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スケールデメリット

勝ち筋

事業立上げ初期における最大の問いは、「勝ち筋は?」だったりします。

「事業立上げ初期における最大の問い」なので、勝ち筋に至る道のりはとっても重要で、事業立上げ初期における、試して、試して、試し切るすべての努力は、この「勝ち筋」をつくるためにある、と言い切ってもイイくらいだと思っています。

では、確からしい勝ち筋を手にしたあとには、なにが待っているのか?

それは、その勝ち筋を「磨く」仕事が待っています。これがまた、「勝ち筋をつくる」に負けず劣らず、難しかったりします。

勝ち筋は、出来上がったその日に完成型、なんてことは、もちろんありません。朧気ながらに見えてきて、そのうち、これが原型だっ!、って言葉で表すことが出来るようになり、でも、まだまだ力強さに甘さがあるので、甘さを補強し修正し、よりその事業らしい、強靭な勝ち筋、ユニークな勝ち筋に「進化させ続ける」必要があるわけです。

規模の不効率

が、このときに「99%の再現性」で、壁だったり崖だったりが現れます。それが「スケールデメリット」です。

スケールデメリットは、つまり規模の不効率のことで、「成長投資を倍にしたのに、倍の成長に至らない」というような状態を指します。ようやく編み出した勝ち筋で邁進すると、なぜか勝ち筋効率が落ちてしまうのです。

そうなってしまう原因は何かと言えば、もちろん答えは「いろいろ」です。

いろいろなので、自らの事業や組織の解像度を極限まで上げて、なにが悪さをしているのか、執念をもって突き止め、向き合うしかありません。「覚悟を決めて頑張る」が打ち手です。他人から聞いた他社の事例とか、書籍で読んだ他国の事例とか、参考にはなりますが参考にしかなりません。会社は生き物で、会社を構成する一人ひとりの集積で、そのときの命運が決まるのです。

自らの事業なのですから、自らのココロを燃やし、自らのアタマで考え、自らのカラダを動かすことが、一番の得策です。

ちなみに、守屋がこれまでに経験した「いろいろ」も、まさにいろいろで、コトヒトカネすべてに渡り、想定し得る失敗はすべてしてきたように思っています。(笑)

コト篇

コト(事業)でいうと、「成り行きの戦線拡大で、攻めに濃淡が出てしまったり、散漫になってしまったり。あれもこれもと手掛けるテーマが多くなりすぎ、自ら抱えているテーマ以外を追えなくなり、視野狭窄、全俯瞰欠乏症になってしまったり。一糸乱れず一気呵成に攻め上げれば足し算以上の戦力になるのに、バラけて分散することで戦力の合計値がなぜか足し合わせた戦力の合計値に満たなかったり。事業規模が拡大するに従って顧客を数字(売上、シェア、成長率、CPA、LTVなど)でしか捉えなくなり、顧客感度が落ち、顧客を見失い、顧客価値さえわからなくなる、という最悪な状態になってしまったり・・・」です。

ヒト篇


ヒト(組織)でいうと、「組織の拡大が、強靭化ではなく肥大化だったり。部署が増え、機能分化が進んだことで、全社の束ねが弱くなってしまったり。階層が出現したことで、状況報告や意思決定のための、会議自体の増と会議参加者の増の、ダブルパンチだったり。オレは聞いていないぞ!という上司に気を使い、何でもかんでもスラックにあげて共有しました、という部下が出現し。それら社内対応のための社内向け時間が増えるということは、そのぶん、顧客に向ける時間が消滅しているということであり。そうしているうちに各部門にミニ大将が生まれ、組織に政治性が生まれ、大企業になる前に大企業病の兆しが出てしまったり・・・」です。

カネ篇


カネ(資金)でいうと、「事業や組織の規模が拡大するに伴い、なにをするにしてもイチイチ、金と時間がかかるようになってしまったり。売上や利益に対する責任が、複数の部署に跨ることで曖昧になったり、責任を押し付け合って不明確になってしまったり。売上も費用も大きくなったことで、全体に対する自らの扱い金額比率が圧倒的に下がり、各人におけるカネの痛みに対する感覚が鈍ったり、そもそも利益に無関心な層が出現したり。資金調達というイベントが大変過ぎて、事業や組織のための資金調達というより、資金調達から逆算した事業や組織に偏り過ぎたり・・・」です。

挙げたらキリがないこれらの病因の合併症が、スケールデメリットだったりします


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勝ち筋を手にすることが出来るスタートアップは、ごくわずかです。多くは、勝ち筋を手にする前に倒れてしまいます。だからこそ、せっかく勝ち筋を手に入れたのだからこそ、勝ち筋後に間髪おかずに現れる魔物、スケールデメリットを、なにがなんでも乗り越えていきたいものです。
みなで、乗り越えていきましょー!

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