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家族が知るべき経済の話:2022年9月、ついに為替介入。それ効く??

こんにちは、夫の方です。
今月は各国の金融政策の方針が出ましたし、日本でも24年ぶりに円買いの為替介入もありました。なかなか動きが激しかったですね。

前回の8月の内容はこちらです。

アメリカのインフレ状況

消費者物価指数

今月も世界が注目するアメリカの消費者物価指数が大荒れです。
毎月のように掲載しているアメリカの消費者物価指数のグラフですが、今月も下がっていますね。
物価が下がっているということなので、いい方向に進んでいるじゃん!と思いきや全然そんなことはない!のです。

アメリカ、消費者物価指数の推移

その理由は、「見かけ上の物価指数は下がっているが、その内容が良くなかった」ということです。
どういうことでしょうか?

理由を探るため、はじめに「コアインフレ」という指標を見ていきましょう。
コアインフレとは国によって計測方法が異なるのですが、アメリカでは「変動の激しい、食品とエネルギーを除いた物価指数のこと」です。(参考
こちらが上昇しました。
つまり、文字通りですが、食料やエネルギーではないものの値段が上がったということです。詳しくは次で説明します。

アメリカ、コアインフレ指数の推移

「食料やエネルギーではないものの値段が上がった」ということは、なんの値段が上がったんでしょうか?

答えは、消費者物価指数の内訳についてありました。
原文は以下ですが、ざっくりいうとエネルギー価格は下がっているが、食料や住宅などの物価が上がっているということです。
どうやら、原材料の価格は下がっているが、国民の心理的にインフレを意識したため、買いだめなど需要が上がってきていると考えられます。

The annual inflation rate in the US eased for a second straight month to 8.3% in August of 2022, the lowest in 4 months, from 8.5% in July but above market forecasts of 8.1%. The energy index increased 23.8%, below 32.9% in July. Smaller increases were reported for gasoline costs (25.6% vs 44%) and fuel oil (68.8% vs 75.6%) while inflation sped up for natural gas (33% vs 30.5%) and electricity (15.8%, the highest since August 1981). On the other hand, inflation rose for food (11.4%, the most since 1979), shelter (6.2%, the most since 1984), and used cars and trucks (7.8%). Compared to the previous month, consumer prices were up 0.1%, following a flat reading in July and compared to forecasts of a 0.1% drop. Meanwhile, core CPI, which excludes volatile energy and food prices, increased 6.3% on a year, the most since March, and up markedly from 5.9% hit in both June and July.

https://tradingeconomics.com/united-states/inflation-cpi

消費者のマインドがインフレを警戒し始め、行動に出たというのはとても大きなことです。
このインフレが収まるのに25年くらいまでかかるんじゃないか?という見方も出てきています。

アメリカの方針

FOMCという、FRBが行っている政策決定会合が9/20-21でありました。簡単に言うと、上の物価指数の状況などをふまえて、これからどうする?を決めて発表する会です。

この会議で、よりタカ派的な姿勢(もっと利上げをしていく姿勢)であることがわかりました。
利上げ幅は0.75で、予想通りでしたが、未来の予想がより厳しいものでした。

アメリカの政策金利

このドットプロットという表がおもしろいです。
FRBのメンバーの利上げ予想をマッピングした表で、時間軸での推移をみることができます。

重要なラインを下抜けた株価

アメリカのトピックの最後に株価を見ていきましょう。
FRBの積極的な利上げの姿勢に下落を続け、ついに2022年6月の底を下抜けてしまいました。
これで2022年の最安値です。
ピークから25%も下げた状態です。
市場予想では、コロナ危機前の水準である、3400-3200程度くらいまで下げるのではないかと言われています。

9月末時点でのS&P500指数

日銀と為替介入

9/14くらいに、財務省の鈴木さんから財政出動するかも?みたいな発言がありましたが、実際にその後の9/22に、為替介入が実施されました。
実に24年ぶりの円買いの為替介入で歴史的でした。

為替介入ってなに?

政府・中央銀行が、為替コントロールのために外国為替市場で通貨を売買することです。
今回の場合で言えば、日銀が為替市場で、円を買うことで、円安を止めようとした、ということです。

円安・ドル高になるということは、つまり円を売って、ドルを買う人が多いということです。
なので、逆に円を買って、ドルを売れば円高・ドル安になるということなので、日銀が頑張って円を買ったというのが為替介入です。

為替介入の概要

一応厳密なことを言うと、為替介入の決定権は日銀にはなく、財務省が決めます。
いまだと、財務省の長官は鈴木俊一さんです。日銀は、あくまでその実行だけを行います。とはいえ、財務局と日銀でもちろん相談はしてやっているはずです。

為替介入では円安は止められないってほんとう?

