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三浦春馬 ドラマ「サムライ・ハイスクール」

サムライ小太郎、かっけえ!
とにかくサムライ小太郎様にまず魅了された。

ヘタレ小太郎との二役は、顔つき・声色・姿勢や歩き方まで変わって、まるで別人。なんなら眉毛や目や口などの造作まで違って見えるんですけど…。
二つの人格が入れ替わる時のスイッチの入り方と切れ方も凄まじく上手い。
勇ましく目力がありキリリと緊張感あふれるサムライ小太郎様の「おのれ、姦物かんぶつどもが!」「笑止しょうし!」「口惜くちおしゅうて仕方ないわ!」決め台詞の一つ一つに、もぉ痺れる。よっ!待ってましたっ!もっと言って〜♡と、画面の前で声援を送る私を遠巻きに見ている夫と息子(苦笑)。
だってもぉ文句なしに格好いいんだもの!
サムライ小太郎様になった時は、走り方も重心を落とし刀を片手で抑えての侍走サムライばしり。この頃からすでに体幹がしっかりしてるし細身だけど程よく筋肉もついている。殺陣たてもキマッてるし着物の時の所作も美しい。髪をトップでまとめたヘアスタイルが「星の大地に降る涙」のシャチみたい。春馬くんは髪をアップにすると若い時から色気が滲み出る。

キレのあるアクションシーンは迫力があり、画面に釘付け。
第3話では廃材とビニール傘の柄で弓矢、濱田岳くんがゲスト出演した第4話では商店街で闇金相手に定規で戦って、遠巻きにしていた通行人達から拍手が巻き起こっていたが、悪い奴らを叩きのめしてくれる場面は気分がスカっとする。
毎回春馬くんがフィニッシュをキメた後は、私も思わず画面に向かって拍手してしまった。
春馬くん、凄い!パチパチパチパチ。
それと比例して回を追う毎に、ヘタレ小太郎もどんどん愛らしく見えてくる。のちの「オトナ高校」の英人の片鱗も感じられるような、くるくる変わる変顔を連続で繰り出してくる春馬くんのコミカルな演技に笑いながらも感心してしまう。
10代の頃からすでにその演技力と身体能力の高さは群を抜いていたことを改めて思い知らされた。

話は少しそれるけど、このドラマは友人役のキャストが皆んなデカイ…。城田優くん190cm、杏ちゃん174cmに囲まれていると178cmの春馬くんが長身に感じられない程だ…。後に見た「14才の母」の志田未来ちゃんや多部ちゃんと並んだ時の身長差に逆に驚いたっけ。
まだよく知らなかった頃の私の春馬くんのイメージは繊細で華奢。アクションが出来るとか力強さみたいなものはなかった…やっぱり若手俳優の事は先入観で見てしまっているところがあった。

生きるために逃げること、生きるために戦うこと、共に意味のあることでござろう
劇中、横領の濡れ衣を着せられた校長(室井滋さん)にサムライ小太郎が言った台詞が、春馬くんへ言っているようで…。
耐え切れないことから逃げてもよかった。それを自分に許してほしかった…と、いろいろな思いが込み上げてきてしまう…。

このドラマの19歳当時、あまりの過密スケジュールに本気で役者を辞めたいと思っていたと後に語っていたけれど、そんな葛藤は微塵も感じさせない演技に驚嘆すると共に切なくなる。まだ10代でベテラン俳優を率いて主役を張り続けることの重圧は相当だっただろう。
この時、一時的にでも俳優業を休んで全く違う世界に身を置く機会があったなら、10年後の未来は違っていたのだろうか…。
だけれど、春馬くんがギリギリまで身を削って演じ続けてきたからこそ、これだけ多くの作品が残り、今も沢山の人々に三浦春馬という美しくも鮮烈な存在が感動を与えているのも事実なのだ。

最終回、サムライ小太郎の辞世の句に涙。

十七の散る命火を
誇るべし
残る夜月よ
清らかに照れ

やるべきことをやったので人に誇れる十七年であった。という意味なのだけど、しかし最期の戦はこの句の通りにはいかなかった。たちまち敵に囲まれ何も出来ぬまま命尽きた。殿のために敵を散らし誇り高く死にたかった。
その心残りがあったため、同じ名前で同じ歳になった子孫であるヘタレ小太郎の体を借りて蘇ったのだった。
誇りを取り戻すために。
義を通せば、誇りは取り戻せる。

この作品でも儒教でいう五常の「仁・義・礼・智・信」の"義"が示されていたとは、なんだか宿命のようなものを感じてしまう…。

春馬くんは、義を通したのか。
本懐を遂げることは出来たのか。

どうしても春馬くん自身と重ねてしまう…。

お主の心の中に立派な剣がある。それはお主が持つ優しさ、思いやりじゃ
このセリフにも泣けた。




女の子に抱きつかれると意識を失いヘタレ小太郎に戻ってしまうサムライ小太郎様。堅物なのかと思っていたら、“おなごは良きものぞ”ってウィンクしちゃう最終回のシーンに、ふたたび胸をズキューンと撃ち抜かれた。

あっぱれ、サムライ小太郎様!

笑って泣いてワクワクして、何度でも春馬くんは私たちを感動させてくれる。





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