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「子供」と「子ども」と「こども」の使い分け。

以前から気になっていた「こども」の表記問題。いや、問題というほどのことでもないんだけど書くときにいつも「どの表記にしようか」と一瞬迷う。

子供
子ども
こども

これまではわりと好んで「こども」という平仮名表記を使ってたけど、けっこう使いづらくて。前後に平仮名がくるとかなり読みづらい。「こども」とか。

そこでネットで調べてみると…

国語力アップ.com というサイトにどんぴしゃの記事があった。

簡単にまとめると…

新聞やテレビなどのマスコミ業界は「子供」を使うことで統一。漢字の混同を嫌う傾向にあるようだ。また公文書や公用文でも「子供」と表記することを文部科学省が定めているんだとか。最近の主流は漢字表記ということか。

では、最近よく目にする「子ども」という表記はというと。
「子ども」表記推進派(?)によると、「子供」の「供」という字が大人の付随物や所有物であると連想させるからよくないとか、神に捧げる「供え物」「供養」などの意味があって不謹慎だとか。要するに「供」という字が差別的だからよくないというわけ。

そうすると今度は「子供」表記推進派(?)がだまってない。「供」は教育漢字なのだから、わざわざ漢字とひらがなを混ぜる必要はないと。 さらには「子ども」の方が差別的であると。なぜなら「豚ども」「白人ども」などのように見下した表現である「ども」と重なるからということらしい。うーーん…。

最後に全部ひらがなの「こども」。 これは単純に読みにくいという理由であまり使われてないようだ。たしかに思いつくだけでも「こどもの日」とか「こども園」といった固有名詞くらいか。他に「コドモ」っていうカタカナ表記もあるけど、これはまあ使わないか。

ざっと調べてみて、色々と納得はするが「ほんとかよ」と思う部分も多かったので、もう少し調べてみた。

まず「子供」という表記を文科省が定めているという件。
平成25年に文科省内で行われた協議において、「子供」の表記について差別的表現でないと結論を出したといい、公用文書の「こども」の表記を漢字書きの「子供」に統一することを決めたとある。

文部科学省はこのほど省内の公用文書の「こども」の表記を漢字書きの「子供」に統一することを決めた

「子供」の表記は1973年の内閣訓令で、漢字表記とされた。ただ「漢字より柔らかい印象がある」として、各省庁とも漢字と平仮名の交ぜ書きの「子ども」を使う例が増えていた
文科省は、子供と表記しても大人の「お供」のような否定的な意味はないと判断し、公用文書は漢字表記との原則を再確認。7月刊行の文部科学白書では語句を「子供」に統一した。
文化庁国語課によると「こども」という言葉は「子」の複数形として古くから使われ、江戸時代に「供」が当て字として使われるようになったという。

2013年9月19日 日本経済新聞WEB版より

「省内の」と但し書きがあるものの、公的には「こども」の表記は漢字書きの「子供」が正式ということで落ち着いた。

…かに見えたのだが、令和3年6月9日、衆議院に「ほんとに『子供』表記で良いんだよね?」といった趣旨の質問主意書が提出された。時期的に「こども家庭庁」が創設されることになった頃だと思うが。要約すると…

・まだ政府として「子供」の表記は差別的表現ではないという認識で間違いないか?
・だとすれば、その他の表記が未だに公用文や組織名称等で用いられているのはなぜ?
・いま準備をすすめている「こども庁」の創設は、その名称からしても混乱が生じるのでは?
・ここで改めて「子供」で統一すると宣言したら?

といった感じ。
新設する庁の名前を「こども家庭庁」にしたら、文科省が定めた漢字表記の「子供」を否定することになるからね。すると翌年の令和4年9月15日に「こども家庭庁設立準備室」から内閣に向けてこんな依頼書が提出された。

当室では、こども基本法の基本理念を踏まえ、平仮名表記の「こども」の使用を推奨しており、各府省庁からの文書協議に際しても、「子供」や「子ども」を「こども」とする意見を出させていただいているところです。
〜中略〜
「こども」表記について、今般、当室において別添のとおり、その判断基準を整理しました。

2023/04/01 こども家庭庁 “「こども」表記の推奨について(依頼)”より抜粋

どうやら「こども」という平仮名表記を推奨したいようだ。その理由は別添にあるということで、「こども」表記にしたい理由が書かれている「別添」資料をみてみると…

「こども」表記の判断基準について
こども基本法(令和4年法律第 77 号)において、「こども」とは、「心身の発達の過程にある者」と定義している。 同法の基本理念として、全てのこどもについて、その健やかな成長が図られる権利が等しく保障されること等が定められており、その期間を一定の年齢で画することのないよう、「こども」表記をしている。 これを踏まえ、下記の判断基準により、行政文書においても「こども」表記を活用していく。(後略)

2023/04/01 こども家庭庁 “「こども」表記の判断基準について”より抜粋

ん、どういうこと?
「こども」とは「心身の発達の過程にある者」だから、「その期間を一定の年齢で画することのないよう」平仮名で表記する
うーん、言い回しが難しくてよくわからない。というか明確な「判断基準」とするにはちょっと弱いんじゃない?と思うんだけど。

別に「漢字」でも「平仮名」でもどっちでも良いけど、すでに定められている「漢字」表記をひっくりかえしてまで「平仮名」表記にこだわるのはなんでだろう?なんでなの?…Why?


結局、国の基準はまだ定まってない(また改めて協議が必要になった)ということなのかな。ただ、二転三転しているとはいえ「こども」の表記について国でもこんなに議論の対象になっているというのは興味深い。

というわけで結局、振り出しに戻った感じ。

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