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図書館から広がる夢幻の世界📚

授業が全て終わった教室を出て
私はお気に入りの場所に向かった

長めのスカートを揺らめかせて
浮き足立つ足元を抑えながら
両腕に本を抱え向かうその場所は

図書館だった

人気の少ない空間で
静かに開かれた窓から差し込む夕日

はためくカーテンを横目に見つめながら
読み切った本を元の棚に戻して
次に読む本を探す

目が覚めた

私はどんな本を読もうとしていたのかな?
そんなコトを教室の端で頬杖をつきながら
考え込んで、そして結局図書館に向かう

見上げるほどに高い本棚に
ギッシリと詰められた本の数々

その中でも一際分厚めの本を手に持ち
ずっしりと伝わる重さと質感に満足しながら
表紙をゆっくり開く

目が覚めた

あぁ。どんな表紙だったのか気になる!
そんなことで頭がいっぱいになりながら
向かった図書館に1人の女性が
先客として立っていた

図書館はみるみるうちに
祭壇に変わっていた

すらりと細身の女性は和服に身を包み
伴侶と見受けられる男性と一緒に
木製のテーブルに座り食事をしている

祭壇の壇上では白くて大きな犬にも見える
神様が清められた葉っぱを1枚かじり
「上手い」と満足そうに笑っていた

見るからに柔らかそうな毛並みを
風にそよがせ頬にある朱色の曲線を
更に丸めている銅像並みに大きな身体

いや、そんな大きな身体で
小さな葉っぱ1枚じゃ足りひんやろ!

と思わずツッコむ私に
先程の女性が「そう思うよね!」と
微笑んでくれた。

彼女の声は私と同じ声だった。

「変われば変わるモノだなぁ。」と
伴侶となる男性が味噌汁を啜りながら
ボソリと呟き
彼女は今度は彼に微笑んでいた

目が覚めた

あの綺麗な女の人
もしかして私の前世だったのかな?

そんなファンタジーな妄想をしながら
教室を出て、図書館に向かう

それはもう何かに呼ばれるように
自然と自動的に足が動いていた

揺らめく私のスカートを
見つける人は誰も居なかった

そして導かれるように図書館の
ドアノブに手をかけ部屋に入る

祭壇は日本庭園になっていた

あの着物の女性も
寡黙な男性もいなかった

その代わりに神々しい女性がいた

白く長い髪をゆらりと揺らして
頬に塗られた朱色の曲線越しに
私に流し目を送る

少し着崩された和服の裾から
細く肌白い足がちらりと覗く

丹精込められたモノを1つ食べる
それこそがグルメなのさ。

コロコロ響く鈴のような声で
私に話してくれた

その声で彼女の半生が
脳内で再生される

闇の炎とマグマが猛る中
毛を針山のように鋭く立たせながら
瞳を怒りの色に染め上げて

その鋼鉄な牙で周囲を食い荒らし
哀しく鳴いている犬の神様

そんな彼女に対峙するのは
あの寡黙な男性と着物姿の女性だった

なるほど。と私は思った

何かが原因で荒れ狂っていた彼女を
迎え入れたのが彼らだったのだ

そして塩水で清めた緑豊かな葉を1枚
彼女に気持ちを込めて毎日与え
共に食事をし穏やかな時間を過ごしたのだ

限りある命を持つ彼らは
そうして精一杯の想いを彼女に遺して
この世を去ったのだ

庭園に飾られていた黄色い花が
満開に花開き、種となって散り
再び小さな蕾に次々と変わっていた

庭園の砂を揺らすように
風がさざ波の音を立てて
静かに緩やかに吹いていた

彼女は流れゆくその景色を
哀愁漂う横顔で見つめていた

目が覚めた。
りあるだ。。

あの神々しい女性は
キット犬の神様が擬人化されたものだ。

私のツッコミにわざわざ
答えて下さったのだ。

ありがとう。

そう思った。

カーテンから朝日が少し
零れていた。

日常と非日常を放浪し、その節々で見つけた一場面や思いをお伝えします♪♪ そんな旅するkonekoを支えて貰えたなら幸せです🌈🐈 闇深ければ、光もまた強し!がモットーです〇