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明治安田J2リーグ 第9節 ヴァンフォーレ甲府VS清水エスパルス 続き

今回は、清水の課題について解説したいと思います。ボールを持つことができたが、ボールの出口やフリーでボールをもらうことができなかった理由について、書いていきたいと思います。今シーズンは、これまで同じフォーメーションを使ってきましたが、引いて守る相手には、別のシステムの方がよいと個人的には思うため、そのことについても書いていきたいと思います。


戦術ボードを使った解説

今シーズン 清水の課題

甲府戦からは、2つ、課題のシーンがありましたので紹介したいと思います。※あくまで個人的には課題であると思うため、参考にしていただきたいと思います。

19分27秒あたりからのシーン。左サイドでボールを回し、カルリーニョスが宮本に出して展開しようとするが、パスカットされたシーン。(図1)

図1

この時間帯あたりから、中村が落ちることが多くなりました。そのため、清水は全体的に重心が下がるため、甲府としては、DFラインを中心に、ラインを上げることができます。その結果、甲府は、背後を使われることを考えず、前からプレスを継続することができます。
図1のように、どちらかのサイドに清水の選手が集まると、甲府の選手は密集しているサイドに人をかけてプレスをすることができます。そのため、甲府のCBも高い位置をとることができ、前からプレスをかけてボールを奪うことができます。(実際にボールをカットすることができた)

図1のようなシーンになる原因の一つとして、後方からボールを回して前進することができないためだと思います。甲府戦でも、後ろではボールを回すことができるが、なかなか前線にボールを渡すことができませんでした。そのため、中村は、落ちることでボールを前進することができると考えていたと思います。しかし、中村が落ちることにより、カルリーニョスが前線で孤立してしまうため、カルリーニョスも落ちることになります。その結果、図1のようなシーンになり、相手が高い位置からプレスをかけてショートカウンターをすることができます。

清水の選手は、ボールを足元でもらいたい選手が多いため、ボールホルダーに近寄る選手が多くなってしまいます。そのため、図1のような形になります。北川、乾、カルリーニョスはボールをもらうこともあるが、相手と駆け引きをすることもできます。そのため、彼ら3人がいない試合では、ボールに密集してしまい、うまくボールを回すことができず、苦戦することが多いです。

この課題を解決するためには、各ポジションで動くことのできる場所を事前に決めることが必要だと思います。その場所の範囲だけ動くことではなく、基本的には、その場所で動くことを目的としています。ポジションの決まり事を決めることで、全体の配置が下がることを避けることができます。その結果、相手はラインを上げたハイプレスをすることが難しくなると思いますし、ショートカウンターをすることも難しくなると思います。(ただし、ハイプレスを主としているチームに対して、無効かもしれません。)また、配置を決めることにより、ピッチを広く使うことができ、スペースを作ることができると思います。

2つ目のシーンは、28分23秒あたりのシーンです。山原から吉田へのサイドチェンジは素晴らしかったと思います。(図2)
左サイドに人を集め、空いた右サイドにロングボールを出し、チャンスメイクができたと思います。

図2

図2の後のシーンが図3です。吉田がボールをトラップした後のシーンです。

図3

もちろん、吉田がトラップした後、中に3人いたため、クロスを上げたら面白かったと思います。しかし、吉田はクロスを上げず、ボールを下げてしまったため、チャンスシーンを作ることができなかったことは、もったいなかったです。

このシーンでの課題は、図の中で囲んだスペースに誰もいなかったことです。矢島、カルリーニョス、中村がPAに侵入し、ブラガがPA手前にいました。甲府DFをゴール前まで引っ張ることができたため、DFラインを下げることができたことは良かったと思います。しかし、パスをもらう選手がいなかったため、吉田は、クロスを上げるかボールを下げるかの2つしか選択肢がなかったと思います。この時に、乾がいれば、図の中で囲んだスペースに顔を出し、ボールを受け、シュートまで持っていくことができたと思います。

図で示したスペースのように、意図的にスペースを作っても、そのスペースを活用できないことが多くあります。すべてのシーンでスペースを使うことは無理であるが、このようにチャンスシーンでは使わなくてはいけないと思います。ライン間でボールをもらう意識を高くし、スペースを作ることができたらそのスペースを使う意識も高くすることで、単発な攻撃ではなくなると思いますし、多くのチャンスを作ることができると思います。


次節に向けて

次節は、昨シーズン、ホームとアウェイで大量得点をし、大勝したいわきが相手です。フィジカルが強い相手ではあるが、清水がスピーディーな戦いをすることができれば十分に勝機があると思います。また、昨シーズンは、ハイプレスをし、ショートカウンターから得点をすることが多かったです。そのため、昨シーズンのように、相手に低い位置でボールを持たせ、ボールを奪い、ショートカウンターから得点をすることができれば、勝利することができると思います。

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