が中学生レベルで止まっている私にもわかる優しい一文。


「お前には俺が俺自身を愛する事を止められない」


なんというパワーワード。初めてこのフレーズを聴いた時は正直「共感できねー笑笑笑」と思った。自分自身を愛する…私には全くといっていいほどピンとこないワード。
とても強い自己肯定と自己愛を歌う「IDOL」だけど、ではBTSの7人からそこまで強烈なナルシズムを感じるかと言われるとそういうわけではない。

何故彼らがこんなにも強い自己愛の歌を歌うのか気になり調べたら、彼らがユニセフと展開する「LOVE MYSELFキャンペーン」というものを知り、そこからRMの国連でのスピーチ動画を見るに至った。

まーーーなんと立派な青年だろう…。キム・ナムジュンを産み育ててくれたご両親への感謝が止まらなくなるほど感激した。
私がナムジュンの母だったならばスピーチ映像はDVDに焼いて親戚とご近所さんに配るし、原稿は死んだ時に棺に入れるよう念入りに頼む。一緒に燃やしてくれ。

国連のスピーチに限らず、ナムジュンの言葉は素晴らしいものが多い。コンサートでのメントや記者会見での質疑応答など、頭の回転の速さと誰のことも傷つけない言葉選びに感心する。元々の頭と性格の良さもあるんだろうけど、たくさんの本や音楽に触れているんだろうな〜と感じる。ラップモンスターなのに文学青年なのほんっとずるいって…。
いつかキムナムジュン語録を出版して欲しい。神棚に飾らせてくれ。


ここで少し自分語りをする。
私は自分のことが好きではない。
自分のことを好きだといってくれる人に対して「ええー私なんかを好きなんてありえない…笑」と思ってしまうくらいには自己肯定感が地の底だ。
ここ数年の恋愛は「嫌われないように」と先回りしていい女を演じてしまい、それが理由でうまくいかないことがあった。
両親に愛されなかっただとか歪んだ思春期を過ごしただとかそういったことは全くない。大丈夫、友達もそれなりにいるし青春時代は元気に楽しく過ごしたよ!

多分数年前に「大手企業で総合職としてバリバリ働く自分」を放り投げた時、私の自己肯定感は死んだ。

転職以前の私は少なからず仕事をしている自分に関してだけは自信があった。決して自分を好きではないけども、誇れるものはあった。同僚や地元にいる友人からはよく「キラキラしてる!」と言われたものだ。当時は「キラキラとは???からかってる?」と思っていたけど、今の自分だからわかる。都会で仕事に趣味(アイドル)に一生懸命でガムシャラだったあの時の私はキラキラしていた。

でも今の私はナムジュンに「あなたの名前は何ですか?自分自身のことを話してください。」と聞かれてもマジで名前しか答えられない。その名前だってひきつったきしょい笑顔を浮かべながらドモリまくる。(それはそう)

いい歳してなんとも情けないけど、これが今の私。
自己肯定感が低いことに少しだけ生きづらさを感じている。


BTSを好きになって追いかけるうちに、世界中から愛されてカリスマ的な人気を誇る彼らも舞台を降りればストレスや悩みもある普通の20代の青年であることを知る。一人の人間なのだから当たり前のことなのだけど、彼らの職業の性質上普段はそれがとても見えづらい。

衝撃だったのは2018年のMAMA。受賞スピーチで「解散するかしないかまで考えた」と言い涙を流す彼らの映像を見て、がつんと頭を殴られたような衝撃を受けた。その時の泣いている写真や一部分を切り取られた動画は見たことがあったのだけど、涙の理由がまさかそんな理由だとは。スピーチ動画を見る少し前に「Burn the Stage」を見終えたばかりだったから、世界的人気を確かにしメンバーの絆も深まったであろう長いワールドツアーを終えてすぐにそんな事態に直面していたことが信じられなかった。

そして彼ら個人が持っていた「弱さ」を知った。
(弱さという言葉で括れるものではないけども、ここでは便宜上そう置いておく)
かっこよくて可愛くて不敵で最高に輝いているステージ上やカメラの前の彼らからは微塵もそれは見て取れない。でも強烈なナルシズムを感じなかった理由は、ここにあったのかもしれない。

たくさんのものを手に入れて商業的に成功している彼らの苦悩。成功しているからこその苦悩も多いんだろう。とてもとても心が痛んだ。

自分を「ワールドワイドハンサム」と呼ぶことや天才だと形容することも、もしかしたら自らを鼓舞するためだったのだろうか。



でも彼らは苦悩を音楽に昇華し、表現している。
ソロ曲や自作曲を聴いて彼らが持つ悩みや導き出したものに触れられた気がした。(마지막 (The Last)に触れるのはもう少し時間と勇気が必要でまだ聴けていないけど…)

