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2017.09.19 僕が抜けたバンドは今頃…

高校2年生の春、軽音楽部を辞めました。その年の文化祭、元軽音学部の自分は何をしていたのか。


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ラジオから星野源の「SUN」が流れてきて、軽音楽部でのことを思い出した。SUNのギター担当は2人いた、自分とSという人。しかしその弾く量というか、2人の負担に明らかに偏りがあったんだよ。

Sは多分、イントロのギターフレーズしか弾いてなかった気がする。俺は全体的に役割があったけど、サビとかでふとSの方を見ると全然弾いてなかった覚えがある。

そのくせ、Sはギター初心者だったから9~11月と3ヶ月もダラダラと練習してアイツの習得を待っていた。イントロだけのくせして3ヶ月待たされていたんだよ。さすがにねぇだろ。1曲丸々通して担当があり続けるんならそりゃ3か月はかかるだろうけど。

文化祭では軽音楽部が中庭でライブをしていた。去年のライブからして、結構大きな音が校内そこかしこで聞こえ続けるんだと思っていた。

なんとかして、軽音ライブの時間帯は人気(ひとけ)の無い場所で、イヤホンを耳にはめ、ラジオのポッドキャストでも流してライブの様子を聞こえないようにしないといけないと思っていた。自分が抜けた先のバンドの曲とか聞きたくもない。気まずいし、恥ずかしいし、ムカつくし。

しかし当日12時半頃、自分のクラスの出店を担当しながら「あれ? そういやもう軽音のライブ始まってね?」と思った。クラスの出し物(縁日)の場所では展示幕で窓を覆っていたからか、全く音が聞こえなかった。そしてひっきりなしに来る縁日のお客さんの対応に集中していた。

部活を辞めてからずっと、文化祭当日どうしようかなぁと気にしていたが、杞憂だったようだ。

何を演奏するかという話し合いで「SUNがしたい」と言ったMに対して「軽音楽部だからもっとバンドサウンドが軸となる曲を選べよ、何だコイツ」と思っていた。そこから「辞めたいなぁ、行きたくないなぁ」と感じ始めたんだった。

友人曰く、そのMは今年の文化祭で、サカナクションの「新宝島」を演奏していたらしい。だからさぁ。


※SUNを練習していたのはあくまでも高1の9~11月で、そこから春にかけてライブで披露していた。高1の時の文化祭はまた別の曲を披露しており、文化祭を終えて新たにSUNを練習しようとなった。

なんか自分で書いてて時系列がぐちゃぐちゃだなって思ったから、ちゃんと見やすく表にすると、

高1の9月…文化祭で、SUNではない曲を披露する。
高1の9~11月…SUNの練習を始める、初心者のSを待つ。
高1の冬から春…ライブでSUNを披露する。
高1の3月…軽音楽部を辞める。
高2の4~9月…自分が抜けた軽音楽部の曲とか聞きたくないなぁと感じる。
高2の9月…文化祭で軽音楽部がライブをしているのに気が付かなかった。のち、この日記を書く。

という感じになる。本来自分しか見ないはずの日記を誰かに公開するというのは、こういう手間をかける必要がある。


改めて日記を見返していて思うのが、自分が嫌だと思ったから軽音楽部を辞めたのに、執着心だけはいつまでも残っているなぁということだ。綺麗さっぱり軽音楽部のことを忘れたわけではなかったんだなぁって。

「自分のいない軽音楽部のライブとか聞きたくない」って、あまり理解してもらえない感情なんだろうか。辞めたんだからもう関係ないじゃん、と思われているのだろうか。

野球部で例えたら少しわかりやすくなるだろうか。厳しい練習が本当に苦しくなって野球部を辞めた学生が帰り道、残って頑張り続けている現役の部員を見て、もう届かない青春に対して感傷的な気分になったり、劣等感が湧き上がってきたりする。

そういうドロップアウトした側も、それはそれで苦しい気持ちになる日もあるのだ。3年間やり切った側の方が美しいに決まってる。退部よりも卒部の方が泣けるんだよ。

まぁ自分が軽音楽部を辞めたのは、他の部員と足並みをそろえなければならないのが苦痛だったり、オリジナル曲を制作したらめっちゃ恥ずかしい気持ちになったりしたからという、感傷マゾもできないほどのゴミクズな理由だったんだけど。野球部例えは美化しすぎた。

そういう醜いドロップアウトをしたからこそ、その後も続いている軽音楽部から、意識して逃げなければいけなかったんだよ。文化祭当日だというのにクラスの出し物から逃げて、校舎の片隅の誰もいない場所に隠れて、校則で禁止されているのにスマホでラジオを聞かないといけないと思っていた。

それなのにいざ文化祭の日になったら、クラスの出し物である縁日が思いのほか盛り上がって、その瞬間に初めて軽音楽部のことを綺麗さっぱり忘れることができたのだ。

別日の日記にも縁日が大盛況だったと書いてあった。他校の女子4人組がやって来て、ぎこちない会話をしていたらしい。文化祭マジックよ、他校の全く面識のないイケてる女子も俺なんかに話しかけるなんて。そりゃそんな瞬間を味わっていれば、元部員としての執着心なんて手放せるよ。

僕が抜けたバンドは今頃、僕のことを忘れているし、僕だってバンドのことなんか忘れたよ。