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わたしは、ダニエル・ブレイク もはや合法的な殺人

これは一体今のイギリスの話なのか過去の話なのか・・

これは一体今のイギリスの話なのか、過去にあった話なのか、こんな事をしていると将来こんな事が起こるぞ、という比喩的な未来の話なのか。
今のイギリスの社会福祉制度が分からないので、そこがわからない。
そして、これが現代のイギリスの話だとすると恐ろしすぎる。

一人の人間の尊厳を見下した制度。
保身的で責任回避した、なるべくならお金を支給したくない制度。

日本の制度もここまでではないと思われるが、複雑な事は変わらず、
特に老人は泣き寝入りという話は良く聞く。

貧困、高齢化、働き手の不足など背景となる問題が山積なのはわかる。
しかし、これは何とかしないといけない。

ダニエルは失業するがいつになっても保証を受けられない

複雑怪奇な受給システムで老人は置いてけぼり


複雑怪奇な保障の受給システムに対応できなく、生活を断ち切られ死にいたる人が増えるのではないか。大袈裟に解釈すれば合法的な殺人ではないのか?

受給の制度なのに予算が足りないので受給させたくないという矛盾。
監督のケン・ローチが引退を撤回してでも、この作品を作ったのはイギリス人の切実な叫びなのだろう。

ダニエルとシングルマザー家族の交流が救い


主人公ダニエル・ブレイクは大工だが、心臓病を患い働けなくなってしまう。
国からの援助を申請するが、複雑な制度に対応できなく、いつになっても補償が受けられない。

そんな中で同じく援助が受けられなく困っている、シングルマザーと子供たちに出会う。
優しいダニエルとこの家族との交流がこの切羽詰った映画にユーモアと人間の優しさ、温かさを添え、救いになっている。

ダニエルはシングルマザーの家族と出会う

しかし、いつまでたっても保障は受けられず、家財道具まで売り払い生活は困窮する。ダニエルは病気を患い働けなくなっただけで、善良な市民であり、社会の為に働いていた。その何がいけないというのか。

ダニエル・ブレイクとしてささやかに生きていたいだけなのだ。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」というタイトルは切実で重い。


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