moritoru

オークニー(現UPWARD)創業者、Apple 勤務を経て、現在はHEREに勤務、株式会社MIERUNEの社外取締役。 http://www.cunemo.com https://blog.goo.ne.jp/jg2tkh https://qiita.com/moritoru

moritoru

オークニー(現UPWARD)創業者、Apple 勤務を経て、現在はHEREに勤務、株式会社MIERUNEの社外取締役。 http://www.cunemo.com https://blog.goo.ne.jp/jg2tkh https://qiita.com/moritoru

最近の記事

フラットデザインからの解放 - iOS18のマップ

先日公開されたiOS18では、マップアプリのデザインにもいくつかの変化が見られる。この記事では、私が個人的に良いと思ういくつかの箇所について、簡単にまとめる。 フラットデザインからの解放iOS7、つまり2013年から11年にわたり、Appleマップはフラットデザインを採用してきた。2021年のiOS15から、地図の詳細な立体的な表現が導入されたのだが、それ以降も、POIのアイコンとラベル表示については、フラットデザインのままであった。それが、2024年9月のiOS18のリリ

    • Overture Maps Foundationからグローバルのデータセットが正式リリース

      2022年12月に設立されたOverture Maps Foundationから、このたびグローバルのデータセットがGA(General Availability ;正式リリース)となった。Overture Maps Foundationの設立当初、私はその意図を読み解く記事を投稿し、それ以来この組織の動向を注視してきた。 Overture Maps Foundationとは企業のアライアンス Linux Foundation傘下にできたこの組織は、オープンデータあるいは

      • AppleマップのWeb版が登場した

        AppleマップをWebブラウザで見ることができる「Web版」(正式には”Apple Maps on the Web)がβリリースされた。長年Appleマップのユーザーでもある私にとっては、「ようやく出たかぁ」という思いだ。 β版リリース ラベル表示の多くが英語表記となっているが、元のデータは既に多言語対応されているものが大半である。従って遠くないうちに日本語ラベルが優先表示されるだろう。また、OSのライト/ダークモード設定によって、地図のモードが一律に決まってしまうが、

        • Overture Maps Foundationの設立をどう読み解くか?

          はじめに2022年12月15日、The Linux FoundationがOverture Maps Foundationの設立を発表した。Webメディアでは「GoogleマップやAppleマップへの対抗軸」であるかのような書かれ方もされていて、国内でも一定の注目集めているようだ。 さて、発表であるが、OpenStreetMapやMapLibreなどのコミュニティが事前に関わっていたのでは無さそうで、コミュニティのメンバーからは、歓迎する一方で、驚きや戸惑いのコメントもいく

          20年前の今日、オークニーが設立された

          20年前の今日、2002年3月13日は、有限会社オークニー(後の株式会社オークニー)の設立日、つまり私が起業した日だ。ただし、2016年に私が代表者から退いた時点で、その事業は終了となり、「株式会社オークニー」はもう存在しないので、残念なことに設立20周年式典を挙げることはできない。 2002年2月まで私は、地理情報システム(GIS)パッケージソフトウェア事業を手がけるマップインフォ・ジャパン(米国MapInfoの日本法人)に勤務していた。本社側の都合で2002年2月に事業

          20年前の今日、オークニーが設立された

          仕事始め

          Cartographerとして4年目に入ります。 この数年、地図のスタイリングにどっぷり浸かっていますが、きっかけは前職でした。自分が本当に欲しいものを作るには、スタイルを自分でコーディングするのが一番だとわかったのが学びでした。 条件式とスタイル設定値を試行錯誤しながら地図表現を組み立てていく作業自体は、実はそれほどの技術力が求められるものではありません。しかし、地図の元データのどの要素がベクトルタイルのどの属性値にマッピングされるべきか、そのズームレベル毎の展開をどう

