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【そして思い出し笑い〜こんな子、育てましたけど】 #20 公立高校をあきらめる。

何度も書いてしまいますが…

長女は、
お勉強がぜんぜんできなかったので
おのずと、受験できる高校は絞られていました。

公立高校なら、もう
偏差値のひっくーいD高ぐらいしか
受験できるところはない、という状況。

友だちも少なく、
受験の情報もあまり耳に入ってこない長女に
「これは、ぜったいに
行かなあかんヤツやねん!」と説得して
D高の学校説明会に連れて行きました。

説明会では、まず最初に
学校紹介のビデオを鑑賞。

が。

私、このビデオの内容を
まったく覚えておりません。

なぜって

後ろでコソコソしゃべったり
クスクス笑ってる人たちがいたから、
そっちが気になっちゃって。

その人たちっていうのは
スーツを着た男性たち…

そう。
D高の先生です。

それも、大阪弁で言うところの
「偉いさん」な感じの。
教頭先生? 進路担当?

私、もう、この段階で
だいぶイライラしています。

なんだ、コイツら(失礼)

ビデオ見てる最中に
コソコソしゃべりやがって(失礼)

で、ビデオが終わって
説明が始まります。

「うちの高校はゆるい学校だと
思われているかもしれませんが、
そんなことはありません。
規則には厳しい学校です。

例えば、
指定外の色のコートを着てくる子がいたら、
学校に入れずに、家に帰しています」

はああああああああ?
家に帰すだとおおお?

あのね、先生。
おたくの高校に来るような
あの、ゆる〜い子たちが

どういう子たちだか
わかってる?

うちの近所には府営住宅があり、
シングルマザーも
たくさん住んでいました。

夜になると、仕事に行くママ。

あるいは、夜な夜な
彼氏と出歩いているママ。

ママたちも、生きるために必死です。

夜の仕事しか選択肢がないママや

彼を逃したら、この先
生活が保障されないかもしれない…
そんな思いでデートにいそしむママも
いたと思います。

そんな母親を見送り
ひとりで留守番する小学生。

そういう子たちは、
やがて高学年になると
コンビニの前とか公園とかに
夜な夜な、たむろし始めます。

勉強や宿題を見てくれる人なんて
もちろん、誰もいません。

ある日の夜11時ごろ
ちょっと用があって外へ出てみたら
自販機の前で小学生らしき子が
5、6人集まっていたので

思わず
「あんたら、はよ帰りや」と
声をかけました。

でもね。
声をかけるのは少数派なんです。

みんな、見て見ぬふりして
通り過ぎていく。

そこに子どもたちがいるのに
まるで見えていないかのように。

中学生にもなると
タバコを覚える子も出てきます。

道端でタバコを吸う中学生がいても、
声をかける大人はおらず、

声をかけちゃう私なんかは、むしろ
「そんな怖いこと、ようやるなあ」みたいに
言われることのほうが多かった。

(ちなみに、うちの校区の子たちは、
ぜんぜん怖くなかったです。
「タバコはやめときや〜」っていうと
サッと隠すような子が多かったです。)

そうやって
誰にもかまってもらえないまま
勉強もできないまま
大きくなって

D高しか入学できるところがなかった。

いま、この学校説明会に来てるのは
そんな子たちなんですよ、先生。

まずは、誰かに
しっかりと受け止めてもらう、
その体験こそが
優先される子どもたちなんです。

もうさあ、
服の色なんか
どうでもいいから

誰か、この子たちを
ちゃんと見てあげて!

ここにいるってことを
まずはしっかりと受け止めてよ!

そんな想いが
爆発してしまった私は

この学校に
ものすごーい不信感を
抱いてしまいました。

この学校には
絶対に入れたくない。

この学校に、
長女は任せられへん!!!

こうやって、私は
誰に相談するでもなく、
ひそかに、勝手に
長女の公立受験をあきらめました。

そして、この時
私の頭の中には
すでに、ひとつの私立高校の名前が
浮かんでいたのでありました。


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