アイキャッチ-学習する空間4

声の重要性

たくさんの授業を拝見し、空間づくりという観点で分析をしてみると、授業をコントロールしている先生の声がかなり重要であると感じます。

どれだけ授業の準備をしても、どれだけ良い解説を用意しても、結局、生徒は先生の声を通じて情報をキャッチしますので、その声の印象で伝わる情報の印象も大きく変化するのは当然のことかも知れません。

しかしながら、
「どんな声が良いのか。」
という問いに一言で答えるのは大変に難しいです。

要は「声の表現力」が持っている力を意識して使い分けることができれば、授業の表現力が大きく広がっていくということで、それによって空気感まで変えることができるんだということを知っていただけたら幸いです。

例えば、あなたがいつもより早く帰宅した際に
家族からこのように言われたらどう感じますか。

「あら、はやかったのね」

どうでしょうか。

歓迎されていると感じますか?
早く帰ってきたらまずかったかな、と感じますか?

もう少し補足しますと
初めの「あら」の部分を高い声で切り出し、そのまま早めのペースで「はやかったのね」と言ってみたらどうでしょう。

そして、初めの「あら」を低い声で切り出し、そのあとをゆっくりと「はやかったのね」と言ってみるとどうでしょう。

まったく同じセリフでも、前者は歓迎された雰囲気になり、後者は気まずい雰囲気になりませんか。

生徒と授業をする場合にも、これはとても大切で、
重要なポイントでしっかり聞いてもらいたいときと、
和気あいあいと話し合いたいときでは雰囲気が違うはずです。
また、教室管理をする際にも、ここできっちりクラスをまとめないといけない、注意事項を徹底しなければならない、という時は、真剣な空気を作らなければいけません。

また、声色だけでなく、その強弱やスピードも重要です。

メンタリストDaiGoさんの動画を拝見させて頂いたことがあるのですが、ものすごく早口で驚きました。しかし、それも重要な意図があると感じました。

早口であるのですが、そのおかげでその動画にグッと引き付けられ、引き付けられました。早口についていかなければいけないので、かなりの集中力を必要としたのか、視聴後に結構疲れました・・・

実はここにポイントがあり、早口というのは効果的に使えば相手を引き付け、巻き込み、集中を促すということに繋がっていきます。ただ、巻き込まれる半面で相手に考える隙や余裕を一切与えないので、考えることを停止させてしまう可能性が高まります。

ここで声の表現についてちょっと整理しておこうと思います。

声の表現

これらを意識しながら、大事な指示を伝達するなら低めの声を意識して、少し早めの口調で切り出し、集中する空気を生み出してから、低めの声でゆっくりと説明し、生徒自身にもしっかり考えながら聞かせる雰囲気を作り出したり、授業の冒頭で高めの声で早めの口調で切り出し、生徒と楽しむ空気感を作ったのち、声のペースを一気に落として注目を集めながら問いを発して全員で考える雰囲気を作る、など声の表現を工夫していくと演出の幅が一気に広がります。

さて、声の表情を使い分けるときの天敵は「照れ」です。

その「照れ」を乗り越えるには、
自分は声の表情を使い分けて表現をする役者である。
というくらいの意識が必要です。

そのためには、
まずは発声に慣れることから始めてみることをお勧めしています。
はっきりと声を発声し、その強弱をコントロールすることから始めて、次第にそこに速さや高低といった表現を乗せていく、というイメージです。

そのベースとなる簡単な発声練習をご紹介しておきます。

教室の壁に立ち、反対側の壁に声をぶつける意識で声を出すのですが、
その際に、口の動きを大げさにハッキリ動かすことを意識して声を飛ばすように次の言葉を一音ずつ発声して下さい。

「あ」「い」「う」「え」「お」

次に続けて「あいうえお」と発声する。

これができたら

「あ」「え」「い」「う」「え」「お」「あ」「お」

と一音ずつ発声し、

「か」「け」「き」「く」「け」「こ」「か」「こ」
「さ」「せ」「し」「す」「せ」「そ」「さ」「そ」
「た」「て」「ち」「つ」「て」「と」「た」「と」
・・・

という具合にワ行まで進めてみましょう。

慣れてきたら、「あえいうえおあお」「かけきくけこかこ」・・・と連続して発声して、声をはっきり飛ばす練習をしてみましょう。
そうすると、大きな声を出さなくても、声をハッキリ表現して伝えることができるようになっていきます。

そして、高い声、低い声、早口、ゆっくり、と色んなパターンでやってみると、表現の幅が広がります。

高くて早い、高くてゆっくり、低くて早く、低くて早く、など混合してみると一気にハードルが上がります。

また、滑舌のトレーニングでもあるので、自分がどの行が苦手なのかも自覚することができます。仮に上手く表現できない行があっても、練習していくうちに大抵、滑らかに表現できるようになっていきますので、苦手な行ほど暇を見ては大声でなくても良いので、繰り返し練習しておくと良いでしょう。

役者さんではない、というご意見があるかも知れませんが、私たち声の表現で生徒に物事を伝える仕事でもある、という性質上、声の表現力は切り離すことができない技術だと考えています。

ぜひ、参考になさって下さい。


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