誰だって思い悩んでいる自分の姿なんて人には知られたくないものだ。彼らの職業なら尚更そうなはず。一つの作品にすることだって苦悩と真正面から向き合わなければいけないのだから簡単なことではない。とても辛い作業だと思う。
だからこそその過程や生み出されたもののおかげで辿り着く答えがあるんだろう。

僕は自分の悲しい感情をファンのみなさんと共有したくありません。良いものだけをお見せしたいからです。
だけど、それが音楽であれば話は変わります。普段、僕の行動としては共有したくないけど、音楽としてならお見せしても大丈夫だと思います。

彼らに音楽があってよかった。


IDOLが収録されている「LOVE YOURSELF 結 `Answer'」のラスト、そして他者への愛や別れを歌ってきたLOVE YOURSELFシリーズ起承轉結の締めくくりとなる「Answer:Love Myself」では「自分自身を愛すること」に辿り着く。

내 안에는 여전히 서툰 내가 있지만
僕の中には今でも 不器用な自分がいるけど

You've shown me I have reasons I should love myself
君が教えてくれた 自分自身を愛すべき理由を

내 숨 내 걸어온 길 전부로 답해
僕の息 僕が辿ってきた道 その全てで答えよう

어제의 나 오늘의 나 내일의 나
昨日の僕 今日の僕 明日の僕

(I’m learning how to love myself)
(学んでいる途中だ 自分自身の愛し方を)

빠짐없이 남김없이 모두 다 나
一つ残らず 余すところなく 全てが僕なんだ

数年前の曲ではあるけども、彼らもまた自分を愛することを学び成長している途中なのかもしれないと思うと、そのことが少しだけ嬉しくてなんだかホッとした自分がいた。彼らも同じかもしれないということはとても心強くもあるのだ。


BTSのワールドツアー「Love Yourself」最終公演でのリーダーのスピーチ。
これもとてもとても素敵。

Love Youeselfツアーを通して、僕は自分自身を愛することがわかり始めた気がします。僕は自分の愛し方など何も知りませんでした。だけど、みなさんが大きな愛で、そしてツイートや手紙など、さまざまなことを通して僕に教えてくれました。みなさんの教えや励ましによって、僕は自分を愛することを学んでいきました。

あなた自身を愛するってどういうことですか?自分自身を愛するってどういうことですか?僕にはわかりません。

誰が自分自身を愛する方法を定義できるのでしょうか?それが僕たちの使命です。僕たちの使命は、私たち自身を愛する僕たちなりの方法を見つけて、定義することです。

意図していたわけではありませんが、僕は自分自身を愛するために、みなさんを利用していた気がします。なので、一つだけ言います。ぜひ僕を利用してください。ぜひBTSを使ってください。あなた自身を愛するために。

なぜならみなさんが毎日、僕たちに僕たち自身を愛することを教えてくれるからです。

「あなた達のおかげで自分を愛することができた」と応援している人たちに言ってもらえるのはなんて幸せなことだろう。その上あなたも自分自身を愛するために僕たちを利用しろとまでいってくれる。

BTSでさえも自分自身を愛するためにARMYを利用する。
ならば私だって利用してやろうじゃんBTS!



いつかナムジュンに「あなたの名前は何ですか?自分自身のことを話してください。」と言われることがあれば(ないです)、「あなたたちのおかげで自分を愛することができた。BTSが大好きです。」と言えるようになりたいものだ。
そして以前のように「アイドルが好き!」と自信を持って言える自分を少しずつ取り戻そう。

自分自身の愛し方なんて知らないで生きてきたから、彼らを見て、彼らの音楽に触れてゆっくり学んでいこう。まだまだ人生は続くのだから自己肯定感の強い自分だって経験してみたいじゃない。
BTSだけじゃない、私だって何にでもなれるはず。

自分の見た目も愛せるように、2020年で増えに増えた体重も落とそうね♡


※見終わるのがもったいなさすぎてボンボヤージュはちまちまと見ている途中だし、In the SOOPのネタバレは徹底的に避けている。なのでまだまだ彼らの情報は足りていない状態です。あくまで今時点の私が持つ情報で感じることなので、もし事実と異なる部分があれば優しく教えてくださると泣いて喜びます。


元々は一つ前のnoteで予告した通り韓国アイドルの人気と「魔の7年ジンクス」こと契約更新そして兵役について書いていたのだけど、まさに書いている真っ最中に応援しているグループの契約問題が浮上して書く手が止まってしまった。
アイドルグループがスタート時点と全く同じ形で続いていくのは難しいと知っているつもりだったが、何度経験してもやっぱり辛い。

少し時間を置いたら、今回感じた事も含め改めて書き残そうと思う。




以前書いたnoteにたくさんの「スキ」をつけていただいてありがとうございます。フォローしてくださった方も!何事か!?とびっくりしましたが、思いがけずたくさんの方に見ていただけてとても嬉しいです♡
Twitterも始めましたのでよろしければそちらも。

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