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やさしい時間

金曜の夜ほど素敵な時間はない。
今日は寝落ちするまで本を読もうと思う。
金曜の夜は、何もかもが許せそうな、
幸せな予感が孕んでいる。
最近は、シオランの『生誕の災厄』を読んでいる。
セットアッパーには『告白と呪詛』も控えている。
シオランの言葉は
絶望を愛するために存在する。
絶望に慣れてしまってはいけない。
ただ、愛するのだ。
それがふとした瞬間に
幸福に感じる時がある。
深夜に散歩に出かけ
コンビニに寄って
ビールを買う。
これは週末だけに許された僕の
幸せである。
ちびちびと飲みながら
言葉の一つ一つを丁寧に読んでいると、
ふっと心が軽くなる瞬間があるのだ。
本がなければ生きていけないなんて
そんな大袈裟なことかと
思うかもしれないけれど
本当にそうなのである。
それは本当のことなのだ。
だけど金曜日の夜ばかり
贔屓しても良いのだろうか。
そんなことを考えながらも、
僕は、文字の海に埋もれていく。
なんと心地が良いことか。


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