朝日のような夕日をつれて2014

私が舞台にのめり込むきっかけになった芝居。
実はDVDでしか観たことがなかった。

第三舞台の旗揚げ作品であり、かつ何度も上演されてきた伝説的な舞台。
初演は1981年、私が生まれる前。朝日97を最後に上演はなく、第三舞台が活動封印→解散。
ついに生で観ることはできないのか…と諦めていただけに、上演を知った時には十年越しの恋人に会えたかのように歓喜した。自分の耳が聞こえないことも忘れてチケットを買った。

開演30分前に劇場に行き、先に販売台本を買って、開演までの間に読んだ。
91と97の台詞は全部覚えてるので、そこから変わった部分やネタ部分を中心に、台詞を頭にたたき込む。開演前に今から始まる芝居の戯曲を読み耽る私を隣のお姉さんがアホかこいつ的な目で見ていることも気にせず、ただ無我夢中で台詞を入れた。

そして開演。
暗転から、オープニングのThe end of asiaが掛かってるのが分かった時点でもう鳥肌。
スピーカー近かったんで、音響が体感でガンガンくる。

6列目の良い席だったので、役者さんの口の動きもはっきり見える位置。
知らない台詞は何言ってるかまではさすがにわからないけれど、分かってる台詞はリアルに聞こえてくる気がするほど。

何度も何度もDVDで観たシーンが目の前にある。
オープニングの群唱、ゴドー1が登場したあとのダンスは97と同じだとか、ゴドー2の長ゼリの曲は135だなあとか、
ウラヤマとエスカワが二人で語りあう大好きなシーンでは今回もSegoeがかかってるのかな…。
「救う…?!」からのマイムの群唱シーンはリアルに役者さんの声が聞こえたと思う。

「ゴドー」の世界は、ほとんどが台詞も構図も、今までの朝日を踏襲していた。

さすがに87や91ほどの運動量はない。
それでも、衣装チェンジのシーンまでで、すでに背広の色が半分変わるほど。
なんだろう、この熱量。芝居のエネルギー。
舞台から発散されてるエネルギーは、分かってはいたけれど、とてもDVDの比じゃなかった。
50代でこれを演じる役者さんは本当に凄いと思う。

そしてみよこの遺書から始まる圧巻の群唱シーン。最後に舞台がせり上がって来た時にはもう、比喩でなく全身の毛が逆立った。憧れ続けたシーンがそのまま目の前にあることに、そしてその場に自分がいられることに。

2014の特徴として、映像(文字表示含む)を多用していた。
それが今までの朝日とはちょっと違ったけど、芝居としての映像使用の良し悪しは置いといて、聞こえない観客としてはとても助かった。

大高さん・小須田さんコンビの朝日を見られる機会はきっとこれが最後。
観に行けて本当に良かった。

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