『教えてしんぜよう』

学童の仕事2日目。この日は初日より少し人数が少なかったり、会うのが二回目ということもあってか、こどもたち同士がどんな風にやりとりしているのか、比較的ゆったりみることができた。

校庭であそぶ時間になり、多くの子が外に出る。わたしは女子たちからの鬼ごっこの勧誘と、男子たちのドッチボール勧誘に調子よく「おっけーおっけー」とか言ってたら、早々に女子と男子双方からクレームが入り、鬼ごっこのあとにドッチボールするからちょっと待っててくださいということで、とりあえず場をおさめた。みなさん、段取りが悪く申し訳ございませんでした。

鬼ごっこをしようと誘ってくれた女子が、別の先生に何か言ったようで、先生が「なんでそんなキツい言い方するの?!もろおか先生!(スタッフはなぜか、みんな先生と呼ばれる)、そんな言い方する子と遊ばなくていいから!」とわたしに、というかその子に向けて言い放った。彼女が何を言ったのかは知らない。ので、何も言わずとりあえずいっしょにあそんだ。その後、彼女たちは砂場で砂団子を作っていたけど、部屋に戻らなきゃいけない時間になってしまった。が、おかまいなしにその女子2人は続行している。声をかけると、「先生戻っていいよ」と言われ、そういうわけにもいかんのだよとかなんとか言いながら話していた。うん、たしかにキツい言い方というか、生意気と言われてしまいそうな口調です。でも、この日わたしが部屋に入って一番最初にかけよってきて「わたしのことおぼえてる?」とニコニコ声をかけてくれたのは彼女だった。「おぼえてるよ、〇〇ちゃんでしょ?」とわたしが返すと、ちょっと照れたような、びっくりしたような顔をして「正解!」と言って元いた場所に戻っていった。そういう子だ。たまたまムシの居所が悪いときもあるだろうし、周りの大人がそういう話し方なだけかもしれないしなぁ。

とは言え、別の先生が彼女の話し方を注意しようとする気持ちは理解できる。良いことではないもんね。けれど、わたしはどちらかと言うと、なんでそういう話し方をするんだろう?ということに気がいってしまうので、「良くないところ」をみつけてすぐに注意するってのは、どうもためらいがある。それに、わたしはまだその子のことをよく知らないから余計にそうなる。その先生は付き合いが長いから言えるのかもしれない。

良くないことは直した方がいいかもしれない。でも、全部そうするのは疲れちゃうっていう面もわたしにはある。許容できるなら、許容してしまった方がラクだ。でもそれが正しいわけでも、やさしいわけでもない。注意したり、叱る勇気がないだけかもしれない。

「教える」って、なんだろうな。説明するとか、知らせるとか、伝えるとか、そういうことと「教える」って、どう違うんだろ。

そこはよくわからないけど、わたしは「教える」という言葉より「学ぶ」という言葉の方が好きだ。こどもの前に自分がいるときは、その子がなにか学べるようにしてあげられないだろうか、ということの方に気がいく。教えてあげられることは、そんなにあるように思えない。今のわたしは、知らせるとか、説明するとか、伝えるとか、そのくらいしかできそうにない。でもしゃーない。こんなわたしからでも、こどもたちは何かしら学べる力があるんだと、根拠もなくそう思っているところがあるらしい。

たぶん、世界中の「教えてくれる人」が突然いなくなっても、「学ぶ人」さえいればどうにかなるだろうと思う。その逆は、ジ・エンドって感じがする。

みなさん、教えられないけど、学んでくれ。よろしく。

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