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【1分で読める小説】いちばん遠い家出

お題:あきれた14歳
お題提供元:即興小説トレーニング(http://sokkyo-shosetsu.com/)
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「ハルトがいないんだ」
「どうせまた家出でしょ。放っておけば帰って来るよ。あの子ばっかりに構ってられないんだから」

 母親はそう言って、料理皿を次々に食卓に並べていった。
 それを取り囲む兄弟7人。父と母と合わせて、ハルトの家は10人家族だ。今あいているのはハルトの椅子だけ。

「あいつ、また悪い奴らとつるんでるんじゃないか。もし何かあったら……」
「そんなに言うなら、自分で確かめて来れば良いじゃないですか」
「まあまあ」

 結局、ハルトはその日帰ってこなかった。
 家族は皆知らなかった。夜7時半、空に一筋の流れ星が弧を描いていたことを。

 窓の外は真っ暗だった。ハルトはその暗闇をじっと見ていた。
 チューブからゼリーをすする。

「これで良かったのかよ」
「ああ、言っても心配かけるだけだし。明日には帰る予定だから」
「明日……ねえ」

 ハルトとハルトの友人は、そういってまた窓の外を眺めた。
 その景色の真ん中には、ぽっかりと浮かぶ青い地球。

「まあ、反抗期なんで」