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スティル・ライフ(池澤夏樹)

1987年の芥川賞受賞作。これまたえらく古い小説引っ張り出してきたものだが、多分こないだ「東京原子核クラブ」を読んだせい。
原子核→核分裂→チェレンコフ放射→そーいやチェレンコフ光が見たくて水の入ったグラスをひたすら見つめてる、えらく気の長い人がいたな…という、多分本人にしかトレースできない謎連想で、ふと昔読んだこの小説を思い出した。

久しぶりに読んで、まず思ったのは内容云々より、理系の人が小説を書いたらこういう文章というか描写になるのかーという、ストーリーとはなんの関係もない感想。
透明感のある美しい文章。でもそれが決して気取っていたり、表層をなぞっているようには感じられないのは、著者が世の中の事象を物理学というフィルターを通して見ているからなんだろう。
世の中の人たちはみんなそれぞれ、何がしかの自分のフィルターを通していろんな出来事をみているのだなあと思ったり。それがいわゆる感性ってヤツなのかもしれませんが。
まぁあれです、押し花を「標本」と言い放ってドン引きされた私には一生書けない文章ですね。。。

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