『BANされそうになった?続・STEPNアプリはなぜApple/GoogleからBANされないのか?』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.7.19
■STEPNアップデートver0.8.2
昨日STEPNのアップデートがありました。予告されていたのは「HP(Health Point)」の導入とE国の開始が主でしたが、予告されていなかった驚きの変更がありました。
7月12日に書いた記事『STEPNアプリはなぜApple/GoogleからBANされないのか?』で考察していた、アプリ内にApple税/Google税を取られないシューズストアがあるのになぜかアプリがBANされずリリースされている不思議について、今回のアップデートで「アプリ内ストア廃止」という変更が急に加わりました。
前回の考察でアプリがBANされない理屈について
と考察しましたが、どうやらこの理屈はApple/Googleには通らず指摘が以前から指摘が入っていて、今回のアップデートで仕様変更を余儀なくされたのではないかと思います。
AppStore/Google Play Storeではどんなに筋が通っている風でも結局Apple/Googleがダメだと言えばダメなのです。これぞ中央集権。
■超わかりづらくズル賢いStore導線の実装方法
最初Storeがなくなり地球儀ボタンになっているのを見てStoreへのたどり着き方がわかりませんでした。
困った時にはTwitter。STEPNの先輩方がすでにStoreへのアクセス方法を編み出していました。
・地球儀ボタンを押す。
・「単なるWeb検索機能」に見せかけているページで
https://m.stepn.com と入力、
または「Marketplace of STEPN」と検索し結果画面からStoreにアクセスする。
これでStoreにたどり着けます。
「Spending」を介せばゲーム内ポイント扱いでアプリ内にStoreを実装できる、がこれまでの事例実績でしたが、今後は「ゲームアプリ+アプリ内Web検索でStore導線+検索履歴」がデファクトスタンダードになるのかもしれません。
アプリで完結しておらずWebを併用するのは使いづらいですが仕方ありません。
WebだけでX to EarnなdAppsを広めるのは難しいと思われ、アプリ化は今のところ必須だと考えています。アプリ必須だとすると普通のゲームアプリのつもりで入ってきたユーザーがStoreへのアクセス方法に気づけるか、アプリリリース直後でコミュニティができていない段階でTIPS情報をどうやって広めるかが課題になります。
「サービス名+Marketplace」で検索するというTIPSを常識化するのが直近の方法でしょうか。
■STEPN、Health Pointで「歩くと赤字」に?
ここからはSTEPN自体の話です。
※17:00追記
Comfort Gem Lv1でのHP回復量にサイレント修正が入りました。
この記事のキービジュアルの通り、当初は「+0.88HP」回復だったのが今は「+1.8HP」の回復量になってます。
毎日1個必要だったのが2日半に1個という感じでしょうか。
まだバランス調整中のようですが、そもそも稼ぐ方法が脆弱な部分を改善しないとGemが買えません。
ver0.8.2からHP(Health Point)という仕組みが導入されました。
結論を言うと最悪です。
経済崩壊してユーザーが離れていく中で、さらに稼げない(どころか人によっては赤字になるかもしれない)仕組みを今導入する意味が分かりません。これまで運営をある程度信頼していた人も今回のHP導入で完全に見限る人が増えそうです。
ちょっと試算してみます。
昨晩、22時マタギで界王拳歩きした時のログです。これをベースに試算してみます。
GSTの収支
・収益:141.09GST=ざっくり1400円
・リペア費用:17.76GST=ざっくり180円
これまでなら1400円-180円=約1200円の利益でした。
加えてこの靴だとMB Lv4が毎回もらえます。稀にLv5が出ますが本当に稀です。(そしてLv5でも中身は変わりません。)
MBとGem売却の収支
MB Lv4の開封費用も値上げされました。
これまで16GSTだったのが35GSTと2倍以上の値上げです。
時短ナシで開ける場合だと開けるだけで約350円のコストがかかります。
中身はたいていGem Lv1が2個です。ごくごく稀にGem Lv2やCommonのMintスクロールが入っていることもあります。
※今回のアップデートで中身が良くなると言っていましたが今のところよくなった実感はありません。
1SOL=6000円、Gemは同種が2個ずつ出る、6%の手数料を引く、で試算すると
Resilience Gem Lv1
売価0.01 SOL×2個=0.02 SOL
→手数料6%off=0.0188 SOL
=約113円
(MB開封費用を差し引くと237円の赤字)
Efficiency Gem Lv1
売価0.04 SOL×2個=0.08 SOL
