国試不合格だったリハビリ学生へ
はじめに
本当ならこの4月から理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働くはずだった方へ。
今回のnoteはあなたに向けた内容です。
まず、誰？って感じだと思うので軽く自己紹介。
私は理学療法士7年目、４月で8年目を迎えます。
1〜3年目は三次救急病院（高度急性期）で脳卒中や神経難病の患者さんを中心に担当。
その後職場を変わり整形外科の急性期を担当。
現在は回復期に勤めています。
実は私は留年経験者です。
2年から3年に単位を落として進級できず留年。
その後進級するも臨床実習を落として２回目の留年
２年遅れて理学療法士になった。
やっと念願の理学療法士になったのに理学療法士1年目の冬にギランバレー症候群になった『当事者セラピスト』と呼ばれる立場になった。
全快まではいかなかったけど復職する事ができて今に至ります。
最近では当事者目線でセミナーなどに登壇したりブログで発信しています。
noteにも経験談を書いています。
それでは改めて
国家試験に落ちてしまった人へ
自己採点をするからある程度は予想してた人も多いと思う。
だから発表までの日々もかなり苦しい思いで過ごしてきたんじゃないかな。
同級生は開放感全開なのに、自分だけ違う状況でもしかしたら好きな友達に会うのも辛いって思っているかもね。
それでも『不適切問題があって何とかギリギリいけるかもしれない』
なんて思いたくもなったよね。
でもダメだった。
もっと勉強したらよかった
もっと早く対策していればよかった
あの問題は正解と迷ったのに違う選択肢をえらんでしまった
1じゃなくて3を選べばよかった
後悔なんかいくらでも出てくるよね。
みんなは4月から働くのに自分はまた1年国試勉強だなんて惨めだ
この1年どうやって過ごしたらいいんだろう
先が見えない
また辛い勉強生活か…
1年勉強しても受かる保証もないしどうしよう
4月からの1年、先が見えなくて暗闇の中にいる感じで不安で怖くてたまらないね。
こういう時にする声かけって難しくて、特に仲が良い友達こそ悩む。
傷つけたくないからね。
「あと少しだったんだから、次は大丈夫」
「いつでも気分転換付き合うからね」
「辛い時はいつでも言ってね」
「勉強手伝うから諦めないで来年頑張ろうね」
「この一年無駄にしないように何か挑戦してみるのもいいよ」
とかね、もう言われたかな？
逆に否定的に（特に医療系じゃない人に）
「え？一年また勉強するの？諦めて就職しないの？」
「そんなに諦められないものなの？私ならもう違う道いくわ」
って言われた人もいると思う。
親とかに
「普通に勉強してた受かるものなんじゃないの？努力が足りなかっただけでしょ」
「怠けてギリギリまで勉強しなかったんでしょ」
って言われたりもするかもね。
色んな事を言われてそれに反論したくなったり、その通りだと思って情けなくなったり、余計に不安になったり、味方がいないように思えたり。
感情が忙しくて、何をしていても落ち着かないんじゃない？
私が実習落ちた時はそうだった。
何もやる気が起きない。
ご飯も食べたくない。
でもお酒で紛らわす人もいるかもしれない。
人と会う気も起きない。
親と話す事すら怖い。
４月から働く友達の話なんて辛くて聞いてられない。
何をしていても惨めな気持ちになり
「不合格」
この事実を受け止めきれず、ずっと1人でもがく。
もう吐きそうなくらいでしょ？
親に迷惑をかけて
国試浪人って事は卒業はしちゃってるし
働いてもない、学生でもない、主婦でもない
自分の存在意義すら分からなくなるでしょ。
自分って本当にだめだ
頑張っても来年本当に国試受かるのか
また1年後も同じ思いをしない保証なんてない。
他にも思う事があれば吐き出してしまえ。
ノートでもいらん紙にでも書け。
言える相手がいれば全部言ってみろ。
絶望か？
その感情に似た状況があるのを知ってる？
毎日世界中で起きている。
病気や障害を負った患者さんだ。
友達や親しい人には
「頑張れば良くなるよ」
「何かあったら言ってね」
「せっかくだからゆっくり休もう」
って励まされ
「もっとリハビリ頑張らないと良くならないよ」
「いつまで車椅子なんか使ってるの？」
「こんな状況で復職するつもりでいるの？私なら諦めるわ」
「俺ならこんな身体になってまで生きてたくない」
こんな否定的な言葉も受けて
「自分の身体の管理くらいちゃんとしないと」
「病気になる人って普段から毒をためるような食生活してるらしいから結局普段の生活習慣らしいよ」
「ストレスじゃない？」
