「前提が大事」とはこのことだったのか!と気づいた話
さをり布を手芸材料として売るお店、コースタ814 を開店してから今日で四日目です。
おかげさまで布たちは順調に売れていき、
「これは絶対売れますから! 売らせてください!」
と勢いこんで段ボールごと買い取ってしまった「可愛いさをり織りの布」たちは、日本全国に旅立って行きました。
昨日と今日は初日に発送した布が届いたお客様から、
「届きましたよ!」
というご連絡とともに素敵な写真をたくさん送っていただきました。
端のガタガタしているところも、目が飛んで透けているところも
「これも、味ですよ」
と受け入れてくださってありがたい限りです。
四日間の売り上げはこんな感じでした。
まだまだ友達が買ってくれているご祝儀購入だと思うのでショップとしては販路を開拓せねばならず、楽観視できないとは思っています。けれど、こんなにもたくさんの方に応援していただけたことが何よりも嬉しいです!
皆様、本当にありがとうございました。在らん限りの感謝と愛を送らせていただきます!
そして、ここから唐突にタイトルのお話に変わります。
皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?
「何をするかではなく、どんな気持ちでするか、その前提が大事だ」という言葉を。
私は長いこと、この意味がわかったよーな、わからないよーなモヤモヤした気持ちで生きてきました。
「そりゃ、どんな気持ちでやるかは大事だろうさ。特にお客様商売なら、いやいや売ってるお店ってすぐわかるもんなー。顔にも出ちゃうと思うし。気持ちは大事よね」
くらいの浅い理解でいたのです。
今回、このショップを立ち上げるときに如実にこの「前提」の違いがもたらす効果を感じたので、それを書いてみたいと思います。
◆「売れるわけない」と彼女のお母さんは言った
私がさをり布に出会ってショップを立ち上げようと思った経緯はこちらに書きました。
私は一目見た時から、彼女の作品に目を奪われっぱなしで
「ほえ〜! 世の中にはこんな綺麗でかわいいものがあるんだ〜!」
「この布で自分の服とか小物とか作ったら可愛いだろうな〜。きっとみんなも作りたいだろう」
「こんな可愛いんだもん、絶対売れちゃうに違いない!」
と一貫して思ってきました。
売れないわけがない、という前提でいたのです。
ところが彼女のお母さまは
①「こんな目が飛んでたり、端がガタガタなものを商品として売るなんて申し訳ない」
②「そもそも、障害のある我が子に作れるということは、誰にでも作れるということ。誰にでも作れるものが売れるわけがない」
③「作業所で作っている作品も、即売会に持って行ってもほとんど売れなくて、残りを私が買い取って人に配っているくらいだから、布単体で売れるはずがない」
と思っていらっしゃいました。売れるわけない、とおっしゃっていたのです。
お母さまは、ご自身でも洋裁をされる方で腕前はプロ級です。なので布を見る目も自然と厳しくなりますから①と感じるのは仕方ないことでしょう。
また②についても、ダウン症と知的障害というハンディを持ったお嬢様が生まれたことで、これまで心ない言葉を投げつけられることも多かったのではないかと想像します。傷つけられた目でものごとを見ると、才能やセンスや美をありのままに評価することは難しくなるでしょう。お嬢様の作品を感嘆の目で見られずに「この子は普通の人のようにお金を稼げない存在だ」という思考が邪魔をして「こんなのは誰にでもできること」と思い込んでしまったのではないかと思います。
③は売れ残ったなら売れるまでそのままにしておけばよかったのに、買い取って配ったことでますます「売れない」という思いを強化してしまったのだと思われます。ご自分のことを、わざわざ「お嬢様の尻拭いをする存在」にしてしまったのですね。「損を被るのは私なんだから、これ以上何もしたくない」と思っても仕方ないと思います。
これらの理由で、強く売れるわけがないと思っていらっしゃったのです。
「売れるわけがない」vs.「売れないわけがない」
こういった前提は、物事に対するアンテナの向きを決め、行動のしやすさを決める重要な因子です。
例えば「売れるわけがない」と思い込んでいたら、そもそもネットショップを立ち上げようとは思いませんよね? 売るための仕組みを作ろうとしても「どうせ売れないのに、なんでこんなことを?」と気持ちに多大な負荷がかかるのです。行動に踏み出せないんですね。
さらにもし、開店したショップで1日でも売れない日があったりすると
「ああ、やっぱり。売れるわけないと思っていた。もうショップを畳んじゃおうかな。手間がかかるばかりで、売れないし」
と自分の正当性(この場合は「売れるわけない」という思い込み)を証明する出来事ばかりに、アンテナが向いてしまうのです。たとえ前日に数万円の売り上げがあったとしても、です。
私の場合は逆で「売れないわけがない」と思っているので、ほくほくしながら「売れたら何しようかなー?」と気分良く売るための仕組み作りに没頭できます。多少売れなくても商品が悪いとは思ってないので「私のやり方がまずかったんだろう。ということは、そこを改善すれば売れるはずだ」と、他人のアドバイスも素直に聞けます。
自分の正当性(この場合は「売れないわけがない)を証明する出来事にばかり目がいくので、売れない日があっても「この初速はすごいなー、やっぱ売れると思ったんだー」とエネルギーを燃やせるようなネタだけにフォーカスしていけるのです。
このような前提で動いていたら、如実に差が出ると思いませんか?
前提が大事とは、こういうことだったんだなと腑に落ちた出来事でした。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。