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コーヒーを淹れて、時々ビールを飲む

毎朝目覚めて、日中は活動し、夜は眠る。
仕事は悩んだり考えたりと精神が不安定になりがちで、だからこそ、暮らしの普遍的な時間や行動は決めてしまいたくなる反動に駆られます。


朝起きてから、仕事に出ていくまでの時間は大体やることが決まっています。
歯磨きや洗顔や着替えやメイクなど、身だしなみを整えること。
これらは毎朝の習慣としてこなします。

朝の時間、より良い1日のスタートを切るためにわたしにとって欠かせないのは、毎朝一杯のコーヒーです。

ゴリゴリっとコーヒーミルで豆を砕いていく。
円を描くように、そおっとお湯を淹れる。
キッチンに漂うコーヒーの香りを嗅いで、ようやく朝が来たことを実感する日々です。


毎朝、コーヒーを淹れ続けてはや5年。
コーヒーは元々苦手でしたが、大学生のときに、テスト勉強中に友人が飲んでいた微糖のコーヒーがなんだかカッコよく見えちゃって、背伸びして買ってみたら、おいしかった。

ブラックは苦くて飲めたものではなかったですが、20歳を超えると「おいしい」と感じるようになり、むしろ、糖分が入っていると苦手になってしまうから不思議です。

そんな、思い出からわたしのコーヒーのある暮らしが始まりました。


夜。
日中、体も思考も動き回って疲れ切ってしまい、一息つきたくなるとき。
わたしはビールをプシュッと開けて、ぐびっと飲みます。

体に染み渡る、あの幸福な液体は、「今日もがんばってよかったなあ」と思える瞬間です。
特に夏のビールのおいしさたるや。

料理を作りながらチビチビと飲み、ご飯を食べながらチビチビ飲み、本を読みながらチビチビ飲みます。
この時間が、得意じゃない夜を彩る、たまの栄養として欠かせない習慣です。


ビールの思い出といえば、両親のおいしそうに飲む姿です。
成人したら絶対飲むぞ!
あんなにおいしそうに飲むんだから、さぞかしおいしい飲み物なんだろうな!
と、長年期待していたのですが、いざ飲んでみると、これがおいしいの正体なのかと疑問がいっぱい浮かびました。
見事、裏切られたと言っても過言ではありません。

大学の飲み会で先輩や同期がビールを飲む姿がなんだか大人に見えて、早く大人になりたかったわたしは見よう見まねで「生ひとつ追加で」って小さく手を挙げて注文するようになりました。

気づけば、ビールをおいしく飲めるようになっていました。


コーヒーとビール。
どちらも、最初は苦手でした。
あんな苦いもの、飲み物じゃない!とまで思っていました。

でもきっと、わたしは早く大人になりたかった。

なんだかカッコよく見えちゃうとか、大人に見えるとか。
大人になりたいのに、大人になる方法がわからなかったから、コーヒーとビールは手軽に大人になれる方法に思えたんです。
コーヒーとビールが飲めたら大人の階段を登れるぞ!
そんな想いが、子供のわたしには明確にありました。

結局、どちらも飲めるようになりましたが、大人になった感覚はありません。


今ではほっと一息つくときに、わたしを支える大切な習慣。
社会人という大人の世界に足を踏み入れ、奮闘するわたしを支える習慣。

大人になりたいのか、なりたくないのか。
いま、この瞬間の、等身大のわたしを噛み締める時間として、コーヒーとビールがある気がしています。

頼むよ、これからも。

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