          仕事始め

          マップアプリの歴史に残る力作だ

          iOS15のマップが正式公開された。「地図の歴史に残る力作」と言える。 イベントで何度も訪れたサンフランシスコ市街、Apple社員時代に通い慣れたサニーベルやクパティーノ、Where2.0参加のため何度か行ったことがあるサンノゼダウンタウン、あちこちを見ていて飽きない。やっぱり、地図は見ていて楽しいものが良い。 単に地域をごく限定した実験的なマップとは違い、Appleマップはサンフランシスコベイエリア一帯、ロサンゼルス市域、ニューヨーク市域を「面」的に展開した点で、一つ突

          マップアプリの歴史に残る力作だ

          Amazon Location Serviceが塗り替えるGoogleマップ一強の風景

          昨年11月にβ版サービスとして静かに始まったAmazon Location Service(以下、ALSと表記)。今年6月頭から正式サービスとしてグローバルでの展開が開始されている。 このサービスは日本でも同時に展開されていて、東京リージョンで使用できると明記されている。 ALSのはEsriとHEREがデータプロバイダーとしてデータおよびバックエンドのサービスを提供しており、どちらを採用するかは、ユーザーが選択できる。(7月8日記述:「私が聞くところによると、日本で利用で

          Amazon Location Serviceが塗り替えるGoogleマップ一強の風景

          Appleマップのアップデートのインパクト

          Appleマップで、集客施設、レストラン、お店、宿泊施設などのユーザーレビューや写真が投稿できるようになった。 早速私も試してみたが、記事にある通り、自分の評価を投稿できる。ただ、「Appleがユーザーに通知することなく、そうした提出物を使用、ホスティング、保存、配信、インデックス化、伝達、複製、注釈、改変、それに基づく二次的著作物の作成、展示、再現、修正、翻案、出版、翻訳、公演、公表、利用可能化、一般公開、およびその他あらゆる形で利用するための、全世界的、権利使用料無料、

          Appleマップのアップデートのインパクト

          新生 インクリメントPへの期待

          パイオニア傘下の地図会社であるインクリメントPの売却のニュースに接してから1ヶ月程経過した。私は、インクリメントPの取引先という立ち位置で仕事をしてき経緯もあるので、拙速なコメントをあえて避けてきた。 これまで、半年あまりにわたり、いろいろな噂が立っていただけに、個人的にはホッとしている。一方、「地図データの品質は維持されるのだろうか」「これまで通りの取引先を維持するのだろうか」など心配する声も、チラホラ界隈から聞こえてくる。 インクリメントPとはインクリメントPは、日本

          新生 インクリメントPへの期待

          Mapboxの新CEO就任に思う

          3月1日と、もう2週間程前のニュースであるが、MapboxのCEOが交替した。創業者で、これまでほぼ10年間Mapboxを率いていたEric GundersenがCEOの地位を退き、新たにPeter SirotaがCEOに就任するとのことだ。一方、EricはChief Strategy Officerとして会社には在籍するものの、経営の決定権を失うため、影響力は格段に小さくなるだろう。 スタートアップ企業では、投資者が取締役の選任権を持つことが一般的であり、今回のCEO交替

          Mapboxの新CEO就任に思う

          Facebook Mapについて思う

          Facebook の地図(iOSはAppleマップが出るがそれ以外)が新しくなっている。 このプロジェクトを担当したStamenのブログを読んだ。Cartography(地図表現)は、私の専門領域の一つでもあり、大変興味深かった。 Facebook MapのプロジェクトFacebook Mapのプロジェクトは、約2年にわたってStamenという、地図などのデータビジュアライゼーションを手がけるチームが参画する形で進められている。 このFacebook Mapの良いと思う

          Facebook Mapについて思う

          見ていて飽きない「マピオン」のアップデート

          マピオンのアプリがアップデートされて、地形の陰影が表現されるようになった。地図から地形を読み取ることが好きな私には嬉しい。地図を回転させると、それに連れて陰影も方位に最適化されるし、拡大していくと、等高線もかなり詳しく表示される。見ていて飽きない。 Cartographyという視点から見ても、ラインやフォントの設定、色表現全般にわたって、以前のバージョンに比べて洗練されているし、それであって描画のパフォーマンスを意識したスタイリングの「割り切り」が施されていることも興味深い

          見ていて飽きない「マピオン」のアップデート