為替介入をしたし、これで円安は終わるんだ!と思いたいところですが、残念ながらそういうものではありません涙

そもそも、為替介入の目的は実は円安を終わらせることではないのです!

冷静になって規模感を考えてみるとわかります。いま、世界中の投資家は円を売って米ドルを買いたいので円安が進むわけです。(その理由については、いままでも説明してるので割愛します)

円安をほんとうに食い止めようと思ったら、世界中の投資家が売りたい円を全部日銀が買わないといけません。
日銀 vs 世界の投資家、でどちらのほうが金額が多いでしょうか?勝てるはずもないのです(参考資料「為替介入の資金とは すぐ使える外貨預金は19兆円」)。

なので、はじめから円安を終わらせるために為替介入しようとなど思ってないはずです。

日銀の手持ちとドル円の取引量

なぜ為替介入するの?

円安を終わらせるために為替介入したのではないとすれば、なぜ為替介入を実施したのでしょうか?

これは、円安方向のスピードを少し遅くすることや、為替介入で牽制することで、投機目的のトレードを抑制することなどが考えられます。
一時的には、円高にすることができるので、トレーダーとしては怖いです。円安に賭けていて円安方向のスピードを少し遅くすることや、為替介入で牽制することで、投機目的のトレードを抑制することも、突然の為替介入で損失する可能性があるので恐怖心がでてきます。

為替介入後は一時的に円高になるも、すぐに円安へ。
ただし、145円付近でとまっています。おそらく、これ以上進んだらまた日銀が為替介入にしてくるのでは?という恐怖もあって止まっているのではないかと予想できます。

為替介入とその後

円安は終わらないの?

円安を終わらせるには、日米の金利差を縮小する他ないので、日本かアメリカの金融政策が変わらない限り、終わることはないでしょう。
為替介入でどうこうできるもんだいではありません。

ECB政策決定

アメリカと日銀の動きだけでも、正直お腹いっぱいなのですが、ヨーロッパでも大事な動きがあったので軽くインプットしておきましょう。

ECBが0.75%の利上げへ

ECBは、ヨーロッパの中央銀行です。
アメリカばかりに注目がいきがちですが、ヨーロッパもいま歴史的なインフレに見舞われてみます。そこで、アメリカの後を追うようにヨーロッパでも利上げをすすめているのですが、今回0.75%の利上げという大きな利上げを実施しました

ちなみに、アメリカも0.75%の利上げとかをしているので、それがどのくらい大きなスピードか分かりづらいと思いますが、通常は0.25%ずつ徐々にあげていくものです。通常の3倍のペースで上げていると考えるとわかりやすいですかね?

英ポンドの大暴落

今月9月になって、イギリスでは首相が変わりましたね。トラスさんに変わってトラス政権として動き始めましたが、さっそく政策の大失敗が起きているようです。

トラス政権では、インフレによって生活が苦しくなっているため、そのサポートをしようと、大幅な減税プログラムを発表しました。
これが、英ポンドの大暴落を招いています。

減税とかめっちゃいいじゃん!!
と思いたいところですが、暴落の理由を探っていきましょう。

そもそも、イギリス国民の生活が苦しくなっている理由は、コロナショックによる金融緩和による、過度なインフレです。
アメリカもそうですが、インフレを抑制するために金融政策の引き締めを行ってきました。

しかし、この減税プログラムはインフレを抑制するどころか、加速させる方法であると認識されています。なぜならば、減税して使える資金が増えれば、人はものをもっと買うようになるし、減税した分は国債を大量に発行してまかなうためポンドの通貨量を増やすということになります。
イギリスの将来的な先行きが怪しくなってきて、国債が売られ、株が売られ、ポンドが売られるという最悪の事態になってしまったのです。。。

ポンドドルは、一時最安値へ

イギリスの政策は他人事ではない

この失敗は、他国にとっても他人事ではないのです。
アメリカも金利上げによって、経済悪化を招いています。経済悪化を招いたからといって、安易に減税などを行った場合に何が起きるか?イギリスが先に教えてくれたと言えますね。

経済ってむずかしい。。。

今月の我が家の対応

アメリカの株価は2022年6月のボトムをついに下抜けました。
個人的にはこの時をずっと待っていました。そろそろ買い場が近いんじゃないでしょうか?
今年の4月とか5月くらいに、秋頃にS&P500は3400円くらいまでいくというレポートがでていて、その信憑性があったのでそれを目安に見てきました。いよいよそのときが近づいてきたので、徐々に買うペースを増していこうと思ってます。

株だけではありません。
アメリカの債券も相当に売られてきたので、そちらも買いを狙ってます。

また、現金確保のために利益確定をするなどして準備をすすめています。

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