CROOZが事業を考える上では絶対にやらないけど…。なぜ新卒採用にいてグループディスカッションをやるのか
先日、とある学生向けのグループディスカッションイベントに審査員として参加させていただきました。
こちらのイベント自体は、豪華なゲストと優秀な学生が全国から集まり、与えられたお題と限られた制限時間の中でグループディスカッションをするというもので、学生向けの企画としては面白いし、とてもためになる企画だったと思います。
ただ、そのイベントに参加させていただきながら、もう一方で思ったこととしては、グループディスカッションってなんなんだろう…。事業をつくる上ではほとんど使わない手法だよな…。
というわけで、今回のテーマはグループディスカッション。
言いたいことが多いので前編後編に分けてお伝えします。
前半の内容は、タイトルの前半部分「CROOZが事業を考える上では絶対にやらないけど...。」の方です。
*あくまでグループディスカッション自体を否定する内容ではありません。 事業をつくる上で、というお話です。
目次はこちら。
■ピーマンとハムと納豆でカレーを作ってください
新卒採用の選考などでよく使われるグループディスカッションとは、その場で急に与えられたテーマを元にランダムに選ばれた複数人のグループで話し合い結論を出すタイプ。
たとえば、「5年後に5Gによって世界はどう変わっているでしょう?」みたいな。
当然、急にお題を出されるので、だれもその内容についての深い知識は持ち合わせてはいません。
最悪の場合は、なんかすごいことになるらしいって聞いたことあるけど…。5Gってなんだっけ?
みたいなメンバーしかいないこともあり得るわけです。
これがどれくらい酷な状況なのかを表すなら「初めましてですが、今からこちらでメンバーを振り分けるので、メンバーがたまたま持ち合わせている材料でカレーを作ってください」と言われて、たまたま持ち合わせた材料がピーマンとハムと納豆しかないようなもの。
こんなやり方で優れた結論(美味いカレー)なんか出せるわけありません。(たまに奇跡のシナジーが起きて美味しくなることもあるけどw)
■グループディスカッションはなぜ無駄か?
というわけで、グループディスカッションは、実際に仕事をする上ではムダだと私は考えています。
クルーズが事業をつくっていく上では、絶っ対にやりません。
あれはあくまで採用の過程で人を見るためだけにやっているのであり、ビジネスの場では何の意味もないのです。
もし学生のみなさんが、「こうやって事業のアイデアを出し合って新規事業とか作っていくのか」と思ったら大きな勘違いです(少なくともクルーズでは)。
こんなことを言うと、クルーズだってよく「会議」をしていらっしゃるのでは?
と思うかもしれませんが、クルーズの会議とここで言うグループディスカッションは全くの別物です。
ここで言うグループディスカッションとは、その場でお題が示され、何か調べるのもなしでアイデアを出し合いなんとかまとめるもの。
ピーマンとハムと納豆でカレーを作るしかない地獄のような状況の中で、とりあえずカレーに見えなくもないものを作ろうかと進めていくものです。
それに対して、会議は事前準備が質のすべてを決めます。しっかりデータを調べてくることが当たり前で、それがないならそもそも会議を開くことすらしません。
■300個の事実データを全員が調べてくる会議
以前書いたように、クルーズでは200以上の重要プロジェクトがあり、隔週で社長と進捗会議が行われます。
これらの会議がある時、僕らは事前に与えられたテーマやフォーマットに対し、参加する全員がそれぞれ300個以上の事実データを集めてくることが前提です。
それらをテーブルに乗せてから話が始まるのです。
事実に基づかない、あるいは少なすぎる事実に基づいて自分の解釈を述べたり、アイデアを出し合ったりしても良い議論にはならないとわかっているからです。
たった一つ鋭い質問をされたくらいで、「それはちょっと…。調べてみないとわかりませんね」なんてみんなが言うのを想像してみれば良いでしょう。
もちろん、グループディスカッションならそれで構いません。「そもそもピーマンとハムと納豆なんかでカレーが作れるんだろうか?」なんて言い合っていたら何も始まらないに決まっています。
会議では、全員がテーマとなる事柄に対し300個の事実データを用意してきているとわかっているからこそ、安心して解釈やアイデアベースで話し合えるのです。ただのアイデアや解釈による会議と、徹底した事実データの上にあるアイデアや解釈ではその成功確率に雲梯の差があります。
特に、意思決定者が揃う会議では決めて前に進めることが会議の一番の目的ですからなおさらその成功確率が重要です。
■それでも選考でグループディスカッションを使う理由
ここまで散々グループディスカッションをこき下ろしたようなことばかり述べてきました。
しかし、選考の場においてグループディスカッションをやることを否定したいわけではありません。実際クルーズの新卒採用においても活用しています。
なぜグループディスカッションは選考の場であんなに使われているか?
それは、さっきちらっと述べたように、人を見るには効率の良い手段だからです。大人数をさまざまな項目から一気に評価できますしね。
具体的になにを見ているのかと言うと、
・なんとかゴールに持っていこうとする力
・周りを意識しながら(傾聴力など)話を進める力
・臆せず意見を言えているか
・根拠、説得力、論理的思考…etc
こんな感じです。
僕の個人的な意見ですが、特に重視している項目は「なんとかゴールに持っていこうとする力」。むちゃくちゃなお題に対して、限られた時間の中でなんとかゴールまで持っていこうとする追求力があるかを見ています。
冒頭でも述べたように、そういう力が垣間見れる議論ができているかが評価の対象なのであって、結論がいかに抜け目なくすばらしいかは求めていません。
■次回予告
今回は、グループディスカッションをさせるのはあくまで選考の過程で人を評価するためという話でした。
このことを踏まえた上で、次回(後編)はグループディスカッションのポイントについてお伝えします。
急に与えられたお題、限られた時間、情報の中で、いったいどのようにすれば少しでも建設的な議論ができるのか?
会議の場でも使えるテクニックを紹介します。