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なつこちゃんが生まれた時のこと

娘から「保護者様へ」と書かれた封筒を受け取った。

中には真っ白な便箋が1枚。
道徳の授業で「子供が生まれた時の気持ちや喜びをお手紙で伝えてほしい」とのこと。

娘のなつこ(仮称)は、今月に誕生日を迎える。
私は、8年前の懐かしい日を振り返りながら、すらすら筆を進めた。

なつこちゃんへ

もうすぐ8才のおたんじょうびをむかえるなつこちゃん

あなたは、私たちにとって、はじめての子、
おじいちゃんおばあちゃんにとって、はじめてのまごで、
みんなドキドキしながら、出てくるのをまっていました。

生まれる予定の日、あなたは相変わらず、おなかの中でのんびりモコモコ動いています。
「あれ、まだ出てこないのかな?」

あなたが出て来れるように、お父さんと毎晩、市内をあちこち歩きました。
「おーい、まだかーい」
あなたと3人で話しながらの夜ウォーキングは、楽しい時間でした。
近くのススキ山をのぼったら、ようやく準備してくれました。
それでものんびりです。

あなたが出てくるまで、お母さんは20時間、陣痛の波ごとに吐きました。
あなたが「出たくない」と胃を引っぱっているのかもと言われました。

でもあんまりのんびりしているといけないので、最後はお薬とすっぽんを使って、あなたを無理やり引っぱり出しました。

あなたはそのことを、今でも覚えていると教えてくれましたね。
痛かったね。あの時はごめんね。

でも、先生もみんなも、あなたが無事に出てくることだけをいのって、とにかく必死でした。

最後は、お父さん・先生、助産師さん・大伯父さん・大伯母さんが、みんなで応援してくれました。
あなたが出てきたときに初めて発した声は、まるで鈴のような音色でした。本当ですよ!
とても、きれいな声でした。

今までの痛みも、気持ち悪さも、全部ふきとんで、
「無事に生まれてきてくれて良かった!」ほっとした気持ちと、
「ようやくあなたに会えた!」よろこびの気持ちでいっぱいになりました!

そばにいたお父さんも涙ぐんでいました。
入院中、おじいちゃんおばあちゃんも遠くからかけつけてくれました。

みんながあなたの誕生を心からよろこんでいました。
なつこちゃん、もうすぐおたんじょうびだね。

おたんじょうびをむかえるたびに、あの幸せな時間を思い出させてくれてありがとう。

今年も無事におたんじょうびがむかえられますように。
ハッピーバースデー♪

書き終えると、手紙は4枚目に入っていました。

「書き過ぎて、先生に怒られるかな。」

そう思いながらも、幸せな気持ちで手紙をカバンに忍ばせます。
なつこを思う気持ちが、しっかり届きますように。

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