【1分小説】大好きな君に
お題:大好きな君に
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大好きな君に、贈るものがない。
実はあったんだけど食べちゃって、ケーキ。
ケーキは美味しい。抗えなかった。
だからそもそも贈り物なんてなかったことにして、週末ちょっといいレストランでご馳走してごまかそう、と思っていたけれど。
「食べたでしょ」
なぜだ。包装紙は見えないように捨ててお皿も片付けて、もちろん口元に生クリームなんてつけてないか確認して、君の帰りを出迎えたというのに。
「なにを?」
すっとぼけてみる。
「ケーキ」
駄目だ。全部お見通しだ。