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夜のサビキ釣り

松山に来てから初めて、夜釣りに行ってきた。
コアジ狙いのサビキ釣りだ。
そろそろ暖かくなってきたし、魚も活性が高まっているんじゃないかと思ったのだ。
しかし、釣果はゼロ。
ひたすら、海に餌をばらまいてきただけの結果になった。
これは、魚がいないからだと思う。
腕のせいではない。
場所が悪かった。

ご存じの方はご存じだと思うが、夜の海は怖い。
大勢で花火など楽しんでる分には、暗いのもどうってことないのだが、1人になるといきなり空気中の湿度をはっきり感じるようになる。
まとわりつく空気の重さで、体が動かせなくなるような気がする。
暗闇の中、地の底から響くような波の音が聞こえる。
穏やかなはずの瀬戸内でもこれだ。

その恐怖に耐えて2時間頑張ったのに、1回のアタリもないなんて。
そこで釣り人は思うのだ。
「ここには魚がいないから。いれば絶対釣れるから」
と。

道具を片付けすごすご帰ろうとしていると、軽自動車が2台やってきて私のバイクの近くに止まった。
降りてきたのは、釣りガールのお姉さんたち。
4人でワイワイしながらてきぱきと、仕掛けを作っている。
投げサビキというやつだ。
長い竿を振って、岸から遠くに飛ばし沖の魚を狙う。

「ここには、魚はいないよ、釣れないよ」
と心の中だけで思った。
竿を出す前から、他人様の不幸を願うなんて、あさましいことである。
でも、魚がいるなら私にも釣れるはずだもの。

「やっぱり釣れないね、ここはダメだね」
と納得したいのが半分、地元の釣り師たちの釣り方を見せてほしいのが半分、挨拶して見学させてもらうことにした。
見ていると、4人とも7~8回竿を振ると、1回くらい何かかかっている。
フグやベラは、針を外して逃がしているが、たまにカワハギやアジも釣れている。

おかしい。
私の針には、フグすらかからないというのに。

一番手慣れた感じのお姉さんに、コツを聞いてみると、仕掛けの違いじゃないかという。
「集魚灯、付けてますか?サビキ釣りって、餌をばらまいたところに針を落として、針を餌だとだまして釣るじゃないですか?これだけ真っ暗だと、針が見えなくて騙されようがないんじゃないかと思うんですよ。見せるためには、灯りが必要ですよね」
なるほど、たしかにそうだ。
餌も針も、魚に見えなくちゃ意味がない。

「電池で光る集魚灯もあるんですけど、私はこれですね。安いので、無くしてもあまり悔しくないです」
と見せてくれたのが、こちら。

「あと、ここは、満潮になると結構深いので、私は針が6本ついてるサビキの仕掛けを使ってます。これだけ幅があれば、どこかでタナにあたるんじゃないかと思って」
ああ!それも大事かもしれない。
私は3本針だったし。

お礼を言って帰り、Amazonでアジホタルを買ったのは言うまでもない。
お姉さん、ありがとう。
釣れないことを願ってしまってごめんなさい。

私の松山初の一匹は、どこで釣れるのだろう?
頼むよ、アジホタルくん。

**連続投稿848日目**

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