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明治安田J2リーグ 第19節 清水エスパルスVS藤枝MYFC

ホームでは負けがない清水と、昨シーズンアイスタで大敗を屈した藤枝との一戦。前半から清水が攻め込むが、得点をすることができない。対する藤枝は、ボールを持つことができるが、シュートで終えることができず、前半を終える。後半も清水が攻め続けた。すると、67分に乾からボールを受けた北川が得点をし、先制に成功する。その後は、藤枝に攻め込まれ、矢村にミドルシュートを打たれるが、権田を中心とした守備で清水は守り切り試合終了。清水は、前半戦を首位で折り返すことができた。



感想

清水

群馬戦以来の3‐4‐2‐1でスタートをした。ミラーゲームではあったが、試合内容を見ると、群馬戦のようにうまくいったとは言い切れない。ただ、山原が高い位置を取ることができ、クロスを上げることが多いこと。北爪が背後へのフリーランからチャンスを作るなど、中央に人数が多いが、サイドの選手の特徴を活かして、サイド攻撃からチャンスを多く作ることができたことは良かったことである。また、宮本が入ったことで試合を落ち着かせてプレーをすることができた。加えて、敵陣に入った時に、原が中央でプレーしたことにより、ワンタッチなどでプレス回避をし、展開をすることができた(図1) 。また、サイドでのサポートもすることができたため、原はなるべく内側で使い続けたい。

図1


藤枝

清水のハイプレスは3枚であるため、杉田を左SBの位置に落とし、4バックの形としてビルドアップをしていた(図2) 。そのため、清水の北爪が縦スライドして杉田につき、原が榎本にマークをさせた。そのため、高橋と原の間にスペースを作り、そのスペースを狙ったロングボールが多かった。

図2

また、左サイドでビルドアップをすることが多かったが、相手のプレスで押し返された時は、GKの北村に下げ、アンデルソンにロングボールを蹴ることが多かった。攻撃の狙いは明確であったため、迷いなくプレーをしていた。また、杉田のフリーランにより、清水はプレスがうまくハマらなかった。そのため、スペースを作ることができたが、シュートで終わることが少なかった。


解説

サイドにボールが渡った時のサポート

3-4-2-1を使った時に気になったのは、WBにボールが渡った後のサポートである。北爪や山原がボールを受けた後、彼らの近くにサポートをする選手が少なく、プレーの選択肢が少なかった。彼らであれば、ドリブル突破からチャンスを作ることができるが、より、突破の確率を高めるためにもサポートが必要である。

図3は、前半、北爪にボールが渡った後のシーンである。(逆サイドの左サイドでも同様なシーンがあった)このシーンのように、この試合でも、サイドの選手にボールが渡った後、中央でサポートする選手がほとんどいなかった。そのため、ドリブルで仕掛けるか、ボールを下げるかの二択しかない。

図3

配置で優位を取るためにも、図に書いてあるスペースに人が欲しい。このスペースにサポートをすることで、さらに攻撃のバリエーションが増える。例えば、ワンツーで背後を取ることや、このスペースにいる選手を囮としてドリブル突破をするなど、色々な攻撃をすることができる。そのため、WBにボールが渡った後は、サポートとしてこのスペースに1人入りたい。

実際、後半の選手交代で北川が右のシャドーに入った後に、このスペースに入り、サポートをしていた(図4) 。そのため、北爪は、プレーの選択肢が増えた。また、北川は背後への動きもしたため、前半に比べ、右サイドからの攻撃が活性化した。

図4

前半は、宮本が中央でサポートをしていた。しかし、ポジションを捨ててサポートをしていたため、バランスが不安定であった。しかし、後半は、北川がこのポジションを取ったため、無理をして前に出ることはなかった。加えて、宮本が背後への動き(図の矢印の動き)をすることで、相手のラインを下げるなどができる。そのため、優位を作ることができ、自らの仕掛けで攻撃をすることができる。

サイドでボールを持った時に、サポートをしないのは、意図的にスペースを作り、一対一の仕掛けからクロスなどを上げてチャンスを作ることだと考えられる。しかし、このポジションに入ることで、より攻撃が活性化する。

また、北川は、ボールに関わり、リズムを作ることで得点を狙う選手である。そのため、前節のように、前線で張り続けることは得意ではない。カルリーニョスとの2トップが合っていたのは、片方が前線で張り、片方がボールを受けに降りる動きをお互いがしていたため、2人で攻撃をすることができた。カルリーニョスがいないのであれば、前線で張ることができるタンキを起用するべきである。この試合の得点シーンでも、タンキがDFを引っ張ったために北川がフリーとなり、得点ができた。エースの北川に得点を量産してもらうためには、起用する選手を考えなければいけない。



今節が終了し、前半戦が終わった。首位で折り返すことができたのは良いことであるが、首位であるため、追われる立場になる。そのため、様々な対策をされる。勝ち点を積み重ねるためにも、課題を少しずつ修正する必要がある。

今節も含め、気になったことは、DFラインである。この試合では、3バックの中央に入った高橋がラインを上げる指示を出していたが、ラインが上がらず、オフサイドを取り切れないシーンがあった。この試合以外にもこのようなシーンが多かった。足が速くない高橋が思い切ってラインを上げているにも関わらず、ラインを上げきることができないのは問題である。VARがないJ2は、オフサイドであっても取れないことがある可能性がある。そのため、ラインを下げてしまうと考えられる。また、権田の守備範囲が狭いため、DFラインとGKとのスペースが広くなってしまい、ラインを下げてしまうことも考えられる。そのため、権田を起用続けるのであれば、DFラインをあまり高く設定しない方法を取るべき。このままのラインであれば、ラインのズレを利用されて、背後を取られて失点するリスクが高い。
その他にも、安定しないビルドアップや、山原の背後、ハマらないハイプレスなどが弱点である。これらの問題を少しずつ修正しなければいけない。

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