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ブックレビュー『語られなかった皇族たちの真実』竹田恒泰著

天皇陛下や皇室の歴史について、これまで何冊か本を読み、多少は聞きかじっていたつもりでいたが、まだまだ知らないことがたくさんあるものだ。しかも、絶対に日本人が知らなければいけないような重大な事実が、今回ご紹介する書籍にはいくつも書かれていた。タイトルは『語られなかった皇族たちの真実』。著者は明治天皇の玄孫として知られる竹田恒泰さんである。
(以下、一部「ネタばれ」を含む)

ポイントを絞ってお伝えしようと思うが、まず一つめは、明治時代から大東亜戦争期にかけて、明治天皇の思召しにより、「男子皇族」は全員軍人となることが義務づけられていた、ということだ。これは欧州の「ノーブレス・オブリージュ」という思想を採り入れたものである。特権階級である王族や貴族は、ふだん優遇されている分、いざというときには国のために命をかけて戦うべきだという考え方だ。現代でも英国のウィリアム王子は軍隊に所属しているが、かつては日本の皇族も同じように軍隊に所属していたのである。私が無知なだけだとは思うが、まさか男性の皇族が全員軍人だったとは思いもよらなかった。
もちろん、皇族に万が一のことがあってはいけないので、軍隊の側も危険な前線には送らないように配慮していたそうだが、それに頑として抵抗し、前線に出た皇族もいらっしゃったとのこと。そして大東亜戦争中に命を落とされた皇族もおられたそうだ。

さらに驚いたのが、玉音放送のあとの日本軍の「武装解除」に関して、皇族が大きな役割を果たしていたことである。以前から、8月15日を境に日本軍はぴたりと攻撃を止め、(北方領土に攻め込んできた火事場泥棒のソ連に応戦した等の例外を除き)見事な統率によって軍隊が速やかに武装解除したことは知っていた。
しかしよく考えてみると、直前まで日本を護るために特攻まで行っていた軍人たちが、なぜそんなにあっさりと武装解除に応じたのか、とても不思議ではないかと思う。その理由は、昭和天皇の命を受けた三名の皇族(もちろん全員軍人)が、中国大陸や日本各地の部隊に特使として派遣され、「戈をおさめるように」という「天皇の言葉」を伝えて回ったからであった。
玉音放送後も戦う意志を貫こうとしていた軍人たちも、天皇の代理で訪れた皇族の説得には素直に応じたという。もしも一部の部隊が軽挙妄動して戦闘を継続していたら、連合国軍の日本本土への攻撃はいっそう激化し、どれほど被害が広がったか想像もつかない。皇族方が命がけでそれを食い止められたのだと言える。
戦争の経緯云々はこの投稿では触れないが、天皇と皇族が、日本にとっていかに重大な役割を果たしてこられたか、またいかに国民から慕われ、強い信頼関係で結ばれていたかが、この一事から垣間見えるのではないだろうか。

次に、なぜ皇統は「男系」で継承しなければならないのかについて、竹田さんは次のように述べられている。
すなわち、「男系継承には2,000年の伝統があるから」であり、それを簡単に変更するのは御先祖に申し訳ないということ。さらに「男系よって継承されてきたものを天皇家と呼ぶ」のであり、女系が継承した瞬間に、それは天皇家ではなくなるということ。決して女系が悪いといっているのではなく、日本の天皇家に関して、女系天皇はふさわしくないとのことである。

同書からいったん外れる。これはあちこちで書かれていることだが、「女系天皇」とは「女性天皇」のことではない。女性皇族が「皇族以外の男性」と結婚して生まれた子供が、仮に皇位についた場合、その人は「女系天皇」ということになる。
皇族以外の男性が父親ということは、その女系天皇は「山田さん」の息子だったり、「鈴木さん」の息子だったり、「ジャクソンさん」の息子だったり、「フセインさん」の息子だったり、「ビジェイさん」の息子だったりするわけだ。つまり、父親の父親をどれだけたどっても、初代神武天皇に行きつかなくなるということである。
この女系天皇とその子孫を、われわれ日本人が皇族として未来永劫敬い続けられるのかどうか、はなはだ疑問を感じるのは私だけではないだろう。それは皇位継承ではなく、もはや王朝交代に等しいといえる。女系を認めれば、外国のスパイが皇室を乗っ取ることも、制度として可能となる。そのような事態を絶対に招かないように、私たち日本国民が皇室とその伝統をお護りしなければならないのではないかと、私自身は考えている。

話を竹田さんの著書に戻そう。この本には、おそらく多くの日本人が知らないと思われる「皇室の真実」が書かれている。本書を読み、私は何度も何度も驚かされ、そのたびに目が覚めるような思いがした。本投稿では触れなかったが、「菊栄親睦会」の御存在など、非常に重要な内容がたくさん含まれているので、ぜひ多くの方々に読まれることを希望する。

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