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atelier ourron(アトリエ・ウロン)訪問

湘南エリア葉山の閑静な住宅街にあるアトリエ・ウロンを訪れました。
自宅の1階スペースをアトリエとして開放して、子どもたちが造形を楽しんでいます。
棚には豊富な画材が揃い、種類毎に整理整頓されていて、必要なものがすぐに取り出せます。自宅を購入した際、汚れにくいように、床をセメントではなくモールテックスにしたというエピソードはしびれました。アトリエスペースには、子どもたちの作品が飾られているだけでなく、椅子や窓にも大体に子どもたちのペイントが施され、庭の壁にも子どもたちの作品があり驚きました。

https://atelierourron.jp/


空間は整えられているんですが、それでも子どもたちの創作の痕跡が残り、その息吹が感じられて「生きている空間だ」と思いました。

アトリエを主催されているマリコ先生はグラフィックデザインのお仕事の傍ら、子どもの表現活動の場を作られています。青学のワークショップデザイナーの資格取得後も、アートプログラム開発と研究を続けながら場を開いてこられました。引き出しをたくさんおもちで、アトリエにくる子どもたちが決まってからプログラムを決められるそうです。来た子どもたちが、できるだけ初めて体験するようなプログラムになるように工夫をされています。

訪れた日は石膏を使ったプログラムでした。
14時になると子どもたちが集まりだし活動スタート。
トライアルの参加者含めてこの日は、幼児から小学校中学年までの幅広い年齢層の11名の子どもたちが参加しました。
思い思いに石膏の粉に水を混ぜ出す子どもたち。観察していて感じたのは、低学年から幼児は、何かを作ることにはあまり興味を示さず、混ぜることそのものに関心があるようでした。液体がやがて粘度が出てきて、個体になる。指で触ってその感触を楽しむ。創作というよりも感覚遊びをしているように思えました。この時期の子どもの発達段階らしい姿でした。

マリコ先生が大事にされていることは自由度です。以前は、短い時間で一斉に説明をして、同じものを作るワークショップを中心にやられていたそうです。「みんな同じものができるのは面白くない。」とおっしゃられていて、今のスタイルにいきついたそうです。時間は14時から18時までとたっぷりあります。きた子からバラバラと作りだして、創作に飽きたら、庭に出て水遊びをして、おやつタイムに戻ってきて、また外で水遊びをしたかと思うと、ある時、急に戻ってきて、創作をする。思い思いの時間を子どもたちは過ごしていました。基本的には指示や指導や禁止はありません。親御さんの間では「あそこまで、子どもがやりたいことをやり切らせてくれるところは他にない」と言われてそうでした。創作途中、子どもたちから「これを作ってみたい」「針金を使いたい」「マジックで描きたい」「グルーガンでこれを作りたい」と次々にリクエストがきます。それに答えて手早く道具箱の中から材料や画材を出されます。適宜、子どもたちに創作のアドバイスをされていました。

「お父さんにバイクを作るって約束してきたんだ」「ねえ、自転車好き?バイク好き?」小学生中学年の子は、針金を使って器用に車体を作って、銀紙でくるんでバイクを作りました。中学年くらいになると、感覚遊びから、これを作りたいという計画性が生まれるのかと興味深くみていました。

何があっても、一貫して子どもの「やりたい!」を尊重して、想像を超えるような動きをしても、それを面白がるマリコさん。この時間を毎週作ることの大変さも、僕は感じましたが、きっと大変じゃなくて面白いと思ってマリコさんはその場にいるのでしょう。



素晴らしい場をみせていただきました。ありがとうございます。

文責:森田千尋


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