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明治安田J2リーグ 第16節 横浜FCVS清水エスパルス

前回の投稿では、多くの方からいいねをいただきました!ありがとうございます。
5月15日はJリーグの日でした。各自それぞれが応援しているチームに対して、このチームはこんなことがあるから好きや、こんなことをした方がいい(して欲しい)などを考えるきっかけになればうれしいと思います。


リーグ最少失点の横浜FCとリーグ最多得点の清水エスパルスの盾と矛の対戦。前半からホームチームがチャンスを多く作った。ハイプレスで清水のビルドアップを制限し、背後を狙った攻撃で清水DFを翻弄した。セットプレーからチャンスを作り、17分に先制に成功する。対して、清水は思うような攻撃をすることができず、前半を終える。後半は開始から清水が攻勢を強めた。背後への動きからPA内に侵入する回数が増え、攻撃の形を見つけ出した。しかし、横浜FCの堅い守備を崩すことができない。終盤に横浜FCが追加点を決め、試合終了。横浜FCが清水の連勝を止めた。


感想

横浜FC

守備の使い分けが上手いと感じた。序盤はハイプレスを行い、清水のビルドアップを制限させた。ハイプレスは、強度が高く、スライドが早いため、清水の攻撃を防いでいた。清水が横浜FC陣内に侵入した時は、引いてブロックを作り、隙を作らせなかった。そのため、清水は思うように攻撃ができず、横浜FCペースで試合が進んでいた。前半、気になっていたハイプレス時にできる中央のスペースは埋めることができていた。得点は、セットプレーしか得点の匂いがなかった。背後を狙った攻撃をするため、敵陣に侵入することができ、守備のセットをすることができる。

清水エスパルス

横浜FCペースで進み、思うような攻撃ができず、敗戦をした。横浜FCの守備とセットプレーに対しての攻略方法を見つけることができなかったのは課題である。前半の途中からフォーメーションを変えたため、少し選手が困っていた。また、両WBは守備が苦手な2人であるため、相手の両WBの攻撃を防ぐことはできていなかった。また、バランスが悪くなったため、うまくかみ合わず、積極的に攻撃をすることができなかった。ロングボールを使った攻撃をする相手に対して、失点することが多い。後半は、積極的に攻撃をすることができていたが、中央でボールをもらい、前進できるカルリーニョスを交代したことにより、失速をした。今節の選手交代は、個人的にはミスだと思う。


解説

横浜FCの守備の使い分け

ハイプレスと引いてブロックを作る使い分けが的確であり、清水は、自由に攻撃をすることができなかった。図1はハイプレスの時である。図2は横浜FC陣内に引いてブロックを作った図である。この試合の横浜FCのハイプレスと引いてブロックを作る使い分けが上手であった。

図1

ハイプレス時には、3人(小川、カプリーニ、高橋利)が必ず清水のボールホルダーとCBにプレスをかけた。そのプレスに合わせて、井上とユーリララが清水のダブルボランチにプレスをかけた。中野と山根は清水のSBとSHの中間ポジションを取り、SBにボールが入ったらプレスをかけていた。プレスの強度が高く、素早いスライドであったため、清水はビルドアップが上手くできず、住吉にボールが入ったらボールを捨てるような形でロングボールを蹴ることが多かった。また、矢島か原が内側に入り、ビルドアップをする清水の形をハイプレスで防いでいた。加えて、3バック(福森、ンドカ、ガブリエウ)が高い位置を取り、北川にボールが入った時にプレスをかけてボールを奪うことができた。そのため、素晴らしいハイプレスであった。

図2

清水陣内にボールがある時はハイプレスを行うが、横浜FC陣内にボールが入ると、引いて守備ブロックを作り、守っていた。ハイプレスの時とは異なり、引いた時は積極的にプレスをかけることはない。また、ポジションを捨ててプレスをかけることもほとんどなかった。加えて、中央を固めることを意識していた。そのため、清水がボールを回して揺さぶりをかけていたが、3バックを中心に形が崩れることがなかったため、安定した守備を見せていた。

この2つの守備を上手く使い分けているため、堅い守備をすることができている。複数失点が1試合だけであることも納得ができる。


後半開始の清水の攻撃とその後の失速

先ほども書いたが、清水は前半、思うような攻撃ができなかった。その原因は、ビルドアップが安定しなかったことと、全体的に動きが少なかったことである。そのため、後半からは、背後への動きをつけることが多くなった。図5は後半開始から(45分)~51分まで清水が狙っていたシーンである。

図5

横浜FCは、3バックであるため、サイドのスペース(3CBの脇)が空いてくる。そのスペースに北川とカルリーニョスが動き出し、パスを受けるシーンがあった。この動きをしたため、前半は攻撃参加がなかった宮本が、後半から背後を狙うシーンが増えた。その結果、動きが増えたため、素早い攻撃からゴール前に侵入することができた。実際に、後半の立ち上がりにはチャンスを作れていた。

しかし、カルリーニョスが交代したことで清水の攻撃が失速した。図6は、交代後のビルドアップの形である。

図6

乾と松崎は、足元でボールをもらいたい選手である。そのため、ビルドアップが安定しなかったこの試合では、ボールをもらうために低い位置を取ることが多くなった。結果的に、図6のように、ビルドアップ時に、自陣にいることが多くなり、相手は守りやすくなった。
背後を取る動きや高い位置を取っていたカルリーニョスに対して、低い位置でボールをもらう乾と松崎が入ったことで敵陣深くに侵入する回数が減った。また、それまで背後を狙っていた攻撃もできなくなった。また、北川が孤立するようになり、ボールが入っても相手に取られることが多くなった。結果、得点を取ることができなかった。

相手のハイプレスを回避することができず、ロングボールが多かったため、タンキを入れて対応することが必要であった。群馬戦のように3-4-2-1にすることで、サイドでは質的優位を作りサイドを攻略する。中央は、タンキの高さを活かし、タンキが落としたボールをシャドーが拾い攻撃するや、背後を狙った攻撃をするといったことを後半からするべきであった。



この試合でも、試合後の監督インタビューが気になった。敗戦した時に、メンタルが足りなかったと言うことが多い。この試合でも同じであった。しかし、この試合では、北川を始め、多くの選手が勝利への意欲を感じるプレーをしていた。そのため、今回の発言は、間違っていると思う。
また、この試合の敗因は、選手交代などの戦術のミスである。それをメンタルが原因とするのは試合を観ていたのかと疑問に思ってしまう。試合後の監督会見は、ファン・サポーターが得られる少ない情報の1つである。そのため、一つひとつコメントを大切にしていただきたい。

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