俳句の蔵出し 令和五年
書きためた俳句が増えてきたので、蔵出しすることにした。
令和五年七月・八月
午後六時蝿も黙する三十度
つゆ草やはじめてふれた青い花
雷よおれの背骨に喝をくれ
猫とんで転んで跳ねて夏の夜
ご先祖に尻を向けるな夏布団
月見草想うだけならいいじゃない
夏風邪と氷枕と眠る夜
ただいまをお待ちしてます椿の実
令和五年九月
黄桃の苦味を噛んだ午後八時
そこの壁あしだか蜘蛛が警邏中
愛猫の足音軽き夜長かな
木犀の香は熱病の白昼夢
明星と咳の狭間の金木犀
夕空を引っ掻く雲に金の月
令和五年十月
窓枠に猫のしだり尾長き夜
かつ丼を小菜でごまかす夕餉かな
赤赤赤炎天下自販機の水
どんぐりどんぐりだもう拾わないけど