ほっとけなかったコガネムシ
どちらかと言えば、虫は苦手である。
だけど、虫がジタバタともがいているのを見ると、どうも放っておけない。
私は変な奴だろうか。
先日、職場の廊下で、大きなまだら模様のコガネムシがジタバタしているのを見つけた。
仰向けにひっくり返っていた。
指で摘まんでひっくり返してやる。
コガネムシはすぐに飛んでいくが、ドアにぶつかっていた。
たまらず捕まえて、ドアを開けて、外に出してやった。
どうして虫を相手にここまでするのか、自分でもよくわからない。
だけど、起き上がれず、自由に飛べない虫を助けてやると、なぜか少し救われた気分になるのだ。
虫に優しい自分に酔っているだけかもしれない。
あるいは、もがく姿に自分を見ているのかもしれない。
一つだけ言えるのは、虫を助ける自分のことは嫌いじゃない、ということだ。
嫌いじゃない自分でいるために、私はきっとまた、もがく虫をおっかなびっくり摘まもうとするのだろう。