ネタのゴール
単独ライブに向けてネタを10本作っているんだけど【ゴールをどこにするか?】というのがある。
例えば【待ち合わせ】というネタ。
このネタは電話口で相手に待ち合わせ場所の近くにある目印を教えるんだけどついついその目印の悪口を言ってしまうというネタ。
考えようと思えばまだいくらでもボケは考えられる。
でもこのネタに時間を使い過ぎると他のネタのボケを考える時間がなくなるし、ギリギリまでボケを考えていたら練習が追いつかなくなる。
だからある程度のところで妥協点を見つけなければいけない。
その見極めが非常に難しい。早めに妥協して練習に入るという手もある。
でもそれをしてしまうとせっかく良い設定だったのにボケが弱かったせいでネタ全部がダメだったと勘違いしてしまう可能性がある。
だからギリギリまで考えて練習して単独を迎えたい。
それですべるようなネタはもう運が悪かったと思うしかない。
僕は運も絶対あると思っている。
めちゃくちゃ良い設定だしボケも最高なのにライブですべり倒すことがある。環境やその日のコンディションのせいですべっただけかもしれないけど一度折れた心はなかなか戻らない。
だからそのネタはやめる。運が悪かったんだから。
逆に悪いネタでもウケたらやり続ける。まあそんなネタは3回目くらいですべりだすから結局やめるんだけどね。
とにかく一生懸命作っても運が悪ければすべる。そういうこと。
僕には妥協せずに最後まで作りきったネタが2本ある。【夢なんす!】と【セクハラ甲子園】。
【夢なんす!】は運がよくて一発目のネタおろしからめちゃくちゃウケた。もしあの日すべっていたらやめていたのにウケたから続けられた。
そして1年間やり続けてR-1でかけたら3回戦に行けた。万年1回戦芸人にしては上出来だった。
さらに翌年はさらに練って準決勝、さらに翌年はもっと練って準決勝に行きおもしろ荘にも出演できた。
そして翌年はもっと上に行けると思って練ったけど3回戦。翌年も3回戦。翌年も3回戦。
その間このネタで色んな番組にも出た。
結局6年間やったのかな?こんな芸人なかなかいないと思う。
結果としてのピークは2013年かもしれないけど精度としてのピークは2016年だった。
毎年ブラッシュアップしてこれ以上ないというところまでボケ出しした。
テレビ番組の作家さんにもネタ作ってもらったし、ライブの企画で【俺の夢なんす!選手権】も3回やったしとにかく色んなパターンの【夢なんす!】を見てきたし試した。
だから【夢なんす!】のボケパターンは全部出した。ゴールした。
だからこそ虚しい。このネタの可能性は全部出したのに売れなかったのだから。でも納得はいっている。
もう一本は【セクハラ甲子園】。これも初めてかけた日に大爆笑が巻き起こり続けることを決意できた。
まあ【夢なんす!】と違ってすべることもあったけどかなり高確率でウケて2018年で2回戦、2019年で3回戦、2020年で準決勝に行けた。
テレビ出演はなかったけど世界一面白い芸人さんに「面白かった。」と言ってもらえた。
そんなネタなかなかないと思う。
ゴールまで到達するとこういうことがあるんかなって思う。まあ【夢なんす!】同様ゴールまでたどり着いたけど売れなかったので諦めるしかないけど。
ほとんどの芸人はゴールまで目指そうとしないがなんでだろうって思う。
ゴール目指したいネタがないのか?それとも飽きちゃうのか?
飽きるのは仕方ないことじゃない。飽きてもやるからゴールまで行けるんだ。
ゴールまで行かないと見えない景色もあるだろうし途中で「まだそのネタやってんの?」っていう覚悟もない作家や先輩の戯言が耳に入るかもしれない。
でももしもゴールしてみたいネタが見つかれば3年〜6年くらいやってみて欲しい。
面白いネタになるかもしれないよ。物凄く後悔する可能性もあるけどね(笑)
ちなみに今年の僕はゴールまで持っていきたいネタはない。
単独ライブで見つかるといいな。
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