あの子の日記 「わかれ道」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集

自転車の光がゆらゆら揺れている。暗い地面を黄色っぽく照らすのは私ときみの2人分。

太陽に別れを告げて、くっついたり離れたりしながらゆっくり前に進んでいく。

目の前を小さく照らすことしかできない私たちには、ずっと先に続く道が薄暗くてよく見えない。

だけど、ときどき街灯が顔を出して一瞬だけ光を与えてくれる。

きみと一緒に帰れるのはあと何回だろう。来年の春になれば、きっと離れた場所でそれぞれの大学生活が始まっている。

本当は、未来がぼやけた道を進むなんて、不安でいっぱいなの。

臆病な私はずっと街灯の下にいたいけれど、きみは「大丈夫」と言って暗い道を1人でゆらゆら進んでいく。

「置いていかないで」と後を追っても、距離が縮まらないのはどうしてかな。

あたまのネジが何個か抜けちゃったので、ホームセンターで調達したいです。