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ドラマ「僕の姉ちゃん」にクスッと、ほぐされる

姉と弟による束の間の二人暮らしの記録は、30分にも満たないドラマだけれど、毎回ショートコントみたいな情景が面白い。

弟の順平(杉野遥亮くん)は、素直でスレてなくていい子だとは思うのだが、あまり特徴がないというか…どこか夢見がちでポケッとしてる感じ。
姉は弟には辛辣で、アンタは女のことナンも分かってない、みたいなことをズケズケ言ったり、弟はそんな姉にタジタジなのだが、恋や女性についてのアドバイスを求め、良き相談相手としても姉には一目置いているのだった。

ユーモアにあふれ切り返しの上手い姉と、時々ボソッとツッコミ入れる弟の会話劇は、毎回オチがクスッと笑える。

弟:姉ちゃんは明日世界が滅びるとしたら最後に何食べたい?
姉:生クリーム?

弟:けど姉ちゃんにだって母性みたいなもんがあるだろ?
姉:育ててもない男にそんなのあるわけないじゃん。幻想が好きならオーロラでも見て来いっつーの

姉:アンタに彼女が出来ても、アタシたぶん、その子キライ
弟:やめろよ…(笑)

弟:姉ちゃーん、3Dプリンターがあったら何コピーしたい?
姉:地面。ーー繋げて地球
弟:壮大だなぁ…

姉:手のひらが合わない人と、他の部分合わせられると思う?
弟:生々しいよ!
姉:恋って手のひらから始まるんだよねぇ…ってこのフレーズ、スピッツの歌詞みたくない?

姉:アタシ1日10時間くらいの結婚でいいなぁ
弟:はぁ?
姉:これよくない?1日10時間は結婚してるんだけど、残りの14時間は今のアタシなの
弟:今の自分の方が4時間多い…

弟:オレ自分のいいところなんて、なんもない気がするよ…
姉:アンタのいいところは、べつにアンタ自身が知らなくてもいいんじゃないかい? ついでにアタシも知ってるし

弟が落ちこんでる時はさりげなく励ましたり、なんだかんだ言っても仲の良い姉弟だと思う。姉と弟っていいなぁと想像したりしてしまう。


姉・ちはるは、酸いも甘いも噛み分けたような言動でいつも順平をけむに巻く、経験値の高い女。
付き合ってる彼氏がいても一人時間の方を優先したり、まったく悪びれずに他の男性ともデートするし(しかも翌日も同じ服で、しれっと仕事してたんですけどお泊りしたのか?)、機知に富んでいて、キュートでお洒落で食いしん坊で、私のすっごい好みの女性 笑。

黒木華ちゃんはモガ風ショートボブがすごく似合ってる。そして劇中の衣装が毎回可愛い。特にTory Burchのセットアップが素敵〜。小花が散らしてあったり、モノグラムっぽい柄とかのワンピースとコートがお揃いだったり、同じ柄のシャツとブラウスをワンピースっぽく着ていたり、ちょっとレトロな感じの柄とシルエットがすごく好み。
こんなヴィンテージのシャツワンピースとか見たことあるよなぁ、というデザインなのだ。かつての古着好きとしては、衣装も楽しみの一つ。


毎回、仕事が終わり最寄りの江ノ電・鵠沼くげぬま駅から家路につく場面があるのだけど、日暮れた商店街のシーンやBGMがノスタルジーを誘い、小津安二郎の映画のワンシーンを観てるみたい。
姉弟が暮らしている平屋の家も、和洋折衷の昭和の住宅みたいな懐かしい感じの造りで、普段の姉は結構ズボラなのに、ときどき庭で花を摘んで似合う花器を選んで生けてみたり、実は意外と丁寧な暮らしをしている様子。
お部屋も飴色の木を基調にした北欧ヴィンテージっぽい家具に囲まれていて、温かみがあり和む雰囲気。でもね、実際そっちの国で暮らしてる身としては、現地でこんなインテリアの家に住んでる人、見たことないんですわ…。日本のお家の方がよっぽどお洒落だよね…って在住日本人達も言ってます 苦笑。


居間で向き合い、別々の晩ご飯食べながら(ご飯は各自で用意するルールらしい)、あーだこーだと話す姉弟の会話は、アドリブで話してる?って感じもあり、クスッと笑えて、見る度に心がほぐされてゆく。

ハンバート ハンバートが歌う主題歌「恋の顛末」にも、ホッコリ癒される。

一日の終わりの寝る前に、ちょっと覗くのが楽しみになるようなドラマなのだ。




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