29歳、今だに人生のターニングポイントが無い。

29歳、今だに人生のターニングポイントが無い。

将来何者かになって「人生のターニングポイントは?」なんてインタビュアーに聞かれた時は「私の人生のターニングポイントは〜」と雄弁に語るものと思っていたせいか、いつからか人生のターニングポイントを探す癖がついた。

何かある度に「あぁこれが、私が待っていたポイントだ!」と、今日までの何にもない人生に明るくさよならを告げて、明日からの素晴らしい人生に初めましてと挨拶する。

こんな風にいつも虎視眈々と人生のターニングポイントに目を光らせている。


29歳、この癖が本当に厄介になってきた。

ターニングポイントを探すあまりに、ちょっとしたことでもこのチャンスを逃すまいと、過剰に反応してしまう。感動的な物事はより感動的に、悲しい出来事にはより悲しみを持って。
それはまるで脚色された劇場版の人生のよう。
映画版ドラえもんは2時間だとちょうど良いが、きっとこの内容が毎週だと味が濃すぎる。


先日妹が婚約した。嬉しかった。深く喜んで、大きくお祝いをした。とても疲れた。

これは私の人生のターニングポイントじゃないって最初から分かっていたのに、過剰に反応する癖がでてしまった。何かに操られているようで制御できない自分の喜びが少し悲しかった。


29歳、もうそろそろ自分の人生のターニングポイント探しはやめようと思う。なんだか疲れるし、本当の自分を見失うようである。そして何よりかっこ悪い。

インタビューでは適当に感動的な嘘話でも述べよることにしようか。


いや、ターニングポイント探しをやめた今日のこの日を饒舌に語ってみようか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?