→手数料6%off=0.0752 SOL
=約451円
(MB開封費用を差し引くと101円の黒字)
Luck Gem Lv1
売価0.04 SOL×2個=0.08 SOL
→手数料6%off=0.0752 SOL
=約451円
(MB開封費用を差し引くと101円の黒字)
Comfort Gem Lv1
売価0.05 SOL×2個=0.1 SOL
→手数料6%off=0.094 SOL
=約564円
(MB開封費用を差し引くと214円の黒字)
HPの導入によってComfort Gemが最高値になりました。
HPリペアに使う消耗品なのでMBから入手しても売却して利確はできません。
Health Pointのリペア費用
MBとGemで稼ぎが圧縮されたよりもっと悪影響が強いのがこのHP回復です。
上記の私の靴のステータスだと、エナジー12.6を消費してHPが1.09減りました。
単純計算でエナジー1あたり0.0865HP減ります。
1日のエナジーが10、0.865HP消耗するので約115日でHPが0になります。
HPが100→0になるとシューズが「ないものと同じ」になり1足少なくなる扱いになります。つまり9足→8足になって一気にエナジーが10→4に。
それは困るのでHPを回復させるのですが、その費用が高すぎます。
Comfort Gem Lv1あたり0.88HPしか回復しません。ざっくり毎日1個必要です。
今のComfort Gem Lv1の市場売価が0.05 SOL=約300円。これに10GST=100円も加わるので1日のHPリペア代が400円もかかります。
これまでの仕様だと1200円のGST利益+MBから出るGemをSOL建てで売ってちょこっとボーナス、だったのが、GST利益1200円から場合によってはMBでで237円赤字-HPリペア400円もかかり、1日500円ほどしか稼げないこともある、という状態になりました。
HP回復させず靴を使い捨てにした方が得?
自分のUncommon Comfort40の靴だとComfort Gem Lv1が毎日1個必要です。
115日でHPが0になる計算で、現在Comfort Gem Lv1のフロアが0.0538 SOLなので115日分は6.187SOLです。
Lv28のUncommon Walkerが5.6SOLで売られているので回復するより靴を使い捨てにした方が得って計算です。
でもHPを常に100%にする必要はないですし、いつでもちょうどいい性能のシューズが売られているとは限らないので、たぶん回復したほうがいいってバランスにはなるのだと思います。
ただ今後Comfort Gem Lv1がもっと値上がりしたりSTEPNを辞める人が靴を投げ売りして靴が安くなるようなら回復するより買い替えがもっと得になりますし、逆に使い捨てユーザーが増えて靴が買われて値上がりするかもしれん。
靴やGemの売買で6%の手数料を取るのがSTEPNの主な収益源なので、売買を促すためのHP導入と捉えることもできそうです。しかしユーザーのことを考えた機能導入でないことは明らかです。
1足や3足の人、Comfort値が低い人はより厳しく
それでもまだ10エナジー×Luck40でMB Lv4を狙え、Comfort Gemを自力で手に入れる方法があるだけマシです。
またComfort値も39.2あるのでおそらくHPの減りも多少は少ないんじゃないかと思います。
しかしCommon1足や3足だとMBもLv2が主でしょうしGemが出ることも稀でしょう。Comfort値が低ければHP消費ももっと激しいはず。
市場からComfort Gemを買ってこなければならないとしたら、値下がりした僅かなGSTでComfort Gemを買うだけのゲームになります。もはや歩いてEarnはできないかもしれません。
運営は半年で200億円儲けた
Earn額はごくわずかになってしまったけれどこれからも歩き続ける!と言っていた人も、歩くだけ赤字、いつか靴が使用不可能になる、というならさすがに辞めます。
実際にHP導入以降は引退者のシューズ投げ売りで1足0.7 SOLまで下がったのを見ました。完全な損切りです。
Health Point導入によってシューズすら消耗品化させてしまった今、もうさすがにSTEPNは終わったかなと感じます。
to Earnの収益バランスは基本的に市場が決定するわけですが、あまりにもゲームルールを変えてしまうのは大問題です。STEPN運営自体は半年で200億円以上の収益を上げて大成功したと言えるのでしょうが、多くの屍を生み出しました。
これからもX to Earnなサービスはどんどん出てくると思いますしSTEPNの失敗を踏まえてカイゼンしてくるとは思います。
しかしSTEPNにはもっと粘ってほしかった。X to Earn自体に悪評が立つようなやり方をせず、1足や3足の人でも続けられる方法を採ってほしかった。非常に残念ですし、改めてX to Earnのトークノミクス設計をゲームルールでコントロールする難しさを感じました。
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