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雁皮はいつ採取するの?

録画してあった大河ドラマ「光る君へ 25話 決意」を見ていたら、冒頭のシーンで越前和紙を漉くシーンが出てきた。

「この村のものは、秋は男が山でガンピを集め、冬は女が紙を漉くのでございます」

案内人が言う。
外は雪が降っているというのに、冷たい水に手を入れて女が紙漉きをしている。

「ガンピ?」
その言葉を聞いて思い出した。
敦賀半島で水晶を探していた時に出会ったおじさんが、子供の頃「ガンピをとってお小遣いを稼いでいた」と話してなかったか?

探すと見つかった、これだ。

あの時のおじさんは、歳の頃70代後半から80代中頃。
つまり、子供の頃とは、今からざっと70年ほど前、1954年ごろのことだろう。

昭和の復興期、高度経済成長が始まりかけていた時代だ。
和紙作りだって、そろそろ工業化されていてもおかしくない。
しかし、だとすると、ちょっと気になる。
子どもが山で取ってくるガンピだ。
品質が安定せず、いつ原料が入ってくるかわからない。
そんなものを、工場で使うだろうか?
ならば、子どもたちのガンピの持ち込み先は、手すき和紙を作る職人の家だろう。

読みは当たった。
和紙の原料である、コウゾ、ミツマタ、ガンピのうち、前2者は畑の畔や山の斜面で栽培可能であるが、ガンピのみ成長が遅く栽培に適さない。
よって、山に自生するものを刈り取ってきて使ったものらしい。
工業化が進み、コウゾ、ミツマタが東南アジアからの輸入に頼るようになっても、高級手漉き和紙である、ガンピを用いたものは職人が作り続けていたのである。

ということは、子どもたちは、秋になると山でガンピを探していたのだろうか?

雁皮の刈り取りと皮剥

 雁皮は、樹齢の五年くらいのものが、繊維の光沢、硬さ、原料になる歩留まりなどからみて最も適当である。

 刈り取りの時期は、春の発芽の直前(三月中旬〜四月下旬まで)がよい。伐採した雁皮原木は、ただちに皮を生のまま剥ぎ取ることが必要で、時間を経過すると剥皮が困難になる。

(出典:手漉和紙大鑑 第一巻  毎日新聞社)

ここで引っかかる。
んん?
刈り取りの時期は、春の発芽の直前?

「この村のものは、秋は男が山でガンピを集め、冬は女が紙を漉くのでございます」

いやいやいや。
天下のNHKが、そのへんの考証をしていないわけがない。
きっと越前では秋の作業だったのだろう。

……と思うものの、気になる!
これは、図書館案件だな。
近日中に調べに行こうと思う。

ネットの情報を鵜呑みにしてはいけないのだ。

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