とかそれっぽいけど今言っても仕方ない事を言われる。
それに対して怒りがわいたり
理解してもらえないって辛くなったり
情けなくなったりして本当に苦しくなる。
似てるよね。
今の苦しさと近い感情を患者さんも持っている。
先が見えない不安に押しつぶされそうになっている。
勘違いしないでほしいのは、病気の患者さんに比べたら大したことないと言いたいわけじゃない。
それに比べたらとか言っても、今辛いもんは辛い。
それは、もっと辛い人がいるとかは関係ない。
もっと重症な患者さんがいるんだから、
「それくらいで落ち込むな！」
とか言わないでしょ？
自分が辛いとおもったら辛いんだ。
比較するもんじゃない。
さて話を戻すよ。
君が働くはずだった病院や施設などの医療、福祉現場にはそんな患者さんがいっぱいいる。
そういう患者さんを助けたい？
そう思うなら、今からできる事をしよう。
すぐ勉強はしなくていい。
教科書とかノート見るの辛いだろうし、すぐに勉強モードになんかなれない。
そんな自分を否定しない。
まずは辛いって気持ちを、これでもかってくらい出そう。
思ってるだけだといつまでたったも溢れ出る。
書き出すか口に出す。
書いた物は誰にも見せなくてもいい。
だからどう思われるかとか気にせずに。
感情って溜め込むといつまでたっても昇華せず残るから、とにかく出す！出す！出す！
それ以外は何もしたくないなら何もしない。
そうしたらきっと動きたいタイミングがやってくる。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士など医療従事者になりたい気持ちはそう簡単になくなったりしない。
国試に落ちて、苦しんでるのがその証拠じゃないか。
適当に目指したなら、そんなに苦しんで悩まないよ。
まだ夢は枯れてない。
リハビリというのは、この手技をやれば治るという正解がない世界。
自由度が高い分、そのセラピストごとの考えや価値観がすごく出る。
だから知識だけあっても、良いリハビリテーションを提供できるかはまた別問題。
今の君みたいに辛い状態の時に毎日関わる重要な仕事だ。
だからセラピストの人間性、大袈裟かもしれないけど生き方が患者さんの生活、人生を変える。
それくらいの仕事なんだ。
退院後の移動手段、ある理学療法士は杖と装具を選ぶし、ある理学療法士は車椅子を選ぶかもしれない。
どっちが良いかなんて確かな正解はない。
杖の方がいいと思ってたら数日で骨折してまた入院、入院中に認知症が進行して自宅には帰れなくなるなんて事もあるから、高いレベルを選ぶのがいつも正解とは限らない。
それくらい私達の選択は患者さんの人生を変える。
言葉の選び方1つでも患者さんを安心させるかもしれないし、さらに傷をえぐるかもしれない。
苦しみが分からない人は、医療従事者には向かないと思っている。
だから今、しっかり苦しみを味わって医療従事者の素質を作ろう。
こんなに苦しんでるだ、患者さんの気持ちに寄り添える医療従事者になれる可能性は十分だ。
色んな経験をして視野を広げよう。
色んな価値観、文化、生活がある事を知ろう。
患者さんもそれぞれ色んな価値観を持ち、それぞれの生活スタイルがあり、色んな文化を持っている。
患者さんの価値観、文化、生活を理解しようとする医療従事者は患者さんの支えとなる。
苦しみと向き合う辛さを知ろう。
そしたら患者さんの苦しみを適当にあしらうなんてできないはずだ。
ちゃんと声を聞いてあげられるよね。
厳しい事を言うと、毎年国試の合格率は新卒より２回目以降の受験者の方が低い。
モチベーションを保つのが難しくなってくるのが1つの要因。
だから２回目の挑戦は勇気と覚悟がいる。
強い心がいる。
しかしまだ道はある。
何度も悩み苦しむだろう。
その先には君を待っているたくさんの患者さんがいる。
キングコング西野さんが人生における11時台という話をしてるけど知ってる？
（私の解釈も含む）
時計の針はいつも途中で短針を長針が抜く。
でも11時台だけは長針は短針を抜けない。
でも長針はサボってるわけじゃない。
しかし諦めることもなく、ただ自分の進む道を進む。
そしたらね、12時0分で追いつくんだ。
人生においても、この11時台は存在する。
今は11時台だ。
長針のようにやるべき事をひたすらやれ。
1年後、人生の12時に臨床現場で待ってます。
リハビリテーションの専門家の仲間として一緒に患者さんのために働きましょう。
もし良かったら気持ちを吐き出すのに使ってください。
最低一度はお返事返します。
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