焼き納豆ごはん
雑誌『暮らしの手帖』で、料理家の高山なおみさんの連載に、”焼き納豆ごはん”なるレシピを見つけた。正式にはなんと名付けられていたか、今手元になくてわからないのだけれど、作り方はとても簡単。フライパンに、少しの油をひいて、あたたまったら小粒納豆のパックを混ぜずにそのまま広げ、もんじゃ焼きを焼くときのように、真ん中を空ける。そこに卵を割り落とし、半熟になるまで焼いたら、フライ返しでそうっと掬って、お茶碗によそったごはんの上に乗っける。納豆パックに付いているたれとからしをかけて、出来上がり。高山なおみさんも、お友達から教わったのだと書いてあった。
ちょうど冷蔵庫には、納豆が1パックだけ残っていたので、今朝はさっそくそれをつくってみた。納豆ごはんは好きで朝ごはんによく食べるので、焼く手間が増えたくらいで、ほとんどいつもと変わらない。
ものの数分で出来上がったそれを、まだ湯気がほわほわと立ち上がっているうちに、ふうふう息を吹きかけながらいただく。焼いただけで劇的に味が変わるわけではないが、それは一口一口食べ進めるほどに小さな喜びがあった。
まず一つ目に、納豆が、あたたかい。
いつもの納豆ごはんは、冷蔵庫から出したばかりの納豆パックを使うので、いくらごはんが炊き立てであっても、レンジで温めたばかりの冷凍ごはんであっても、ひんやりと冷たい納豆がその表面を冷たくする。それはそれで嫌いではないのだが、やはり出来立て感が薄れてしまうのは否めない。焼き納豆は、納豆まで熱々なので、特に朝が寒いこの時期にはなんだか心までポカポカするようであった。
そして、これも焼いたことによる副産物だが、焼き納豆は”ちょい焦げ納豆”でもある。フライパンに接していた面が少し焦げて、なんとも香ばしく、納豆が「僕たち、大豆なんだよ!」と主張してくるような、豆らしさが生き返っているような味わいがあった。付属のたれとからしを、納豆に混ぜ込まずに後からかけるスタイルであることも関係しているのかもしれない。
いつもの納豆をただ焼くだけで、こんな変化があるとは。発明、とまでは言わないが、心の中で小さくガッツポーズするくらいの幸せな発見ではあった。これからは「明日の朝、冷蔵庫に納豆しかないや」という夜も、「よし、焼いちゃうぞ!」という楽しみがある。
ぜひ、お試しあれ。
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