アナログバイリンガル

 ゲームに育成や人間関係など複雑な社会の仕組みが取り込まれ久しい。
 反面それを楽しむ我々はボタン一つ、選択肢一つで子供のように泣き笑い、国会や職場でさえ小学校の休み時間のような様相を見せ始める。
 その二つの現象に目を付けた研究者がいた。
 ゲーム世界がより現実的になればなるほど、それを楽しむ人は幼稚に単純に、初期ファミコンのような脳内世界になるのではないか。
 逆にゲームをつまらないものにすれば、人間の脳はそれを補って、自分で面白くなるような創意工夫をするのではないか。竹を加工して竹馬や竹トンボを作り出すように。
 いやだったらゲームじゃなくていいだろう。それこそそう、竹を与えればいい。また紙とペンを与えれば面白い物語を書いたり、絵をかいたりするに違いない。
 エウレカ!
 興奮のあまり彼はそう叫んだ。
 アナログバイリンガルと名付けよう。
 単純なもの、自然により近いものと接することで、様々な物事に精通する能力のことをいう。

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