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あの子の日記 「きみと夏の毛布」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集

後ろを振り返ると、手を繋いだ二人が金色と銀色の街で寄りそっている。かつての私たちにさよならをして、そろそろ一人で前に進もう。

出発の準備はとっくに出来ているのに、なぜか今日も立ち止まったまま。

美しい街から持って来てしまったスパンコールが日常のあちこちでぴかぴか光って目を眩ませるから、きっとそのせいで上手く前に進めないんだ。

初夏に混じった肌寒い夜には暖かい毛布が恋しくなるように、胸のなかのずっと奥にしまったあの人に手を伸ばしてしまいそう。

消せない思い出と共に過ごしていくなんて、そんな器用なことできないよ。

あたまのネジが何個か抜けちゃったので、ホームセンターで調達したいです。